②「大坂」は地下鉄の大町西公園駅から大橋へ
大阪ではありませんよ!
「大坂(おおさか)」は青葉通りの大町から、仙台城に通じる大橋まで続く下り坂のこと。
地下鉄東西線「大町西公園駅」の西出口1のすぐ近くに「大坂」「大町頭」と刻まれた辻標(つじしるべ)があるので、目印にしてください。
「大坂」の由来は明らかにされていませんが、大町から大橋までの坂なので「大坂」なのかもしれませんね。
大橋側からみる大坂
筆者がもつ『仙台市史 特別編7 城館』の付録「奥州仙台城絵図」をみると、大坂の部分は「坂」と記されていました。
現在と比べてみると絵図の道はかなり短く、大町方向に向かって北に曲がり、さらに途中から南に曲がり「くの字」のような坂道が描かれていました。
現在はなだらかな坂ですが、藩政時代はかなり急な坂だったようです。
史料によると大町1丁目から橋まで坂を削り、真っ直ぐにしたのは明治以降のこと。幾度も坂を削り、現在の姿に至ったそうです。
大坂から下りて大橋と広瀬川をみよう
大坂側の大橋のたもとから、広瀬川の岸へ下りる道があります。
現在の大橋は昭和13年(1938)に架けられたもので、全長は約116mで幅が約11m。下から望む大橋は迫力満点です。
広瀬川の眺めもいいので、ぜひ!
こちらは広瀬川の岸に建つ「仙台キリシタン殉教碑」。
江戸幕府によるキリシタン弾圧により、仙台藩に捕らえられたポルトガル宣教師カルヴァリヨ神父と信徒ら9名が、大橋の下につくられた水牢に入れられ殉死したと伝えられています。
所在地:
〒980-0805 仙台市青葉区大手町1-1付近
アクセス:
<電車>
仙台市地下鉄東西線「大町西公園駅」からすぐ
<車>
東北自動車道「仙台宮城I.C」から約7分
駐車場:
なし
近隣の有料駐車場をご利用ください。
③ 「藤ヶ坂」の目印は仙臺大神宮
次は「藤ヶ坂(ふじがさか)」に向かいました。
藤ヶ坂へは、青葉区片平丁の南町通りにある「仙臺大神宮」の向かいにある道を花壇方面に下ります。
そのまま進むと、右手に藤坂神社がみえてきます。神社の左手にある階段が藤ヶ坂です。
上からみる藤ヶ坂
ここに藤の木があったので、藤ヶ坂と名前が付いたといわれています。
以前は、毎年5月上旬から5月下旬にかけて美しい藤の花が咲いていました。
現在は残念ながら藤の木はなくなってしまい、藤棚だけが残されています。
坂の中腹に鎮座する「藤坂神社」には、織姫が祀られている
坂の中腹あたりに鎮座する「藤坂神社(ふじさかじんじゃ)」。
この藤ヶ坂にちなんで付けられた名前だそうですが、「藤坂織姫神社」と呼ばれています。
なぜ織姫が祀られているのでしょうか?
工場に織姫が祀られていた!
それには高級絹織物で知られる「仙台平(せんだいひら)」の袴や帯、羽二重などをつくっていた、小松機業場という工場が大きく関係しています。
この工場は、旧町名の良覚院丁(現在の片平丁)というところにありました。
当時、工場では染釜で染めた絹糸を広瀬川で洗っていたそうです。
その後、地元百貨店の藤崎が小松機業場に出資し、明治24年(1891)藤坂神社の向かい側に藤崎織工場を設立します。
上の地図(仙台地図さんぽ「仙台市地図 大正元年初版」)にも、藤崎織工場の名前が記されていますね。
織姫を祀ったのは、この藤崎織工場がはじまり。そして時が経ち、織姫は工場から藤坂神社へ遷されたといいます。
神社は仙台空襲の戦火からも奇跡的に免れ、昭和31年(1956)地元民により現在の場所へ移設されたそうです。
藤ヶ坂は観光ルートだった!?
昭和11年(1936)、広瀬川河畔の評定河原(青葉区花壇)に全国で11番目となる動物園「仙台市動物園」が開園。
このことから藤ヶ坂は、仙台城から動物園周辺へいたる観光ルートとして使われていた可能性も考えられています。
仙台市動物園は昭和19年(1944)に、戦災の影響で閉園となりました。
仙臺大神宮もお参りしよう
藤ヶ坂のすぐ近くにある”宮城のお伊勢さま”、「仙臺大神宮(せんだいだいじんぐう)」へもぜひお立ち寄りください。
御祭神はもちろん天御中主命(あめのみなかぬしのみこと)。
ご利益は健康長寿、恋愛成就など。また宮城県における神前婚発祥の神社とされています。
所在地:
〒980-0805 仙台市青葉区大手町6付近
アクセス:
<電車>
仙台市地下鉄東西線「大町西公園駅」から徒歩約2分
<車>
東北自動車道「仙台宮城I.C」から約7分
駐車場:
なし
近隣の有料駐車場をご利用ください。
④ 「新坂」は澱不動尊から宮城県知事公館へ
「新坂(にいざか)」は、青葉区広瀬町にある「澱不動尊(よどみふどうそん)」から宮城県知事公館へいたる道中にあります。
仙台七坂の中では一番急な坂で、自転車で駆け上がるのも困難なほど……。
車でも上りはエンジン音が一段と大きくなるところで、上り下りともにカーブはとくに注意が必要です。
新坂の由来
『伊達治家記録(だてじけきろく)』によると、元禄7年(1694)「澱橋(よどみばし)」の建設にともない、広瀬川の左岸方面から支倉町方面へ通じる道を開くため、崖を切り開いて坂道をつくったと記されています。
その坂こそが、現在の新坂。新たな坂が誕生したので、新坂と命名されたそうです。そのまんまですね。
新坂とつながる宮城県知事公館前から北山の輪王寺に通じる道は、新坂通と命名されています。
新坂を澱不動尊側から歩いてみよう
新坂の手前に鎮座する「澱不動尊」。
こちらには仙台市内最古の「澱不動尊文永十年板碑(よどみふどうそんぶんえいじゅうねんいたび)」があります。
板碑は鎌倉時代の文永10年(1273)に建てられたもので、仙台市の有形文化財に指定されています。
兵衛太郎という人の極楽浄土を願い、建てられたものだそう。
澱不動尊より少し進むと、すぐに新坂がみえてきます。
最初は緩やかな右カーブが現れ……。
2つ目は左カーブ。ここが一番危険なポイント。
カーブミラーが立つ隣に「新坂」の辻標が立っています。
左カーブを過ぎると直線の坂道です。
新坂を上りきると、すぐ左手にあるのが「宮城県知事公館」。
ここは諸外国の大使や皇族などの賓客(ひんきゃく)をもてなす迎賓館として使用されています。
入口に構えるこの門は、もともとは仙台城にあったものです。
大正時代(1912~1926)に第二師団長官舎の正門として移築されました。
宮城県の有形文化財に指定されています。
宮城県知事公館は空きがあれば一般の方でも土日のみ見学可能です。予約空き状況の確認はこちら。
所在地:
〒980-0873 仙台市青葉区広瀬町7付近
アクセス:
<電車>
仙台市地下鉄東西線「大町西公園駅」から徒歩約20分
<車>
東北自動車道「仙台宮城I.C」から約10分
駐車場:
なし
近隣の有料駐車場をご利用ください。
仙台七坂後編へつづく。
前半は「扇坂」「大坂」「藤ヶ坂」「新坂」をご紹介しました。
藩士たちの通勤路だったかもしれない「扇坂」、幾度も削られ平らに整えられた「大坂」、織姫神社を祀る「藤ヶ坂」、崖を切り通してつくられた「新坂」。
目立つ見どころはありませんが、「昔はこうだったのかなぁ~」と昔に思いを馳せて歩いてみると楽しいですよ!