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知られざる仙台の珍スポットをご紹介
観光客がどっと押し寄せる名所よりも、来訪者も少ないクセのあるスポットが気になる……という貴方へ。
今回は観光スポットではないけれど、その土地の歴史や風土を知ることができる、仙台市の穴場スポットを「珍名所」としてご紹介します。
① ナムナム号で行く「愛子大仏」
「愛子大仏(あやしだいぶつ)」は、仙台駅から西に10kmほど離れた青葉区の佛國寺(ぶつこくじ)内ある大仏です。
天皇皇后両陛下の長女である愛子様の御生誕を祝して、2002年に建てられました。
大仏の高さは約15mあり、東大寺にある“奈良の大仏”の座高とほぼ同じ。
繊維強化プラスチック製(FRP)でつくられており、重さは約15トン。真南を向いて鎮座しています。
地元でも知らない人が多いスポットです。
ナムナム号で電車旅?
愛子大仏がある佛國寺までは、「ナムナム号」というスロープカーで向かいます。全長85メートル、速度は毎分40m。定員は9名まで。
乗り場に設置された呼び出しボタンを押すと、ナムナム号が上から降りてきます。
行先は「駐車場」「霊園」「佛國寺」の3つ。「佛國寺」のボタンを押すと、愛子大仏へ辿り着きます。
運賃は、お気持ちで結構ということです。
【愛子大仏 佛國寺の基本情報】
② 街を見守る白亜の巨像「仙台大観音」
こちらはお馴染み、まっ白な巨大観音像「仙台大観音(せんだいだいかんのん)」。当時この地域の開発を行ったグループ会社の実業家によって、平成3年(1991)に建立されました。
仙台市制100周年を記念して、高さは100m。21世紀の繁栄を願い、地下は21mまで掘られています。
観音像としては、日本一の高さを誇る大きさ。
仏像というくくりでは、茨城県にある「牛久大仏(120m)」に続き国内で2番目の高さです。
仙台大観音は内部もすごい!
仙台大観音の内部(胎内)へは、拝観料500円(中学生以下は無料)払えば入ることができます。
仙台大観音の内部は12階構造。1階から2階へは階段移動、2階には、最上階の12階へ続くエレベーターがあります。
しかし1階から階段を上がって順々に進むのが、正しい参拝方法。無理は禁物ですが、体力があればできるだけ頑張ってみましょう。
3階から11階までは「百八胎内仏」エリア。108体の仏像が祭られています。
この”108”という数字は、除夜の鐘で知られる人の煩悩を表す数です。
最上階の12階は「御心殿(ごしんでん)」と呼ばれ、観音様の心臓部分となっています。展望窓が設けられており、仙台市街を一望できるビュースポットです。
お立ち寄りスポット!縁結び「油掛大黒天」
仙台大観音が建つのは、真言宗智山派の「大観密寺(だいかんみつじ)」の境内。
大観密寺には、仙台大観音以前から鎮座している「油掛大黒天」があり、縁結びスポットとして知られています。
お堂の中には油掛大黒天が祭られており、油を掛けて願掛けをするユニークな参拝方法。
これは真言宗のなかでも秘法の秘法とされる、”浴油法(よくゆくほう)”に由来しています。
さらに縁結び祈願のリボン(300円)を結べば、ご利益がさらにパワーアップするそう。
【大観密寺(仙台大観音)の基本情報】
〒981-3217 仙台市泉区実沢字中山南31-36
拝観料:
500円(高校生以上)
アクセス:
・仙台駅から車で約30分
・仙台駅西口バスプールより仙台市営バス14番乗り場から「815系統・西中山行」または「825系統・西中山行」または「X910系統・市営バス実沢営業所前行」に乗車し約45分、「仙台大観音前」下車
参拝時間:
[5/1~10/31]10:00~16:00
[11/1~4/30]10:00~15:30
仙台大観音の公式HPはこちら
③ 正義を貫いた藩士を悼む「縛り地蔵尊」
閑静な住宅街が広がる青葉区米ケ袋(こめがふくろ)地区内、広瀬川河川敷公園内にひっそりと佇む「縛(しば)り地蔵」。
赤い頭巾と前掛けを身に着けているところは普段目にするお地蔵様と一緒なのですが、その体は縄でぐるぐる巻きに縛られています。
少し怖いような感じもありますが、「人間のあらゆる苦しみ悩みを取り除いてくれる」と人々から信仰されている、有難いお地蔵様なのです。
体が縄で縛られているのは、願掛けする際にの風習のようです。
塩釜市の浦戸諸島の一つ、寒風沢島にも願掛けの縛り地蔵がありました。
毎年7月23日と24日には縛り地蔵尊の例祭が行われ、年に一回この日だけ縄が解かれるようですよ。
伊東七十郎を魂を供養するために建てられた
この縛り地蔵尊ですが、江戸時代前期に起こった「伊達騒動」と深い関わりがあります。
伊達騒動とは仙台市が仙台藩だった当時、藩の主導権を巡り伊達家内で起こったお家騒動のこと。
『樅ノ木(もみのき)は残った』という小説にもなり、さらに1970年にはNHK大河ドラマで放送されました。
騒動の発端となった人物は、仙台藩3代藩主・伊達綱宗(だて つなむね)。藩祖・政宗公の孫にあたります。
しかし綱宗公は、酒や色事に溺れ、藩政の仕事をほとんどしませんでした。
そんなグータラ藩主に、政宗公の十男・伊達 宗勝(だて むねかつ)や家臣たちは当然怒ります。
宗勝らは「幕府から綱宗公を隠居させるように命じてくれ」と江戸幕府に嘆願。結果、綱宗公を強制隠居させることに成功します
綱宗公に代わり4代目の藩主を継いだのは、綱宗の長男・伊達綱村(だてつなむら)。
しかし綱村公は当時まだ1歳だったため、後見役となった宗勝や親戚らが権力を振りかざすようになります。
そこで登場するのが、家臣である伊東七十郎重孝(いとう しちじゅうろう しげたか)。
重孝公の祖父は、政宗公に仕えた名将・伊東重信(いとう しげのぶ)。郡山城を巡る合戦の中で、最大の戦となった夜討川合戦(ようちがわ)において、政宗公の身代わりとなり討ち死にしました。
そんな祖父の血を受け継いだ重孝公は、伊達家の安泰のため仙台藩を乗っ取ろうと画策していたとされる宗勝公を討ちに出ます。
しかし結果は失敗。逆に捕らえてしまいます。
そして寛文8年(1668)、現在の愛宕橋の右岸あたりに建っていた誓願寺(せいがんじ)の河原にて、重孝公は斬首。享年36歳でした。
一族も、切腹、流罪、追放など重い罪を課せられます。
縛り地蔵尊は、正義のために非業の死を遂げた重孝公の供養を願い、当時の人々によって建てられました。
重孝公は斬首される前に、「三年以内に兵部殿(宗勝)を亡き者にして見せる」と言い残したそうです。
そして死後から3年後、宗勝公らの悪行が明るみにされ、一派は処罰されます。
ちなみに現在の縛り地蔵は、昭和34年に再建されたもの。当時のお地蔵様は、昭和20年の戦災により焼け崩れてしまったそうです。
【縛り地蔵尊の基本情報】
仙台市青葉区米ケ袋3-5-13
アクセス:
・仙台駅から車で約10分
・仙台市地下鉄南北線「愛宕橋駅」から徒歩約15分
④ 有名な伊達政宗騎馬像の「初代」
仙台市博物館が建っている場所は、仙台城の三の丸跡(青葉公園内)。
市制70周年記念事業として昭和36年(1961はくぶ)に開館し、伊達家から仙台市へ寄贈された文化財、仙台藩にまつわる史料や美術工芸資料など約9万点を収蔵しています。
重要文化財である「伊達政宗所用具足・陣羽織」をはじめ、政宗公の命でスペインへ赴いた慶長遣欧使節(けいちょうけんおうしせつ)関係資料など、季節ごとに内容を変えながら常時1,000点ほど展示。
政宗ファン必見の観光スポットですが、今回紹介するのは博物館の庭です。
“初代”伊達政宗公の騎馬像がある!
“伊達政宗の騎馬像”といえば、仙台城跡にある騎馬像が有名ですよね。
しかし現在の騎馬像が2代目であるということは、意外と知られていません。ちなみに騎馬像としては2代目ですが、伊達政宗の像としては3代目です。
では”初代・伊達政宗の騎馬像”はどうなったのでしょうか?
その答えが、仙台市博物館の裏庭にある政宗公の胸像です。
初代・伊達政宗の騎馬像”は昭和10年(1935)に設置されました。
しかし、太平洋戦争中の深刻な物資不足により、国家総動員法の下発令された金属類回収令により撤去されてしまいます。
しかし終戦直後。塩釜市で騎馬像の胸から上の部分が発見され、最終的に現在の場所に移されました。
ちなみに仙台城跡2代目の伊達政宗像は、騎馬に乗った雄々しい姿ではなく、袴姿にセンスを手にした白い立像。
2代目伊達政宗像が仙台城に設置されたのは、戦後の昭和28年(1953)。
仙台城跡には進駐軍の拠点が置かれており、戦争を連想させないようにと騎馬ではない政宗公の像が設置されました。
”平和の像”とも呼ばれ、現在は宮城県北部の大崎市にある「岩出山城跡(城山公園)」でその姿をみることができます。
岩出山城については、下の記事をご覧ください。
【仙台市博物館の基本情報】
〒980-0862 仙台市青葉区川内26
開館時間:
9:00~16:45(最終入館は16:15)
休館日:
月曜日(祝日は開館)、祝日の翌日(土日祝の場合は開館)
入館料:
一般460円、高校生230円、小・中学生110円
アクセス:
・仙台市地下鉄東西線「国際センター駅」から徒歩で約8分
・るーぷる仙台「博物館・国際センター前」下車
⑤ 日本一低い山「日和山」
最後にご紹介するのは、日本一低い山に認定された「仙台蒲生日和山(せんだいがもうひよりやま)」、通称日和山(ひよりやま)です。
仙台市宮城野区の仙台湾に面した蒲生(がもう)地区にあります。
日和山は明治時代、漁師が天候を予測するために造った人工の山です。
標高はわずか3m。かつては標高6.05mありました。
標高6.05mのときも1991年から1996年まで、国土地理院から地形図に掲載される山としては”日本一低い山”と認定されていましたが、1996年に大阪市にある天保山(てんぽうざん/標高4.53m)が再掲され、その座を奪われます。
しかし東日本大震災により、状況は一変することに……。
一時は「消滅した」とも報道された日和山、奇跡の復活!
2011年3月11日に宮城県沖で発生した、東日本大震災。マグニチュード9.0という、観測史上最も大きな地震でした。
沿岸部にあった日和山も、当時は地盤沈下と津波を受けて消滅したと報道されました。
しかし地元の人達が日和山があった場所に石を積み重ねていき、2014年の国土地理院の調査で標高3mの山として認定。18年ぶりに”日本一低い山”へ返り咲いたのです。
2019年の山開きには220名の登山客が訪れるなど、現在も話題の絶えない日和山。
デジカメやスマホなど日和山で撮影した写真があれば、高砂市民センター窓口で登頂証明書を発行してもらえます(無料)。
ちなみに仙台市の南東に位置する名取市閖上(ゆりあげ)にも、同名「日和山(ひよりやま)」があります。
標高は6.3mで、仙台市の日和山と同じく築山(人工の山)です。
【日和山の基本情報】
〒983-0002 仙台市宮城野区蒲生町87
アクセス:
・仙台駅から車で約25分
・仙台駅前(アイリス青葉ビル)から仙台市営バス200系統・中野新町行きに乗車し約35分、終点「中野新町」下車徒歩約30分
潜れば潜るほど深い、仙台の珍スポット
今回はちょっと不思議な、仙台市の珍スポットを5つご紹介させていただきました。
なかでも筆者が個人的にオススメしたいのは、日本一低い山「日和山」です。少し早起きして、頂上からご来光を拝む……なんて過ごし方もいいですね。
仙台市はとにかく広いので、まだまだ知られざる珍スポットがあるかもしれません。引き続き調査していきたいと思います!
■仙台の温泉もすごい!
仙台駅周辺は高層ビルが並ぶ大都会ですが、車を30分ほど走らせると”仙台の奥座敷”と呼ばれる、秋保温泉や作並温泉があります。
どちらも山間に位置する、自然に囲まれた温泉地。とくに秋保温泉は、日本三御湯と呼ばれるうちの一カ所です。
ぜひチェックしてみてくださいね!
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