伊豆沼・内沼ってどんなところ?
宮城県北部、栗原市(くりはらし)と登米市(とめし)の境にある「伊豆沼」と「内沼」。
東北最大の低地湖沼であり、東京ドーム83個分の広さを誇ります(約387ヘクタール)。
ちなみに東京ディズニーランドの面積は、51ヘクタールです。
夏はハスの花が咲く楽園
伊豆沼・内沼が観光客でにぎわいをみせるのは、夏。
湖面いっぱいにハスの花が咲き、例年7月中旬~8月31日まで「はすまつり」が開催されます。
期間中は小型の遊覧船が運航し、間近でハス観賞を楽しめるのが魅力です。
冬を越す、渡り鳥たちの聖域
冬になると、伊豆沼・内沼は渡り鳥たちの飛来地に。
冬季でも気温が高く湖面の凍結がみられないため、多くの水鳥が越冬のためにこの沼に訪れます。
「朝のとび立ち」と「夕方のねぐら入り」は、宮城を代表する絶景の一つ。
何万羽もの鳥たちが一斉に飛び立つ姿は、一度は目に焼きつけてみたいところ。
■ラムサール条約に登録されている
ラムサール条約とは、湿原や干潟などで暮らす生物の生育環境を守ろう、という国際的な条約です。
伊豆沼・内沼には、白鳥やマガンなど多種多様な水鳥たちが生息・飛来してきます。
そのため1985年、水鳥の楽園としてラムサール条約に登録されました。
国内のラムサール条約湿地は50か所あり、宮城県内では「蕪栗沼(かぶくりぬま)」や「化女沼(けじょぬま)」があります。
湿原や干潟は水鳥をはじめ多くの生物の拠り所となっており、渡り鳥などは国境に関係なく飛来します。そのため世界規模で湿原や干潟などの自然環境を守る取り組みが求められ、ラムサール条約が制定されました。
伊豆沼・内沼の見どころは?
伊豆沼・内沼を訪れるのであれば、夏と冬がオススメ。この季節ならではの伊豆沼・内沼ならではの絶景を楽しめます。
見どころ①夏の「はすまつり」
冒頭でも触れたとおり、夏になると伊豆沼・内沼の湖面はハス(蓮)の花で覆われます。
穏やかな水面にピンクの可憐な花が咲き誇る光景は、美しく壮観です。
陸から見るのも素晴らしいですが、オススメは船上からの鑑賞。開花シーズンになると「伊豆沼・内沼ハス祭り」が開催され、期間中は小型の遊覧船が出ます。
■まるで極楽浄土を思わせる景色
船の速度はゆったりで、ハスの花をじっくりと観察できるのもポイント。
はじめて間近でハスの花をみてみると、その大きさに驚かれると思います。
運航時間は25分ほど(コースは沼の状況により異なる場合あり)。
ハスの花は早朝に咲き午後には閉じる習性があるため、午前中に出かけるのがオススメです。
開催時期:
2021年の開催未定
船の運航時間:
[伊豆沼(①若柳会場)]
8:00~16:00
[内沼(①築館会場)]
7:30~15:00
※天候により早期終了もあり。
料金(遊覧船):
大人(中学生以上)700円、子供400円(①②ともに同じ)
遊覧船受付:
①若柳会場(宮城県伊豆沼・内沼サンクチュアリセンター(鳥館)付近)
②築館会場(サンクチュアリセンターつきだて館付近)※両会場とも無料駐車場あり。大型可。
ハス祭りの詳細ページはこちら
見どころ② 冬の早朝にしかみられない絶景
先ほどご紹介した通り、伊豆沼・内沼は水鳥の越冬地。
およそ235種類もの鳥類が確認されており、日本で確認された鳥類の約4割に相当します。
なぜこれほどの水鳥が伊豆沼・内沼に集まってくるのか? それには様々な要因があります。
まずは水深が浅いこと。伊豆沼も内沼の平均水深は0.8mほどで、水鳥の餌になるマコモなどの水生植物が育ちやすい環境にあります。
水性植物は鳥のエサとなる虫や魚の棲みかになるほか、魚の産卵、鳥の巣作りなど、生態を維持するためにも必要不可欠なな存在です。
また冬季でも降雪量が少なく全面凍結しないことも、水鳥たちが休息地に選んだ理由の一つといえます。
■早朝の”飛び出ち”をみにいこう!
冬の伊豆沼・内沼には、早朝からカメラを携えた人々が訪れます。お目当ては「マガンの飛び出ち」です。
夜間は沼で休んでいたマガンたちが、日が昇るとともにエサを求めて一斉に飛び立つのです。朝焼けの空を、黒い鳥影が埋め尽くす光景は、まさに圧巻。
一斉に飛び立つときに聞こえる羽ばたき音は、環境省が選定した”日本の音風景100選”にも選ばれています。
マガンの飛び立ちは日の出の20分から30分前に始まるので、早起き必須です! 早朝は最低気温がマイナス近くなるため、防寒対策は万全に。
アクセスなどの基本情報
伊豆沼と内沼は駅から距離があるため、自家用車やタクシーでのアクセスをオススメします。サンクチュアリセンター付近に駐車場が併設されており、どこも無料で利用できます。
伊豆沼への行き方
・最寄りのI.Cから
仙台方面……東北自動車道 築館I.Cから約15分
岩手県方面……東北自動車道 若柳金谷I.Cから約20分
みやぎ県北幹線道路を利用……伊豆沼I.Cから約3分
・最寄りの駅から
JR東北新幹線「くりこま高原駅」から車(タクシー)で約10分
JR東北本線「新田駅」から車(タクシー)で約8分
・駐車場
登米市伊豆沼・内沼サンクチュアリセンター(淡水魚館)無料/100台
水門側にも駐車場があります。
内沼への行き方
・最寄りのI.Cから
東北自動車道 築館I.Cから15分
・最寄り駅から
JR東北本線「新田」駅から車(タクシー)で10分
・駐車場について
栗原市サンクチュアリセンター(昆虫館)無料/35台
伊豆沼・内沼周辺の観光スポット
伊豆沼・内沼に関連する施設、周辺の観光スポットをご紹介します。
【登米市・伊豆沼側】伊豆沼・内沼サンクチュアリセンター(淡水魚館)
「水」をテーマに伊豆沼・内沼に暮らす水鳥・水棲動植物の、生態系・生育環境を学べる施設です。
円形の大型水槽を含む24個の水槽では、伊豆沼・内沼に生息する淡水魚を観察できます。入館料は無料。
また沼で行う漁に使われていた道具が展示されており、沼と人々がとどのように関わり暮らしてきたのを紹介しています。
子どもたちの夏休みの自由研究にピッタリの施設です。
〒989-4601 宮城県登米市迫町新田字前沼149-7
定休日:
月曜日(休日の場合はその翌日)
アクセス:
・JR東北本線「新田駅」から徒歩約10分
・JR東北新幹線「くりこま高原駅」から車で約20分
・東北自動車道 築館I.Cまたは若柳金成I.Cから車で約20分
伊豆沼・内沼サンクチュアリセンターの詳細ページはこちら
【登米市・内沼側】サンクチュアリセンター つきだて館(昆虫館)
内沼の北側に位置し、三角屋根の外観が特徴的な建物です。館内には伊豆沼・内沼で見られる昆虫の標本、また世界中の蝶や昆虫の標本が展示されています。
またシアタールームもあり、伊豆沼・内沼の環境をより映像で詳しく紹介しています。入館無料は無料。
1階は休憩所と直売所があり、オリジナルの虫除けスプレーなどのユニークな商品を取り扱っています。
所在地:
〒987-2224宮城県栗原市築館字横須賀養田20番地1
営業時間:
9:00~16:30
定休日:
月曜日(祝日の場合は開館)、 祝日の翌日、 年末年始(12月29日~翌年1月3日)
アクセス:
・JR東北新幹線「くりこま高原駅」から車で約15分
・JR東北本線「新田駅」から車で約10分
・東北自動車道 築館I.Cから車で約15分
【登米市・内沼側】サンクチュアリセンター(鳥館)
宮城県伊豆沼・内沼サンクチュアリセンター(鳥館)は伊豆沼の北部にあり、白鳥が羽根を広げたような外観が特徴です。館内には沼に生息する鳥の剥製、マガンの飛行を模した展示などがあり、鳥類の生態について学べます。
また伊豆沼・内沼の模型があり、のぞく・引き出すといった五感をつかって体感するユニークな展示方法を採用、子どもたちが楽しみながら学べる仕掛けがたくさんあります。
施設ではマガンの飛び立ち観察会や昆虫採集・標本づくり、伊豆沼で漁師体験など、様々なイベントを実施。
詳細はこちらをご確認ください。
所在地:
〒987-2200 宮城県栗原市若柳字上畑岡敷味17番地の2
営業時間:
9:00~16:30
定休日:
毎週月曜日(月曜日が国民祝日にあたる場合は、その翌日)
祝日の翌日、年末(12月29日~12月31日)
アクセス:
・JR東北新幹線 「くりこま高原駅」 から車で約10分
・東北自動車道 築館I.Cから車で約20分
・東北自動車道 築館I.Cまたは若柳金成I.C から車で20分
・みやぎ県北高速幹線道路 伊豆沼I.Cから車で約3分
※駐車場あり(大型バス駐車可)
【登米市】長沼フートピア公園
登米市にある長沼の南にある「長沼フートピア公園」。
丘に建つ風車が園のシンボルであり、オランダから取り寄せたものだそうです。
園内には111mのローラーすべり台、アスレチック広場があるほか、キャンプ場も隣接しています。
宿泊はもちろん、デイキャンプ(日帰り)、バーベキューも可能。
また長沼にもハスが咲き、8月から1か月間「長沼はすまつり」を開催され、大勢の観光客でにぎわいます。
近くには日帰り温泉施設「長沼温泉ヴィーナスの湯」もあるため、汗を流してサッパリしてから帰路につくのもオススメ。
泉質はナトリウム塩化物泉。薬湯、寝湯、立湯、サウナがなど種類も多く、浴室からは長沼を望めます。
〒987-0513 宮城県登米市迫町北方字天形161番地84
営業時間:
6:00〜21:00
定休日:
なし
アクセス:
・JR東北本線「新田駅」から車で約10分
・東北自動車道 築館I.Cから車で約30分
・三陸自動車道 登米I.Cから車で約20分
長沼フートピア公園の基本情報の公式HPはこちら
■栗原市には自然の観光スポットがいっぱい!
今回ご紹介した伊豆沼と内沼以外にも、紅葉の名所で有名な「栗駒山(くりこまやま)」、高山植物の宝庫「世界谷地原生花園(せかいやちげんせいかえん)」、一迫山王史跡公園の「あやめ園」など、自然が見どころの観光スポットがあります。
とくに栗駒山山麓には、天然温泉を楽しめる宿もあるので、ぜひチェックしてみてください! また1日1組限定の農家民宿などもあり、一風変わった宿泊体験もできます。
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夏と冬まったく異なる魅力をもつ自然の宝庫
いかがでしたか? 伊豆沼・内沼は世界的にみても、貴重な自然が残されています。夏には美しいハスの花の絶景を鑑賞でき、冬には白鳥やマガンの力強い羽ばたきを鑑賞できます。伊豆沼・内沼の自然は美しい風景だけでなく、私達がこの自然を守るために何ができるのか、自然の共生についてたくさんのことを学ぶことができる貴重な場所です。
宮城県には他にも、東京五輪会場の候補地に上がり話題になったボート場がある長沼、ラムサール条約に指定されている蕪栗沼といった魅力的な湖沼が多く点在しています。興味のある方はぜひこちらにもお立ち寄りください。
最後に水鳥へのエサやりについて。サンクチュアリセンターや湖付近に鳥用のおやつが100円で販売されています。しかし昨今の鳥インフルエンザ流行などで、鳥への給餌は中止される場合もあるため、ご了承ください。また、手持ちのおやつなどは自然保護の観点から禁止されています。絶対に与えないでください。詳しくは「伊豆沼・内沼の自然観察ルール」をご覧ください。