松の間
松の間は、茶道衆の詰め所として使用された部屋。茶道衆は茶事をつかさどり、給仕や接待を行う役割を担っていたそうです。
襖絵は、松や桜の間に尾長・鳩・雀などが描かれた「松桜図(まつさくらず)」。狩野左京の弟子達による合作と伝えられています。 目が覚めるような金箔に、大きな松と桜が美しく描かれていました。
次は、となりの「鷹の間」へ向かいます。
普段立ち入れない「鷹の間」へ
鷹の間は、伊達家重臣の控えの間であり、別名「礼の間」とも呼ばれています。
襖絵は狩野左京の弟子・九郎太によるもの。今回のツアーでは、鷹の間へ入室することができ、襖絵を間近で鑑賞することができました。
鷹の間の襖絵には、伊達武士への戒めが描かれているそうです。どのような戒めかというと……
こちらは、鷹が鴨を捕らえた襖絵。「カモにされるな」という教えを表現したものだそうです。
こちらは、鷹が鷺(さぎ)を捕らえている襖絵。これは「詐欺を働くな」という教えだそうです。
こちらの襖絵は、穴に入っているウサギを鷹が狙っている姿が描かれています。狡兎三窟(こうとさんくつ)といい、「ウサギは三つの窟を持つことで死を免れた。身の安全、保全のために、いくつかの避難場所や避難策をしっかり用意すること」という意味があるそうです。
続いては、となりの室中(孔雀の間)へ進みます。
普段立ち入れない「室中(孔雀の間)」へ
室中(孔雀の間)は、法要が営まれる本堂の中心となる部屋です。襖絵は仙台藩最初のお抱え絵師・狩野左京(佐久間修理)による「松孔雀図(まつくじゃくず)」。こちらの部屋も入室することができました。
顔を上げて、天井(室内の上面)に注目してみます。
こちらは「二重折上小組格天井(にじゅうおりあげこぐみごうてんじょう)」と呼ばれる天井で、通常より天井面を2段高くした折上という意匠を凝らし、さらに細かい四角状の格子を組んでいます。
これらの繊細な装飾は、室中(孔雀の間)の格式の高さを示してます。
通常拝観では見られない「襖絵」
ツアー参加者は、写真中央にある4枚の襖に全集中!
こちらの襖、通常拝観時は開かれてるため、襖絵全体を見ることができません。
普段の襖を開けた状態がこちら。今回のツアーがいかに特別だということを、お分かりいただけると思います。
襖の上にも注目してみます。こちらは「雲に飛天」の彫刻と、虹梁(こうりょう)の※迦陵頻伽(かりょうびんが)の絵画で、1621年(元和7)前後に彩色されたもの。その後の修理でも、彩色塗り直しはなく現在に至っています。
彫刻と絵画とともに、この部屋が「此の世の浄土」を具現化した空間であることを示しているそうです。
室中(孔雀の間)は、四つの季節が同時に存在することで、世俗的な時間を超越した場所であることを表現しているのだそう。
続いては、室中(孔雀の間)の奥にある仏間に入ります。
仏間を間近で拝観
「室中(孔雀の間)」の奥に位置する仏間は、通常だと廊下からの拝観となります。今回のツアーでは、間近で拝観することができました。
左手から順に、瑞巌寺の三代開山木像、歴代住職の位牌が安置されています。
こちらは伊達政宗公の位牌。「瑞巌寺殿前黄門貞山利公大居士神儀」と刻まれています。
仏間の中央の最上段の奥扉には、ご本尊の聖観世音菩薩像(しょうかんぜおんぼさつぞう)が安置されていました。
ご本尊の右手には、仙台藩2代藩主・伊達忠宗公から12代藩主・伊達斉邦(なりくに)公までの位牌が安置されています。
室中(孔雀の間)をあとにし、となりの文王の間へ向かいます。
普段立ち入れない「文王の間」へ
文王の間は、伊達家御一門(親戚)の控えの間。藩主との対面の場として重要な役割を持つ部屋になります。
奥に見えるのが上段の間です。普段は立ち入れませんが、入室することができました。