伊達五山とは?
伊達五山は、伊達氏初代夫婦、3代夫婦、4代当主の菩提寺
「伊達五山(だてござん)」は仙台市ではなく、はじめは福島県伊達郡にありました。
5つとも臨済宗のお寺で、すべて伊達氏の菩提寺です。
伊達氏は初代~3世まで、一族の菩提寺がありませんでした。
しかし仏教に帰依していた伊達氏4世・伊達政依(だて まさより)が、自身の菩提寺「東昌寺」(とうしょうじ)を創建し、これが伊達家最初の菩提寺となります。
※菩提寺(ぼだいじ)…お寺の土地に先祖代々の墓があり、法要を営むお寺のこと
また政依は、初代夫妻の寺として「光明寺(こうみょうじ)」と「満勝寺(まんしょうじ)」を建てます。
さらに両親の寺「観音寺」「興福寺(光福寺)を創建。
「東昌寺」「光明寺」「満勝寺」「観音寺」「興福寺(光福寺)」。
計5つの寺院を建てた政依は、鎌倉や京都の五山にならい「伊達五山」と称します。
その後伊達五山は、福島県伊達、宮城県岩出山と、伊達家の本拠地とともに移動。
仙台開府の際に現在の仙台市青葉区北山に落ち着き、以後「伊達五山」から「北山五山」と呼ばれるようになります。
廃寺、吸収、独立、変化する伊達五山
伊達五山のうち「観音寺」と「興福寺」は廃れ、「資福寺(しふくじ)」が吸収。
さらに資福寺から「覚範寺(かくはんじ)」が分かれ、独立します。
こうして現在の「北山五山(伊達五山)」は、「東昌寺」「光明寺」「満勝寺」、そして「資福寺」「覚範寺」を合わせた5つの寺となりました。
唯一「観音寺」は江戸時代に再興し、福島県伊達郡桑折町の指定有形文化財として現在も残っています。
輪王寺は北山五山?
「伊達五山」はすべて臨済宗の寺院です。
しかし「北山五山」の一つである満勝寺は、寛文7年(1667)に北山から仙台市青葉区柏木地区へ移転しています。
そのため北山にある曹洞宗の「輪王寺」を加え、北山五山とする場合があるようです。
しかし「北山五山」は臨済宗の寺院のみで、輪王寺は曹洞宗。一般的に輪王寺は「北山五山」に含まれません。
ですが同じ北山にあるので、今回は「輪王寺」も合わせてご紹介します。
① 初代伊達家当主夫人の菩提寺「光明寺」
「光明寺(こうみょうじ)」は、弘安6年(1283)現在の福島県伊達郡国見町に創建されました。ご本尊は千手観音。山号は松蔭山で、仙台藩の一門格の寺院です。
伊達家初代当主である、伊達朝宗(だて ともむね)夫人の※菩提寺。慶長9年(1604)現在の北山に移転しています。
支倉常長の墓がある
光明寺には慶長18年(1613)に慶長遺欧使節(けいちょうけんおうしせつ)として、石巻からメキシコやスペイン、ローマへ渡航した支倉常長(はせくら つねなが)の墓があります。
右の四角い石碑は、使節団の案内人を務めたルイス・ソテロの記念碑です。
【光明寺の基本情報】
所在地:
〒981-0916 仙台市青葉区青葉町3-1
アクセス:
<電車>
JR仙山線「北仙台駅」から徒歩で約5分
仙台市営地下鉄 南北線「北仙台駅」から徒歩で約5分
<車>
東北自動車道 仙台宮城I.Cから車で約20分
駐車場:
無料/数台
② 伊達家最初の菩提寺「東昌寺」
「東昌寺(とうしょうじ)」は、弘安6年(1283)福島県伊達郡桑折町に創建されました。
五山の筆頭格で、ご本尊は釈迦牟尼仏。山号は無為山で、仙台藩の一門格寺院です。
東昌寺は伊達氏4世・伊達政依(だて まさより)の菩提寺であり、伊達家最初の菩提寺でもあります。
伊達家と共に福島県桑折から、山形県米沢へ。その後は宮城県岩出山に移り、慶長5年(1600)現在の北山に移っています。
政宗が植えたマルミガヤ
東昌寺には、政宗が仙台城の鬼門よけとして植えたとされる巨大なマルミガヤがあります。推定樹齢は、なんと500年! 平成7年(1995)国の天然記念物に指定されました。
マルミガヤの実は「御前榧(ごぜんがや)の実」として重宝され、代々藩主の食用とされていたようです。
青葉神社の創建による影響
もともと仙台城内にあった青葉神社は廃城と共に消滅しますが、明治6年(1873)仙台市の北山に創建されます。これに伴い、東昌寺は境内の西側3分の2を青葉神社に提供。
その後東昌寺は、満勝寺跡地だった東側に建物を移しています。
【東昌寺の基本情報】
所在地:
〒981-0916 仙台市青葉区青葉町8-1
アクセス:
<電車>
JR仙山線「北仙台駅」から徒歩で約8分
仙台市営地下鉄 南北線「北仙台駅」から徒歩で約8分
<車>
東北自動車道 仙台宮城I.Cから車で約20分
駐車場:
無料/約10台
③ 政宗の父の菩提寺「覚範寺」
「覚範寺(かくはんじ)」は天正14年(1586)に、伊達政宗によって現在の山形県米沢市遠山町に創建されました。
ご本尊は聖観音で、政宗の父・輝宗(てるむね)の菩提寺です。山号は遠山(えんざん)で仙台藩の一門格寺院。政宗の師である虎哉(こさい)和尚が開山始祖となっています。
伊達家と共に米沢から岩出山、仙台愛宕山へと移りました。
しかし御小人騒動や山火事、放火などで何度も焼失にあいながらも、そのたびに再建。
北山へ移り現在に至っています。本堂は、昭和42年(1967)に再建されたもの。
保春院(義姫)の墓
覚範寺には、政宗の母・保春院(ほしゅんいん)がお眠りになられています。左の大きな石塔は、政宗の3男で黒川城主の伊達宗清(だて むねきよ)の供養塔です。
【覚範寺の基本情報】
所在地:
〒981-0931 仙台市青葉区北山1丁目12-7
アクセス:
<電車>
JR仙山線「北仙台駅」から徒歩で約13分
仙台市営地下鉄 南北線「北仙台駅」から徒歩で約13分
<車>
東北自動車道 仙台宮城I.Cから車で約20分
駐車場:
無料/約8台