中世では奥州藤原氏、江戸時代には仙台藩藩主・伊達家が厚く信仰しており、政宗公以降の歴代藩主はすべて大神主(神社に仕えた神官)として鹽竈神社に奉仕していました。
パワーがみなぎる!?「表参道 男坂」
バス停「塩釜神社前」で下車し、徒歩3分ほどで鹽竈神社の表参道入口にたどり着きます。視界に飛び込んでくるのは、表参道である202段の石段。”男坂”とも呼ばれており、のぼりきるとパワーや運気が上がるとか!
写真を見て「これはムリそう……」と思った方もご安心ください。表参道の入口を横目に、鹽竈海道を真っすぐ進めば裏坂・東参道に着きます(約5分)。
東参道は境内まで、石畳のなだらかな道が続いています。ムリせずぜひ東参道を利用してくださいね!
鹽竈神社の門「鹽竈神社 楼門」
石段に屈さず表参道をのぼりきると、鹽竈神社の楼門(ろうもん)が現れます。ここを抜ければ、鹽竈神社は目と鼻の先です。
楼門の手間にある木は、オオシマサクラとソメイヨシノ。春には朱色の楼門と桜のツーショットが収められますよ。
伊達家の守護神を祀る「鹽竈神社 左右宮拝殿」
桜門と唐門を抜けると、正面に現れるのは「左右宮(さゆうぐう)拝殿」といわれる建物です。二つの拝殿の奥に、左宮と右宮の本殿が鎮座しています。
左右宮拝殿に祀られているのは、※左宮・武甕槌神(たけみかづちのかみ)、右宮・経津主神(ふつぬしのかみ)。国土平定をなしたとされる武の神として称えられ、伊達家の守護神でもあります。そのため左右宮拝殿は、仙台城の方角に向けて建てられました。
※武甕槌神……鹿島神宮(茨城県)の主祭神。
※経津主神……香取神社(千葉県)の主祭神。
この二柱の神様が東北平定に来た際に、道案内として登場したのが鹽竈神社の主祭神・塩土老翁神(しおつちおじのかみ)と伝えられています。
さて、参拝といきますか……とその前に! 正面の「左右宮拝殿」ではなく、まずは右手にある「鹽竈神社 別宮 拝殿」から参拝しましょう。なぜかというと、主祭神である塩土老翁神が祀られているのは「別宮」だからです。
主祭神・塩土老翁神を祀る「鹽竈神社 別宮 拝殿」
こちらが鹽竈神社の「別宮拝殿」。奥に別宮本殿があります。この「別宮」はサブや2番目といった意味ではなく、スペシャルな宮という特別な意味です。
なぜ主祭神の社殿が正面に配されていないのか? それは伊達家の守護神である武甕槌神と経津主神を、藩主が仙台城から拝められるよう配慮したためだといわれています。
また塩土老翁神は海上守護を司る神様でもあるため、海難を背負っていただけるよう松島湾に背をむける配置で建てられました。
鹽竈神社は、国内でも類をみない”三本殿二拝殿”という珍しい配置。二つの「左右宮」と「別宮」の本殿と拝殿で形成されています。現在の社殿は江戸時代中期、仙台藩藩主4代目の伊達綱村(つなむら)から5代目の吉村(よしむら)にわたって、およそ9年の歳月をかけて宝永元年(1704)に完成しました。
本殿、拝殿、唐門、廻廊、鳥居など、国の重要文化財に指定されています。
撫でるだけで商売繁盛!?「撫で牛」
左右宮拝殿の手前にある「撫で牛」。この牛さんを撫でると、開運や商売繁盛のご利益をいただけるそうです。
撫で牛の隣には多羅葉樹(たらよう)という樹齢500年という古木が聳えており、県の天然記念物に指定されています。
名前の通り「イボ取り神社」
鹽竈神社の裏手、志波彦神社の間にある「イボ取り神社」。樫の木の根本にたまった水を箸ですくい、イボにかけるとそのイボがポロリと取れる、という言い伝えがあります。
本当にいぼが取れたら、割りばしを倍にして納めるのが習わしです。
【11:00】志波彦神社・鹽竈神社博物館を観光
鹽竈神社と同じ境内にある「志波彦(しばなみひこ)神社」。朱色の神殿をくぐった先に、拝殿と本殿があります。もともと仙台市に鎮座していた志波彦神社。明治7年(1874)に鹽竈神社の別宮本殿に移されました。
平安時代中期に編纂された古代法典『延喜式(えんぎしき)』の神名帳(神社や神の名を記した帳簿)に記載されている神社2861社の中でも、わずか255社しかない名神大社(みょうじんたいしゃ)として記されており、朝廷も厚く崇拝していた神社です。
御祭神は志波彦大神。農耕守護の神として、農業の生業をする人々から信仰されています。
境内のビュースポット「鹽竈神社博物館」
志波彦神社の近くにある「鹽竈神社博物館」にも、ぜひお立ち寄りを。1階には社宝の太刀や絵画、古文書など鹽竈神社に関連する歴史資料、2階には主祭神である塩土老翁神にゆかりある塩業や、宮城県の無形民俗文化財である「藻塩焼(もしおやき)神事」、漁業に関する資料が展示されています。
また屋上の展望台は、塩釜の街並みと”日本三景・松島”を一望できる境内一のビュースポット。とくに桜の時期は必見です!
<塩釜神社博物館の基本情報>
開館時間:
●4月1日~9月末日…8:30~17:00
●12月1日~1月末日…8:30~16:00
●10月・11月・2月・3月…8:30~16:30
定休日:
年中無休※展示替えにより休館する場合もあり
※特別展終了後、1月27日(月)~31日(金)展示替えのため、臨時閉館(終日)となります。
国の天然記念物「鹽竈桜」
春を迎えた鹽竈神社は、県内有数の花見名所に。境内にはソメイヨシノ、ヤマザクラ、かわづざくらなど全35品種の桜が咲き誇り、花見客の目を楽しませてくれます。
なかでも有名なのが、国の天然記念物である「鹽竈桜(しおがまざくら)」。境内に咲くソメイヨシノなどの見頃が過ぎたころに開花します。
鹽竈桜は40~60枚の花弁を付けている、大輪の八重桜。特徴的なのは花の中心にある雄しべが、小さな葉に変化している部分です。境内には27本の鹽竈桜があり、鹽竈神社や志波彦神社の境内に点在しています。
見頃は、例年4月下旬~5月上旬にかけて。神社では5月10日を「鹽竈ザクラの日」と定め、桜の無事成長を願う祈願祭が行われます。
お土産に!「御神塩」と「うまくいく御守」
一般的に、塩そのものには浄化の効果があるといわれていますが、鹽竈神社の御塩はパワーが違います。なにしろ、主祭神が人々に塩の製法方法を伝えたとされる塩土老翁神なのですから。
塩は厄除けの盛り塩、神棚へのお供えや邪気払いなどに使えます。通販販売は一切行われていないため、現地で入手するほかありません。
また鹽竈神社で人気の御守「うまくいく御守」も忘れずに。御守りには「うま(馬)くいく(九)ように」とかけて、馬の蹄が九つ刺しゅうされています。
境内一神聖な場所「七曲り坂」
七曲り坂(ななまがりさか)は鹽竈神社最古の参道。主祭神・塩土老翁神が通ったとされる、境内で最も神聖な場所です。神社創建と同時期である、奈良時代頃につくられたと推測されています。
名前通り曲がりくねった道が続いており、岩肌が露見した未舗装の参道はどこか趣があります。道中には”金花水(きんかすい)”と呼ばれる湧き水があり、昔は参拝者の喉を潤していました。※現在は飲水不可。
坂を下ると、行きに通ってきた鹽竈海道に出ます。表参道、東参道、七曲り坂のどの参道を下りても鹽竈海道に出ますが、本塩釜駅に近いのは東参道です。
【鹽竈神社と志波彦神社の基本情報】
所在地:
宮城県塩竈市一森山1-1
開門時間:
5:00~20:00(境内参拝は自由)
料金:
拝観無料
アクセス:
東北本線「塩釜駅」より徒歩15分(表参道)
東北本線「塩釜駅」よりしおナビ100円バス(南周り)に乗車約3分、「塩釜神社前」下車徒歩約3分
JR仙石線「本塩釜駅」より徒歩7分(東参道)、徒歩15分(表参道)
時間があったら寄りたい!鹽竈神社周辺の観光スポット
体力に余力があれば東参道(裏坂)を下り、徒歩で次の目的地である本塩釜駅へ目指すのもアリ(東参道から徒歩約10分)。道中にもさまざまな見どころスポットがありますよ!
余力がなければ「しおナビ100円バス」塩釜神社前の停留所からバスに乗り、本塩釜駅前で下車しましょう。
大正時代にタイムシップ!?「旧亀井邸」
鹽竈神社から東参道を下る道中にある「旧亀井邸」。
参道の脇にある細い路地を通った先にあるため、見落とさないようご注意ください。
旧亀井邸は※亀井商店(現代のカメイ株式会社)の初代社長である亀井文平(かめい ぶんぺい)が、大正13年(1924)に建てた家です。
伝統的な和風建築に西洋建築を取り入れた「和洋併置式」と呼ばれている建物で、現代の技術をもってしても再現が難しいといわれています。
和洋併置住宅は、庶民の中でも上層階級の邸に用いられた建築様式。良質な材料を使用し、随所に手のこんだ細工や流行のデザインを取り入れています。日本石油(現JXエネルギー株式会社)の社章である、「コウモリ」を形どった取手なども見られますよ。
※カメイ株式会社……明治36年(1903年)創業。石油などのエネルギーや、食、住生活など詳しに欠かせない商品・サービスを提供する東北最大級の総合商社。
【旧亀井邸の基本情報】
所在地:
塩竈市宮町5-5
開館時間:
10:00~15:30
定休日:
火、水、木曜日
※イベント時には臨時休館となるので、事前に要問合せ。
※旧亀井邸ブログにて、臨時定休日やイベント情報を公開しています。
料金:
無料
アクセス:
JR仙石線「本塩釜駅」より徒歩約8分
江戸時代から続く和菓子屋さん「丹六園」
鹽竈神社の参道口から本塩釜駅方向に鹽竈海道歩くと、道沿いに老舗の和菓子店「丹六園(たんくろくえん)」があります。
創業は江戸時代中期の享保5年(1720年)。当時の建物を再利用してつくられた木造建築のお店で、建物自体が国の有形文化財に登録されています。
有名なのは、”鹽竈桜”を型取った銘菓「志ほがま(大1,100円、小600円)」。宮城県産のもち米粉に、砂糖や水飴、塩竈の藻塩(もしお)や青しそなどを練りこんだもので、ザクザクとした歯ごたえにネットリした粘り気が特徴です。
ほかにも「長寿樂(大1,600円、小800円)」という、黒糖とクルミを使用したものが販売されています。お土産にいかがでしょうか?
ご当地スイーツが評判!「太田與八郎商店」
先ほど紹介した丹六園の隣にある「太田與八郎商店(おおたよはちろう)」。江戸時代末期創業の味噌醤油の醸造元で、店内には仙台みそなどが販売されています。
なかでも人気なのが、味噌とジェラートを組み合わせた「仙台みそジェラート」。一見するとバニラアイスのような白さですが、しっかり味噌の味がします。ミルクの甘さと味噌の塩気が相まった、キャラメルのような感じです。
時間がなければ「一森寿司(いちもりすし)」でランチ!
表参道の正面にある一森寿司。昭和41年創業、家族で営むアットホームなお寿司屋さんです。コストパフォーマンスの良さに定評があるほか、店主の人柄やサービスなども口コミで高く評価されています。
【12:00】本塩釜駅周辺でランチ

人口に対し”日本一”寿司屋が多い港町、塩釜。とくにJR仙石線「本塩釜駅」周辺は、名店がひしめき合う激戦区です。水揚げされたばかりの新鮮なネタはもちろん、各店独自の工夫をこらした食事で胃袋を満たしてくれます。
今回は信頼のおける老舗から気鋭のリーズナブル鮨屋まで、4店をピックアップしました。
① 塩竃すし哲(てつ)本店
本塩釜駅から徒歩約2分の場所にある、「塩竃すし哲 本店」。宮城県を代表する名店で、県外から通うお店のファンも多いとか。
塩釜のブランドマグロ「ひがしもの」をはじめ、旬なネタを活かした絶品握りは一度味わってみたいもの。店の看板メニュー「すし哲物語」や、寿司やお造りに合うよう特注したというオリジナルワインもご賞味あれ。
所在地:
宮城県塩竈市海岸通2-22
営業時間:
【平日】
11:00~15:00
16:30~22:00
【土日祝日】
11:00~22:00
定休日:
木曜日(祝日の場合は営業)
アクセス:
JR仙石線「本塩釜駅」徒歩約2分
② 鮨しらはた
「塩竃すし哲 本店」の近くにある「鮨しらはた」。寿司はもちろんのこと、毛ガニの味噌汁やタコのやわらか煮など和食メニューも充実しているお店です。
近海でとれた本マグロの大トロや中トロ松島産のあなごなど、旬の食材をつかった「特上にぎり」が人気。
所在地:
宮城県塩竈市海岸通2-10
営業時間:
【平日】
11:00~15:00
16:30~21:00
【土日祝】
11:00~21:00
定休日:
火曜日(祝日は前日とも営業)
アクセス:
JR仙石線「本塩釜駅」徒歩約3分
③ はま勢
コストパフォーマンス重視の方には、「鮨 はま勢」はいかがでしょうか? 本塩釜駅から徒歩約5分、先ほど紹介した「すし哲 本店」の並びにあります。
塩釜で水揚げされた魚介類を中心に、リーズナブルな価格で提供。「安いのに美味しい!」と口コミも高評価です。鮨のほかにも、一品料理やコースメニューも充実しています。
④ 塩竈まぐろ直売・食堂
”気軽に本格まぐろを食べられるお店”をコンセプトに営業している「塩釜まぐろ直売・食堂」。JR本塩釜駅から徒歩約2分です。
新鮮な生マグロを提供しているため、日によってメニューが変更する場合も。水揚げ量の多いメバチマグロ、キハダマグロをはじめ、夏は本マグロ、秋~冬にかけて「ひがしもの」が入荷することもあり、旬のマグロを存分にいただけます。
メニューの変更に関しては、事前に塩竈まぐろ直売・食堂公式HPの新着情報を見ておくと間違いありません。また店内には直売ブースもあり、生マグロを市場よりお得に購入できます!
所在地:
宮城県塩竈市海岸通4-1 プチパレビル
お食事の営業時間:
【平日】11:00~14:00
【土日祝日】11:00~15;00
店内物販の営業時間:
11:00~16:00
※お食事・店内物販とも売切れ次第終了。
定休日:
毎週月曜日(祝日の場合は営業、翌日火曜日がお休み)
アクセス:
JR「本塩釜駅」から徒歩約2分