特急「ひたち」ってどんな電車?
首都圏から仙台までの交通手段は、新幹線、高速バス、夜行バス、車、在来線と様々な手段があります。
今回ご紹介するのは、JR常磐線(※)の特急「ひたち」です。
特急「ひたち」は東京と仙台を結び、太平洋沿岸をほぼ南北に走ります。
※常磐線(じょうばんせん)…東京都荒川区の「日暮里駅」から、千葉県北西部、茨城、福島県の太平洋沿岸を経由し、宮城県岩沼市の「岩沼駅」まで続くJR東日本の路線。
1時間に1本ペースで運行しており、品川から仙台までおよそ4時間半。
新幹線(はやぶさ)だと90分で仙台に着くので、列車旅を楽しみたい方に向いています。
東日本大震災から9年、2020年3月に全線開通
2011年3月11日に起きた東日本大震災で、常磐線は津波により大きな被害を受けました。
線路は寸断され、不通区間が最大100キロ以上。さらに福島第一原発事故の影響もあり、福島県内の「富岡~浪江」駅間が不通となり、東京発の特急ひたちは「いわき駅」止まりでした。
特急ひたちを含む、常磐線の全線が開通したのは2020年3月。およそ9年ぶりに品川~仙台までが1本の線路で繋がりました。
震災前の旧ルートは内陸に移転。車窓からみえる海岸一帯には防波堤が築かれていました。
「特急ひたち」の車窓からの風景を4K高画質で!
特急「ひたち」の料金と、ちょっと変わった乗車システム
新幹線よりちょっと安い
割引などを考えず、通常期の<東京→仙台間>の乗車券と特急料金の合計額で比べてみます。新幹線より少し安いです。
【特急 ひたち】…約4時間38分
指定席…9,280円、グリーン…12,940円
【新幹線 やまびこ】…約2時間~2時間20分
自由席…10,560円、指定席…10,890円、グリーン…14,750円
【新幹線 はやぶさ/こまち】(自由席なし)…約1時間32分
指定席…11,210円、グリーン…15,070円
※料金は時期によって異なります。
乗車券は「座席指定券」と「座席未指定券」の2種類
特急ひたちは全席指定席ですが、席を指定する「座席指定券」と、座席指定券を持たずとも乗車できる「座席未指定券」があります。
「座席未指定券」は、空いている席に自由に座れる券です。しかし乗車時に空席だったとしても、次の駅で座席指定券を持った人が乗車してくる場合もあり、席を譲らなければなりません。
座席の利用状況は、座席上に設置されたランプの色で判断できます。
黄色→座席指定券を購入した人が乗ってくるため、席を譲る必要がある
緑色→利用不可
そんな「座席未指定券」ですが、料金は座席指定券と同額です。席を譲る必要がない、座席指定券を買っておく方が安心だと思います。
ビジネス利用にも最適!freeWi-Fi、電源コンセントあり
車内では、JR東日本のWi-Fiサービス「JR-EAST FREE Wi-Fi」を利用できます(利用時にアドレス登録が必要)。トンネルが少ないので、わりと快適に利用できました。
ひじかけにはコンセントが付いており、動画見ながら充電したい人や、テーブルを下ろして作業しながら充電することもできます。
特急「ひたち」に乗って、仙台へ!
実際に上野駅から乗車し、特急ひたちで仙台へ向かいました。朝早い便ですが、カメラを持った人などが結構いました。
特急ひたちは10両編成です。グリーン車は5号車のみ。
トイレや化粧室(ベビーベット、ベビーチェア)があるのは、奇数号車の水戸・仙台方面側です。
座席の様子
座席は2席×2列です。黒一色で落ち着きのある雰囲気。
荷物置き場がないため、スーツケースなど大きな荷物がある場合は1番後ろの座席を選ぶといいでしょう。(仙台方面なら1番、東京方面は大きい番号)
なお、海景色を見たい場合は「A席」または「B席」を選びましょう! C、D席は内陸側のため、海がみえません。
停車駅
品川、東京、上野、日暮里、松戸、柏、龍ヶ崎市(りゅうがさきし)、牛久(うしく)、ひたち野うしく、荒川沖(あらかわおき)、土浦、石岡、友部(ともべ)、赤塚、水戸、勝田、東海、大甕(おおみか)、常陸多賀(ひたちたが)、日立、高萩、磯原、勿来(なこそ)、泉、湯本、いわき、広野(ひろの)、富岡、大野、双葉、浪江(なみえ)、原ノ町、相馬、亘理(わたり)、岩沼、仙台
【特急ひたちの車窓から】上野~湯本
上野駅を出発して、すぐに東京スカイツリーがみえます。乗車時は天候に恵まれず、曇天に雨でした。
茨城県に入ると、のどかな景色へと変わります。しばらく田園地帯が続きます。
「4時間半も起きてられない」という方は、水戸駅くらいまでお昼寝するのもいいかもしれません。
広大な田畑、等間隔に並ぶ鉄塔、こんもりした緑の雑木林。写真上のような景色がしばらく続きます。
【特急ひたちの車窓から】水戸~仙台
水戸から先、景色がだんだん変わってきます。田園地帯から、海を望む海岸へ。
水戸~いわき~富岡間で、海がちょこちょこ見られました。茨城県と福島県の県境、勿来(なこそ)辺りはきたら、ぜひ車窓に注目を!
湯本(ゆもと)駅周辺。「いわき市石炭・化石館 ほるる」がみえました。常磐炭田(じょうばんたんでん)の歴史や化石資料を展示する施設です。
湯本駅の隣にある「いわき駅」ですが、じつは東日本大震災以前、JR東日本の計画では特急列車「ひたち」「いわき」の運行区間を、上野~いわき間の列車、いわき~仙台間に分割する計画が進んでいました。
つまり、都心と仙台を結ぶ直通列車がなくなる予定だったのです。すでに新しい列車名の公募まではじまっていました。
その計画は白紙となり、特急ひたちは現在も仙台と東京を結んでいます。
太平洋の海原です。天気が良ければ絶景だったことでしょう…。
「広野(ひろの)駅」を過ぎると、また景色が変わってきました。海岸には堤防が続き、建物のない、草木が生い茂る平地が広がります。
防風林の一部らしき松林が遠くにみえました。視界を遮るものがなく、遠くの海まで見通せます。
広野から先は、福島第一原発事故による影響で帰宅困難区域に指定されていた地域です。同時に津波に被害も甚大で、車窓からは工事風景がみられました。
こちらは富岡駅。駅舎は建て替えられており、周辺も整備工事が続いています。
相馬駅です。ここから先は、のどかな田園風景が続きます。
ぽつぽつと人家が見えてきました。
こちらは「亘理駅」。駅とつながっている天守閣風の建物は、亘理町の歴史史料館のようです。
復興の今をみる電車
首都圏と仙台を直接結ぶ、約370kmの長距離特急列車、特急ひたち。
単なる移動手段というより、東日本大震災の復興の現状を、多くの人々に伝えてくれる列車だと思います。
仙台に泊まって長旅の疲れを癒そう!
長い列車旅で仙台駅に着いたら、そのまま一泊してみるのもお勧めです。
近隣の「温泉」や「仙台名物」を堪能したりと楽しみ方はいろいろ。
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