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日本三景・松島へ来たら「福浦橋」を渡ろう!
江戸時代初期、全国を行脚した儒教学者・林春斎が記した「日本国事跡考」に、卓越した三つの景観として紹介されたのが現在の”日本三景”です。
日本三景には、京都の「天橋立」、広島の「宮島」、そして宮城の「松島(まつしま)」が選ばれています。
松島とは、松島湾とその周辺に浮かぶ260余りの島々を総称したもので、今回ご紹介する「福浦島(ふくうらじま)」もその内の一つ。陸側から「福浦橋(ふくうらばし)」がかかっており、島へは徒歩で上陸できます。
とくに「西行戻しの松公園」から望める福浦島と福浦橋の景色は、松島を象徴する景色の一つ。観光協会が発行する、松島ガイドマップの表紙を飾ったこともあります。
良縁を引き寄せるパワースポット!
そんな福浦橋ですが、別名「出会い橋」とも呼ばれる”パワースポット”。良縁に出会える橋といわれていますが、巷では未だに「松島の赤い橋をカップルで渡ると別れる」という通説が囁かれています。
実際、Googleで「松島 福浦橋」と入力すると「別れる」というキーワードが出てくるくらいです。ですが、これは誤解です!
松島には福浦橋を含め、3つの”赤い橋”があります。ほか2つは雄島にかかる「渡月橋(とげつきょう)」と、五大堂の建つ小島にかかる「透かし橋(すかしばし)」です。
なかでも渡月橋は、別名”縁切り橋”といわれています。同じ赤い橋ということから福浦橋も縁切り橋、と誤解されているのかもしれません。
また渡月橋も「カップルや夫婦が別れる縁切り」ではありません。というのも渡月橋がかかる「雄島」は中世の頃、僧たちが修業したり死者を供養する霊場でした。
修行しに雄島へ上陸する僧らが、俗世との縁を断ち修行に励むことから”縁切り橋”と呼ばれるようになった、といわれています。
つまり「福浦橋」も「渡月橋」も、カップルで渡って大丈夫! ということです。ご安心ください。
ちなみに3つの橋には、渡る順番があります。
1. 渡月橋(縁切り橋)…悪い縁を切り
2. 福浦橋(出会い橋)…良縁と出会い
3. 透かし橋(縁結び橋)…結ばれる
この順番で橋を渡ると、良縁が期待できるといわれています(この3つの橋を総称して「松島三大橋」ともいう)。
福浦橋・福浦島への行き方
松島へのアクセスは、JR仙台駅から仙石線に乗り「松島海岸駅」で降ります。運賃は420円、各駅停車で40分ほど。
改札を出たら、松島海岸駅を背に最初の信号を左折。松島交番を通り過ぎると右側に広大な松島グリーン広場がみえ、国道45号線沿いに続く「松島海岸通り」に入ります。
海岸通りを道なりに進むと、右手に松島湾、松島島巡り遊覧船の観光桟橋や、透かし橋、五大堂など、観光名所が続々と現れます。左手には飲食店や土産物屋が並び、観光客が多く行き交う賑やかな通りです。
左側に「松島レトロ館」がみえてくるので、右折します。昔から続くレトロな食堂を通り過ぎ、沿岸沿いを歩いていくとベージュ色の建物「カフェベイランド」がみえてきます。
福浦橋と福浦島への入口に到着です。松島海岸駅から、徒歩15分ほどの道のり。
カフェベイランドで、福浦橋の通行券を購入します。通行料金は、大人(高校生以上)200円、子供(小中学生)100円です。
店内は喫茶店になっており、飲み物や軽食、ソフトクリームなどの甘味を提供しています。メニューによってはテイクアウトもOK!
福浦橋・福浦島の基本情報
所在地:
宮城郡松島町松島千隋39-1
営業時間:
3月~10月 8:30~17:00
11月~2月 8:30~16:30
定休日:
なし
アクセス:
【車】
仙台駅から国道45号線を北に向かい、三陸自動車道仙台港北I.Cに入り松島海岸I.Cを出て県道144号線を経由し国道45線へ。仙台駅から約40分。
【電車】
JR「仙台駅」から仙石線「石巻行」に乗車し約40分、松島海岸駅で下車徒歩約15分
駐車場:
① 無料の町営「三十刈駐車場」
・福浦橋まで徒歩約20分
・収容台数:約310台
・24時間OK
② 有料の「松島公園第3駐車場」
・福浦橋まで一番近く徒歩約2分
・収容台数:35台
8:00~18:00 1時間300円
18:00~8:00 1時間100円
福浦橋、福浦島の見どころ
福浦橋は全長252m、幅2.6mの朱塗りの橋。宮城県内初の有料橋として、昭和42年(1967)に完成しました。
橋の正面には福浦島、左手に翁島(おきなじま)、右手には福浦島の右側にある経ケ島(きょうがしま)がみえます。タイミングがあえば、橋の上から島巡りに出航する遊覧船を望めますよ!
橋を渡りきると、いよいよ福浦島へ上陸です。県立自然公園に指定されている福浦島は、自然が豊かなネイチャーパーク。アカマツ、スギ、カエデ、ツバキ、モミなど250種以上の草木が自生しており、秋になると緑の松と紅葉した錦の木々が美しいコントラストを描きます。
島内には舗装された遊歩道が整備されていますが、場所によっては木の根が出ていたりするため、なるべくスニーカーなどヒールのない靴で向かうのがオススメです。
① 小腹が空いていたら「福浦島茶屋」へ!
「福浦島茶屋」は見晴台へ向かう道中にある、2階建てのお茶屋さん。島内唯一のカフェで、昭和チックな雰囲気のあるお店です。
店内には目を引く大漁旗が飾られ、ソフトドリンクやビール、甘酒を販売しています。眺めの良いテラスもあり、島散策の休憩所としてもピッタリ。
軽食もあり、お団子、みそおでん、ぜんざいがオススメです。また店頭には、福浦島の名物「ダルマおみくじ(300円)」があります。木彫りのダルマの中におみくじが入っており、凶を引いてしまったら枝ではなく、島内にある弁天堂の社殿に置いていくのが習わし。
福浦島茶屋の基本情報
営業時間:
3月~10月 8:30~17:00
11月~2月 8:30~16:30
休業日:
なし(年中無休)
② 伊達家ゆかりの名所「弁天堂(弁財天)」
弁天堂があるのは、島の南西端にある高台。「引通島」や「焼島」を臨めるビュースポットでもあります。弁天堂には福浦弁財天が祀られていますが、なぜ福浦島に弁財天が祀られているのでしょうか?
それは時を遡ること江戸時代、仙台藩藩主・伊達政宗公が現在の「大江戸温泉物語グループ ホテル壮観」敷地内にお塩場(高城塩田)を経営するため、元々その地にあった若草神社と弁財天を合祀させたのがはじまり。当時は磯崎弁天と呼ばれ、塩田の守り尊として崇められました。
しかし昭和10年代(1935)に入ると、松島は水族館やホテルの建設など観光化が進んでいきます。世の情勢を考慮し、磯崎弁天は瑞巌寺の126世・盤龍和尚によって福浦島へと移されたのです。
ちなみに塩田は埋め立てられ、昭和32年には大浴場を目玉とする「松島温泉ヘルスセンター」や「松島タワー」という展望スポットが建設されました※2002年に解体されています。
③ 島の穴場!「弁天堂付近の浜辺」
弁天堂から沿岸沿いに見晴台を目指していくと、途中に浜辺に行ける下り坂の小道があります。案内標識は出ていないため、見落とさないようご注意ください。
途中急な斜面を降りるため、ロープを使って上り下りをする探検気分を味わえます。浜辺まで訪れる人も少ないため、雰囲気はプライベートビーチさながら。思わずバシャバシャしたくなります。※遊泳やキャンプは禁止されています。
④ 日本三景・松島の景色を望む「見晴台」
「見晴台」があるのは島の最南端、弁天堂とほぼ対角線上に位置する島内一のビュースポット。高台となっている多角形の木製デッキからは、左手に龍のような形をした「九ノ島」、正面には「焼島」、「引通島」を眺望できます。
ただ長く伸びた松の枝によって視界が遮られ、少し景色が見えづらく感じてしまう面も……。とはいえ、松の葉越しからみる松島の景色も、なかなか風情があっていいものですよ。
⑤ 高台から松島を望む「四阿(あづまや)」
「四阿(あづまや)」は先ほど紹介した見晴台の手前、見晴台方向と天神崎方向との分岐点に位置しています。見晴台よりやや高台にありますが、周囲は緑に囲まれており木々の間から松島湾をみるため、眺望はいまひとつ……。
しかし見晴台からはみえない「絵島」を至近距離で臨めますし、屋根付きのベンチが設置されているため休憩所としても利用できます。
⑥ 子どもが遊べる「多目的広場」
「多目的広場」は弁天堂と福浦島茶屋の中間地点に位置している、大きくひらけた芝生の広場です。子供が走り回って遊ぶには十分な広さがあります。近くに公衆トイレもあるので、休憩ポイントとしてもいいですね。
⑦ 天神崎
「天神崎(てんじんざき)」は見晴台の反対側、陸側に位置しているビュースポットです。右手には海に浮かぶ「翁島」、左手には渡ってきた福浦橋と松島の町並みを一望できます。
ここまで、福浦島の見どころをご紹介してきました。他にも島内には、縄文時代の貴重な貝塚が残されています。余裕があれば、そちらにもぜひ足を運んでみてください。
⑧ 光り輝く福浦橋
福浦橋は、通年で夜間のライトアップが行われます。黒い海に浮かぶ、光輝く橋……昼間とはまた違った、神秘的な姿をみせてくれます。
ライトの色は四季やイベントによって変わり、桜のピンク色や松の緑色、松島湾の青色など幻想的な配色も見どころです。
ライトアップの基本情報
点灯時期:
通年(満月とその前後の3日間は消灯)
点灯時間:
4月から8月…18:00~22:00
9月から3月…17:00~22:00
福浦橋以外の橋も渡ると、イイことあるかも…?
ここまで福浦橋を紹介しましたが、あと二つ「渡月橋」と「透かし橋」も余裕があれば、ぜひ足を運んでみてください。
福浦橋と透かし橋は近い方ですが渡月橋は反対側に位置しており、徒歩20分くらいと距離があります。
① 将来を見定める「透かし橋」(五大堂)

「透かし橋(すかしばし)」は「五大堂」が建つ小島にかかる朱色の橋。橋げたが格子状になっており、足下から海が透けてみえるスリリングな橋です。”足元をみて将来を見定める”ことから、透かし橋という名が付けられました。
カップルで渡ると、つい手を取り合ってドキドキすることから別名は「縁結び橋」と呼ばれています。足元をよくみて十分注意して渡ってくださいね。
透かし橋を渡った先には、国の重要文化財に指定されている「五大堂」があります。現在の建物は、慶長9年(1604)伊達政宗によって造営されたものです。
② 悪縁を断つ「渡月橋」(雄島)
「渡月橋(とげつきょう)」は、雄島(おしま)にかかる朱塗りの橋。福浦橋からは遠いですが、松島海岸駅からだと徒歩約6分です。
古来は霊場であった雄島へ修行に赴いた僧が、渡月橋を渡る際に俗世間と縁を切ったことから「縁切り橋」と呼ばれています。決して、悪い意味の縁切りではありません。
島内には自然遊歩道が整備されており、30分程度で島内を一周できます。島内には修行僧によって掘られた仏像や石塔が安置されていたりと、古の面影を色濃く残している貴重な島です。
福浦橋・福浦島周辺のランチ情報!
① 松島海岸通り
松島といえば、やはり牡蠣(カキ)! 松島海岸通りには、さまざまな食事処が軒を連ねています。
筆者が個人的にオススメしたいのは、松島海岸通りにある「かき松島 こうは」。牡蠣料理の専門店で牡蠣のひつまぶしや、牡蠣のしゃぶしゃぶというような、牡蠣をメインとした食事を提供しています。
また松島海岸通りにある「松島蒲鉾店」では、宮城名物”笹かま”の手焼き体験ができたり、「松島玉手箱館」1階にある「Pensee(パンセ)」の牡蠣カレーパンや牛タンカレーパンなども人気ですね。
松島さかな市場に寄ってみるのもアリ
ランチ時には多くの観光客が足を運ぶ、「松島さかな市場」。福浦橋から徒歩約10分、松島海岸通りに面している「みちのく伊達政宗歴史館」の裏手にあります。
館内は2階建てになっており、1階は地元の物産品や海産物を扱うマーケット、2階が食堂です。寿司、丼、焼き物、ラーメンなどメニューも豊富で、食材は旬の物を使用しています。とくにマグロは、自社の船で釣り上げたものを直送しているため鮮度バツグン!
食堂には松島の観光雑誌なども置かれているため、観光の休憩にもピッタリ。
2020年に松島離宮がオープンします!
松島海岸駅から徒歩約1分、松島水族館の跡地に「松島離宮」が完成します。2020年4月に飲食店など半分の施設が先行オープン。2020年9月末には全面オープン予定です。
松島に新しい観光スポットが増えますね! 福浦橋と福浦島観光の帰りに、ぜひお立ち寄りください!