栗駒山ってどんなところ?
栗駒山(くりこまやま)は、宮城県・山形県・岩手県の3県にまたがっており、日本二百名山の一座です。
標高は1,626mありますが、最短90分ほどで登頂できるため、登山未経験者でも挑戦しやすい山といえます。
登山コースは9つあり、宮城県側には6つ、岩手県側には2つ、秋田県側には1つ。
宮城県側は紅葉の斜面が広がり、のんびりとした優しい風景が広がっています。岩手・秋田県側は火山活動の痕跡が色濃く残っており、変化に富んだ地形を歩けるのが魅力です。
国内屈指の紅葉名名所
また栗駒山は※花の百名山に数えられており、植生が豊かな山です。※『日本百名山』の著者である深田久弥氏も「栗駒山は百名山に入れるべきであったかもしれない」と、あとがきで記しているほど。
人気のシーズンは秋。9月下旬~10月中旬にかけて全山が紅葉し、その絶景さゆえに”神の絨毯”と称されています。紅葉の状況など最新情報は栗原市観光ポータルサイトをチェック!
公共交通機関でのアクセスも可能
登山口までのアクセスは、車が基本。ですが公共交通機関でのアクセスも可能です。
JR東北新幹線「一ノ関駅」西口前9番乗り場から、岩手県交通の路線バス「須川(すかわ)温泉ゆき」に乗車し終点「須川温泉」で下車します(約94分)。1日2往復しかないので、要注意。
また紅葉シーズンの期間限定で、JR東北本線「石越駅」(宮城県登米市)もしくはJR東北新幹線「くりこま高原駅」(宮城県栗原市)から、バス「紅葉号」が運行します。
ただし運行日は土・日・祝祭日のみ。予約不要。詳しいアクセス方法は記事後半でご紹介します。
紅葉シーズン中は渋滞必須!
紅葉がはじまる9月中旬~10月下旬にかけて、栗駒山は大勢のハイカーで賑わいをみせます。
とくに休日は早朝でも駐車場が満車になるほどで、道路によっては、4時間(約5km)ほど渋滞が発生する場合も(とくに国道342号)……。
また平日でもそれなりに混雑するため、なるべく早い時間に出かけることを推奨します。
初心者にオススメ!栗駒山登山ルート
栗駒山にはぜんぶで9つの登山ルートがあり、初心者から玄人まで幅広い登山者層を楽しませてくれます。今回は距離が短く、危険度の低い初心者~中級者向けのルートをご紹介します。
【初心者】中央コース(登山口は宮城県側)
山頂までの最短ルートであり、初心者でもチャレンジしやすい中央ルート。片道約3km、所要時間は約90分。比較的ゆるやかな登りが続きますが、山頂直下には急な階段が待ち構えています。
起点となる登山口は、駐車場と栗駒レストハウスがある「いわかがみ平」(宮城県栗原市)。高低差も少なく、登山道は石畳や階段で整備されています。
前半は展望が少ない単調な道が続きますが、標高1,500m付近までくると”神の絨毯”と呼ばれる美しい景色を望めます。
■登山口までのアクセス
【名称】
いわかがみ平駐車場(〒989-5371 宮城県栗原市栗駒沼倉 )
【アクセス】
<公共交通>
紅葉シーズン中(10月初旬~下旬)のみ、JR東北本線「石越駅」(宮城県登米市)もしくはJR東北新幹線「くりこま高原駅」(宮城県栗原市)からバス「紅葉号」が運行します。
※紅葉号2020年の運行予定日は、9月19日(土)、20日(日)、21日(月・祝)、22日(火・祝)、26日(土)、27日(日)、10月3日(土)、4日(日)、10日(土)、11日(日)。
JR石越駅前(8:55)→JRくりこま高原駅(9:20)→くりこま壮(10:00)→ハイルザーム栗駒(10:15)→いわかがみ平(10:30)
【帰り】
・いわかがみ平(13:30)→ハイルザーム栗駒(13:15)→くりこま荘(13:20)
・いわかがみ平(15:00)→ハイルザーム栗駒(15:15)→くりこま荘(15:20)→JRくりこま高原駅(16:15)→JR石越駅前(16:35)
※紅葉号は、新型コロナウイルス感染症の拡大状況により、運行内容の変更・中止の可能性がございます。最新の運行情報は、ミヤコーバス築館営業所0228-22-2250へお問い合わせください。
JRくりこま高原駅~いわかがみ平…1,600円
JRくりこま高原駅~くりこま荘、ハイルザーム栗駒…1,500円
JR石越駅~いわかがみ平…1,700円
JR石越駅~くりこま荘、ハイルザーム栗駒…1,600円
<車>
東北自動車道 若柳金成I.Cもしくは築館I.Cから約42km、約70分
※いわかがみ平の駐車場は早朝で満車になる場合もあり、その際は臨時駐車場へ案内される。臨時駐車場からいわかがみ平まで、無料のシャトルバスが運行。
【駐車場】
普通車100台/無料
※紅葉シーズン中のみ有料500円/1台(シャトルバス運行協力金)
※有料対象外車両 観光バス、路線バス、タクシー、自動二輪車
【中級者】東栗駒ルート(登山口は宮城県側)
中央ルートと同じくいわかがみ平を起点とし、東栗駒を経由して山頂を目指すルート。
片道約4km、所要時間は約120分。
前半は視界の悪い低木帯が続きますが、手を使って岩を登ったり、美しい沢を登ったりと(新湯沢)など、中央コースにはないアクティブな面も。
後半はなだらかな稜線を歩いていき、山頂直下で中央ルートと合流。稜線の展望は素晴らしく、シャッターを切る手が止まらないほどの絶景が広がっています。
上りは東栗駒コース、下りは中央コースを利用するハイカーが多いようです。
■登山口までのアクセス
中央ルートと同じ。
【中級者】須川ルート(登山口は秋田県側)※立入禁止区間あり
※昭和湖付近の火山ガス(硫化水素)濃度が高く危険であるため、令和2年度も苔花台(たいかだい)~天狗平(てんぐだいら)の区間を立入禁止とします。
雪解け後の迂回ルート(須川高原温泉~栗駒山(須川岳)山頂の間)は、産沼(うぶぬま)を経由する「自然観察路」となります。雪解け前は危険ですので通行しないでください。詳細はこちらをご確認ください。(引用:岩手県)
登山口があるのは、乳白色の硫黄泉が特徴の須川温泉(岩手県・秋田県側)。広い駐車場にビジターセンター、足湯、日帰り温泉、宿泊施設などがあります。
登山口から3つのルート(ゼッタ沢ルート、地獄釜を通るルート、賽の磧を通るルート)に分岐しており、いずれもお花畑と呼ばれる「名残ヶ原(なごりがはら)」で合流します。
最短ならゼッタ沢ルート、体力があれば地獄釜や賽の磧を経由するルートがオススメ。
名残ヶ原の先にある「苔花台(たいかだい)」で、昭和湖を通る須川ルートと産沼(うぶぬま)を経由する自然観察路ルートに分岐しています。
※須川ルートの大部分が立ち入り禁止となっています。自然観察路ルートをご利用ください(2020年9月23日現在)。
須川ルートの魅力は、変化に富んだ景観を楽しめること。乳白色の昭和湖や硫黄の匂いが漂う地獄谷、山の尾根を渡る如来稜線など、登山者を飽きさせない豊かな景観が魅力です。
片道約3.7km、所要時間は約90分。中央ルートと人気を二分するため、紅葉シーズンはとくに混雑します。
■登山口までのアクセス
【名称】
須川高原温泉(〒021-0101 岩手県一関市厳美町)
【アクセス】
<公共交通>
JR東北新幹線「一ノ関駅」西口前9番乗り場から、岩手県交通の路線バス「須川温泉ゆき」に乗車し、終点「須川温泉」で下車します(約94分)。※1日2本運行。バスの時刻表はこちら
<車>
東北自動車道 一関I.Cから約40km、約60分
※紅葉シーズン中は国道342号線で大渋滞が発生する。水沢I.Cから国道379号、342号経由でいくか、築館I.Cから国道398号経由で栗駒山に向かうなど、対策が必要。
【駐車場】
普通車300台、観光大型バス10台/無料
帰りに寄りたい!日帰り温泉施設
中央ルート、東栗駒ルート方面
■駒の湯温泉
江戸時代初期の元和4年(1618)から、代々受け継がれてきた駒の湯温泉。元々は旅館でしたが、現在は日帰り温泉として再稼働しています。
400年ほどの歴史ある温泉は、ぬるめの硫黄泉です。疲労回復や、美肌効果などが期待できます。
湯船は4~5人ほどの広さなので、譲り合いながら入浴するスタイル。
カフェも併設されており、石巻のクジラカレーや十割そばといった食事や、コーヒーなどを提供しています。
【所在地】
〒989-5371 宮城県栗原市栗駒沼倉耕英88
【営業時間】
10:00~17:00
※冬期休業、水曜日および第2・4木曜日定休日
【入浴料金(1回)】
大人(中学生以上)…500円
小学生…300円
幼児・・100円(3歳以上)
駒の湯の公式HPはこちら
■新湯温泉 くりこま荘
駒の湯よりも後、江戸時代中期にあたる1720年に開湯された、新湯温泉。標高600mに位置しており、糖尿病の名湯として知られており、長期療養の温泉として現在も親しまれています。
泉質は、ほのかに硫黄の香りがする硫黄泉。内湯、露天風呂、貸切露天風呂があります。
【所在地】
〒989-5371 宮城県栗原市栗駒沼倉耕英東95-2
【営業時間】
10:00~15:00
※不定休。来店の際は予め連絡してください。
【入浴料金(1回)】
大人(中学生以上)…500円
小学生…300円
貸切風呂50分…2,000円日帰り利用の場合は、別途入浴料1人500円かかる。
新湯温泉 くりこま荘の公式HPはこちら
■ハイルザーム栗駒
栗駒山の麓、標高650m地点にある滞在型の健康増進施設です。日帰り温泉はもちろん、サウナ、アトラクションプール、宿泊施設、コテージを備えています。
源泉は標高570mにあり、泉質は美肌の湯で知られるナトリウム・硫酸塩水低張性アルカリ性高温泉。刺激が少なく柔らかい湯触りが特徴です。
開放感のある2つの露天風呂「岩風呂(星の湯)」「檜風呂(月の湯)」と、高温低温の内湯があります。
【所在地】
〒989-5371 宮城県栗原市栗駒沼倉耕英東50-1
【営業時間】
10:00~18:00
※不定休。来店の際は予め連絡してください。
【入浴料金】
<通常>
大人(中学生以上)…850円
子ども(4歳~小学生)…650円
<夕方券>
大人…650円
子ども…550円
須川ルート方面
■須川温泉 栗駒山荘
栗駒山の中腹、標高1,100mに位置する須川温泉 栗駒山荘。毎分6,000mlの湯量を誇り、古くからみちのくの名湯として親しまれています。
泉質は国内でも珍しい、強酸性のミョウバン緑ばん泉。
白く濁りのある温泉で、筋肉や関節の慢性的な痛みなどに効果があるといわれています。
栗駒山の裾野に広がる須川高原を一望できる、大パノラマ露天風呂が有名。内湯(大浴場)もあります。
〒019-0803 秋田県雄勝郡東成瀬村椿川字仁郷山国有林(栗駒国定公園内)
【営業期間】
4月下旬~11月初旬
【営業時間】
9:00~16:00
※2021年度(令和3年度)から10:00~16:00へ変更
※水不足で時間の短縮がございます。予め、ご了承下さい。
【入浴料金(1回)】
大人…750円
小学生…400円
栗駒山荘の公式HPはこちら
■須川高原温泉
栗駒山の山腹、標高1,126m地点にある須川高原温泉。源泉は須川温泉と同じで、乳白色の強酸性のミョウバン緑ばん泉です。
江戸時代から300年以上の歴史があり、古くから湯治場として親しまれていました。
内湯(大浴場)、巨石がそびえたつ大露天風呂のほかに、蒸し風呂(登山道を5分くらい歩いた所)があります。
2020年5月初旬~11月初旬まで
【営業時間】
内湯…9:00~16:00
外湯…6:00~21:00
【入浴料金(1回)】大人…700円
小学生…350円須川高原温泉の公式HPはこちら
栗駒山周辺の観光スポット(宮城県側)
栗駒山は日帰り登山できますが、近隣に一泊して観光してみるのもオススメです。周辺の観光スポットをご紹介します。
くりはら田園鉄道公園/くりでんミュージアム
現在は廃線となっている「くりはら田園鉄道」を保存し、後世に伝える公園。当時使用されれいた駅舎や機関車庫なども残されており、ノスタルジックな雰囲気が漂っています。
園内にはミュージアムもあり、子どもが楽しめる運転シミュレーターや遊具もあり、ファミリーにもオススメ。
【所在地】
〒989-5501 宮城県栗原市若柳 川北塚ノ根17-1
【アクセス】
東北自動車道 若柳金成I.Cから車で約5分
細倉マインパーク
仙台藩の鉛鉱山として発展した、細倉鉱山(ほそくらこうざん)のテーマパーク。坑道は観光用に整備されており、リアルな人形展示で当時の様子を伝えています。
また鉱山以外にも、宇宙創成ゾーン、古代文明遺跡など、独特でミステリアスな展示が話題を呼び、全国にあるB級スポットの中でも一目置かれてる場所です。
【所在地】
〒989-5402 宮城県栗原市鶯沢南郷柳沢2-3
【アクセス】
東北自動車道 若柳金成I.Cから車で約30分
伊豆沼
ラムサール条約に登録されている、東北最大の低地湖沼「伊豆沼(いずぬま)」。白鳥やマガンなど多種多様な水鳥が生息しており、冬は渡り鳥の飛来地となっています。
周辺には伊豆沼に生息する鳥や魚、昆虫について学べるサンクチュアリセンターがあり、昆虫採集や標本づくり、漁師体験などさまざまなイベントも開催されています。
【所在地】
〒989-4601 宮城県登米市迫町新田
【アクセス】
東北自動車道 若柳金成I.Cもしくは築館I.Cから車で約20分
ほかにも栗原市にはまだまだ観光名所があります。また車で80分ほどいった先には鳴子温泉郷もあるため、宿泊も視野に入れてみてくださいね!
登山と温泉、どっちも楽しめる栗駒山
下山後も温泉という楽しみがある栗駒山。登山未経験者や初心者向けのルートもあるため、気軽にチャレンジできるハードルの低さも魅力の一つですね。
紅葉シーズン中、登山口周辺の道路は大渋滞するため、宿泊を視野に入れてみるのもまた一案。夜は満点の星空が広がり、温泉に浸かりながら星空観賞も楽しめますよ!