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かまばこ一筋百年以上「馬上かまぼこ店」とは?
今回取材させていただいたのは、大正元年創業の老舗蒲鉾店「馬上(ばじょう)かまぼこ店」さん。
宮城県南部の亘理町に根ざし、仙南を中心に8店舗の直営店を構えています。
近年はさらに販路を広げ、現在は福島県、岩手県、秋田県、新潟県、茨城県や東京都など、関東地区へも進出しています。
東日本大震災による被災、そして創業110年目へ
そんな馬上かまぼこ店さんですが、平成23年(2011)3月11日に発生した東日本大震災では、本社工場と直営店が被災しました。
復旧工事のため、1か月の休業を余儀なくされましたが、同年4月には「船岡店」を除く各店が営業を再開。
7月に「船岡店」も復興改装オープンし、震災で混沌とした状況下で、再びかまぼこ作りをはじめました。
そして震災の翌年、平成24年(2012)に創業100周年を迎えたのです。
その後も、時代が求める美味しさを食卓に届け、来年で110周年を迎えます。
「細工かまぼこ」を受け継ぐ、数少ない作り手
古くから、婚礼などのお祝い事などに振舞われた「細工かまぼこ」。
「お祝い蒲鉾」とも呼ばれ、ご存じの方も多いのではないでしょうか。
馬上かまぼこ店は、数少ない細工かまぼこの製造メーカーです。
今回の取材では、常務取締役の馬上さんが数年ぶりに自ら絵付けをするという、滅多にみられない貴重なシーンを拝見させていただきました。
「細工かまぼこ」ができるまで
まずは枠の内側に、生地を丁寧に詰めていきます。
次に食紅で生地に色を付けます。色の種類は赤、黄、青の3種類。無い色は調合して色をつくるそうです。
こちらは型抜き専門の職人さん。手際よく、サクサクと鯛の型抜きをしていました。
細工かまぼこは、1人で全てを仕上げるのではありません。
各パーツによって絵付けが異なるため、それぞれ得意な技術を持つ職人さんが、役割分担して仕上げていくそうです。
ひとつひとつ心を込め、手間を惜しまずつくられています。
絞り袋を使い、次々と絵付けしていきます。人の手によって描かれた、お祝いを表す豪華な装飾。
こ……細かい!
鯛の目を入れる、仕上げの作業です。華麗な絵付けは、食の芸術品そのものですね。
他の細工かまぼこも、次々と仕上げていきます。乱れが一切ない、見事な職人技です!
”寿”の漢字は、一筆書きで仕上げるそうですよ。
こちらは打ち出の小槌。紐が垂れている細かなところまで、リアルに表現しています。
これぞ熟練職人による神業!
常務取締役の馬上さん、お忙しいところありがとうございました。
仕上がった細工かまぼこは、台車に乗せられ蒸す工程へ。
25分ほど蒸し器の中で蒸されて、最後に真空パックされます。
完成した細工かまぼこの、豪華7点セットがこちら!
鮮やかな色彩に、お祝いを表す豪華な装飾が目を引きます。
すべて手づくりなので、同じものは2つとありません。お祝いにふさわしい、“特別”が詰まっためでたい蒲鉾です
写真のGOGO MIYAGIの名入れが施された細工かまぼこセットは、今回特別につくっていただきました。
なお、名前入れは無料で対応してくださるそうです。
十分観賞したのち、美味しくいただきました!
めでたい日には、古から続く縁起物「お祝い蒲鉾」を!
こちらは端午の節句を祝う、お祝い蒲鉾。この時期だけの、限定かまぼこです。
もちろんすべて手作り。まるでケーキののような色鮮やか装飾で、かわいらしい見た目は写真映えも間違いなし!
馬上かまぼこ店の人気かまぼこベスト3!
かまぼこは「焼く」「揚げる」「蒸す」「燻製」と自由自在に加工できるそうで、各社趣向をこらし製品を生み出しています。
中でも馬上かまぼこ店さんは、バラエティ豊かな製品で知られ、笹かまぼこだけでも牛タン、チーズ、ずんだ、えび、しそなど数種類の味があるほど。
ほかにもデザート風味のかまぼこや、酒の肴にピッタリな揚げかまぼこなど、名わき役たちも人気を集めています。
今回は馬上かまぼこ店さんに、人気の製品ベスト3をご紹介いただきました。
【第3位】燻製の香りで美味しさマシマシ!くんせい笹かま 笹かまくんの「わさびチーズ」
魚のすり身にポークウインナーやわさびチーズを加え、丁寧に薫製した「くんせい笹かまぼこ 笹かまくん」シリーズ。
なかでも人気なのが、わさびとチーズを合わせた笹かまくん。
伝統的な笹かまぼことはひと味違う、香ばしい香りと洋風の味付けが人気を呼んでいます。
【第2位】ふっくら美味しい!酒のつまみに「揚かま」
カリっと揚げた衣に、シャッキリとした食感がたまらない「揚げかま」。おやつやビールのつまみにピッタリ!
きんぴら、ごぼう、えび、れんこんの4種類の味をお楽しみいただけます。
【第1位】なんてったって定番中の定番!「笹かまぼこ」
百年以上つくり続けている、古から変わらぬ味「笹かまぼこ」。馬上かまぼこ店が自信をもってお届けする一品です。
ぷりっとした歯越えは、思わずクセになりそう。宮城県の名産ですし、お土産や贈り物としても間違いありません。
馬上かまぼこ店の「イチオシ」製品は?
馬上かまぼこ店のオススメは、ふだんのご馳走シリーズの「ちぎり揚げ」。
贈答用だけではなく、ご家庭でのふだんのご馳走としてお楽しみいただけるように、お惣菜もあります。
不定期販売ではありますが、コーン、いか、お好み焼き風等の種類があり、大変人気の商品なんだそうです。
かまばこ工場を見学できる「馬上かまぼこ店 笹かまの郷」
県内にある8店舗のうち、本社と工場が併設する「馬上かまぼこ 笹かまの郷(亘理町)」へお邪魔させていただきました!
さっそく店内に入ると、左手から宮城県出身の民謡歌手であり、馬上かまぼこ店のCMでも出演されている庄司恵子さんがお出迎え!
馬上かまぼこ店の歴史や、笹かまぼこの製造工程などを紹介する映像も流れています。
店内1階から、かまぼこ工場を見学できる
店内1階には工場を見学できるスペースがあり、大きなガラス越しから笹かまぼこの製造工程が間近で見学できます。
学校の遠足などで予約すると、店長自ら工場見学の案内をしてくださるそうです。
目移りするほど、種類が豊富なかまぼこたち
正面のショーケースに並べられているのは、笹かまぼこの商品群。
上段にはメイン商品である伝統の笹かまぼこの他に、吉次入りの笹かまぼこやずんだ笹かまぼこがありました。下段は笹かまぼこのセット商品です。
ほかにも真空パックの笹かまぼこや、牛たん笹かまぼこ、単品商品としてはチーズ、えび、しその3種類の味が楽しめる真空パックの笹かまぼこ(笹ごのみ)なども販売されています。
笹かまぼこ1つとっても、何種類もの味があるのは驚きです!
また店内には、かまぼこ以外の宮城の名菓や物産が販売されています。
仙台の老舗どら焼き店「こだま」の生どらや、牛たんなど!
かまぼこ製品だけでなく、宮城のお土産品が揃うのは助かりますね。
また地元の亘理高校とやまうち農園がコラボした、「完熟いちじくのグミ」という珍しい商品も置かれています。
直営店舗の1階はここまで。次に2階をみてみましょう。
「笹かまの郷」の2階へ
店舗の2階は、広々としたギャラリー。
笹かまぼこの工程などの説明パネルが展示されており、馬上かまぼこ店の歴史や笹かまぼこの雑学を学べます。
子どもの自由研究の参考になりそうですね。
明治末期頃から、魚のすり身をつくるために使われた石臼が展示されています。
となりにあるのが、笹かまぼこの形をつくる木の型枠。昔の職人さんは型枠を使い、1枚ずつ手づくりしていたそうです。
2階からも見学できる、笹かまぼこの生産ライン。職人さんたちの作業風景がみられ、製造工程の一部をみることができます。
所在地:
〒989-2371 宮城県亘理郡亘理町逢隈鹿島字西鹿島62番地
電話番号:
0223-34-1258
営業時間:
8:30~18:30
定休日:
1月1日のみ
アクセス:
<車>
常磐自動車道 亘理I.Cより約10分
<電車>
JR常磐線「亘理駅」より、タクシーで約5分
駐車場:
無料/大型車6台、普通車100台
笹かまぼこの製造現場を見学させていただきました
仙台より車を南に走らせること約50分、仙南と呼ばれるエリアを中心に百年以上かまぼこを作り続けている「馬上かまぼこ店」さん。
実は今回「馬上かまぼこ店 笹かまぼこの郷」で、製造工場の内部を取材させていただきました!
普段何気なく口にする、笹かまぼこ。
一体どのような工程を経て、みなさんの食卓に並ぶのか……気になった方はぜひご覧ください。