そもそも古墳って何?
古墳(こふん)と聞いてまず頭に思い浮かべるのは、写真(上)のような光景ではないでしょうか?
古墳とは、3世紀半ば過ぎから7世紀末頃の古墳時代につくられた、位の高い人や権力者のお墓のこと。
この300年は、近畿地方の豪族を中心とした大和政権が誕生し、巨大な政治権力と富を持つ有力者が現れるようになりました。
代表的な古墳は、鍵穴のような形をした前方後円墳(ぜんぽうこうえんふん)です。
列島の代表的な古墳形式であり、弥生時代は「墳丘墓」、奈良時代は「墳墓」。中世では「中世墳墓」、近世は「近世墳墓」と、時代によって呼び方が異なります。
東北最大の前方後円墳が宮城にある!
日本全国に現存する古墳の数は、およそ16万基。
文化庁が公開している平成28年度の資料によると、宮城県内には古墳が508基確認されているようです。
その中でも”東北最大”といわれる前方後円墳が、仙台市から車で30分ほど南下した名取市にある「雷神山古墳(らいじんやまこふん)」です。
……ということで、今回は実際に古墳を散策してきた筆者が、古墳の様子を写真多めでご紹介します。
雷神山古墳は、いつ、だれのお墓なのか?
「雷神山古墳(らいじんやまこふん)」は、鍵穴のような形をした前方後円墳です。
古墳時代前期の土師器(はじき/素焼きの土器)が出土したことから、4世紀末~5世紀初頭に築造されたのではないかと推定されています。
このお墓に眠っているのは、仙台平野一帯を統治した地方豪族の首長と考えられていますが、埋葬施設は未調査のため謎の多い古墳です。
数字でみる雷神山古墳
まずは東北最大級といわれる古墳の規模を、数字でみていきましょう。
主軸(全長)は168m。前方部の幅は96mあり、高さが6mの2段築成。
後円部の直径は96mで、高さが12mの3段築成です。
墓域は周堤と周濠(古墳の周囲に掘られた堀)を含めて南北約210m、東西約140mほどあります。
墳丘の大部分は地山を削り出して整形されており、その上に積土をして段状に築いています。
表面には、河原石による※葺石(ふきいし)が施されていました。
主体部分は、まだ未調査とのこと。現在、雷神山古墳周辺は国指定の記念物史跡の公園として整備されています。
雷神山古墳を散策してみよう
それではさっそく入口から順に古墳内へ進んでみましょう。
駐車場
階段の上からみた駐車場。すでにけっこうな高さがあり、住宅地が小さくみえます。無料で30台ほど駐車可能です。
雷神山古墳入口
入口正面。緩やかな坂を真っすぐ進みます。
入口の左側には、雷神山古墳の案内板が設置されていました。
現在地から古墳への順路が書かれているので、先へ進む前に一度確認しておくといいかもしれません。
雷神山古墳のことや、ここで出土した壷形埴輪(つぼがたはにわ)や壷形土器(つぼがたどき)の説明が書かれています。
右側にはきれいに整備されたトイレがありました。
真っすぐ進んで行きましょう! 鳥のさえずりが聞こえ、草木の緑と時折吹く風が心地よいです。
古墳の内部へ(前方部)
入口の坂を進み、最初にみえるのがこの順路を示す案内石。
古墳内は広く、どちらへに行けばよいのか迷ってしまいそうなので助かります。
順路の通り、右側の前方部方向に進むことに。歩きやすいように、平らな石が並べられていました。
前方部の前端と前方部の墳丘を示す案内石。墳丘側に向かいます。
前方部の墳丘から太平洋側をみた風景。仙台空港もみえますね!
前方部を下りて後円部方向に進んでいくと、休憩所と古墳の案内板がみえてきます。
雷神山古墳は昭和31年12月28日に、国の史跡に指定されました。
後円部へ
後円部への案内石を発見。さっそく向かってみましょう!
後円部はこの石段を上がって行きます。3段築成になっているのが、よくわかりますね。
後円部の頂部に着きました! すると謎めいた石の祠(ほこら)を発見。よく見てみると……。
祠の中をよくみると、雷神様のお姿が! そう、この雷神様を祀った祠が、名前の由来となっているのです。
後円部の頂部(高さ12m)から北側をみた風景。
後円部から西側をみた風景。
こちらは南側です。
こちらは東側、仙台空港がみえる方角です。タイミングよく、飛び立った飛行機の姿がみえました。
一通り景色を楽しんだら、上ってきた後円部の石段を下りて元来た道へ戻ります。
雷神山古墳には、もう一つ古墳がある
雷神山古墳後円部から北に進むと、小塚古墳(こづかこふん)があります。
直径54m、高さ8mの円墳で、こちらも3段築成です。
一見こじんまりとしていますが、間近でみると大きく感じます。
この小塚古墳は雷神山古墳の※陪塚(ばいちょう)と推定されており、雷神山古墳とともに国の史跡に指定されています。
一度に2つの古墳を観賞できるのも、雷神山古墳の魅力ですね。
【雷神山古墳の基本情報】
所在地:
〒981-1226 名取市植松字山・愛島小豆島字片平山
営業時間:
24時間
入場料:
無料
アクセス:
<電車・バス>
仙台駅からJR東北本線「白石行」に乗車約13分「名取駅」下車、名取駅前から名取市乗合バス「なとりん号」館腰植松線に乗車し約19分、「館腰小学校前」バス停で下車し徒歩約15分
名取市乗合バス「なとりん号」の時刻表はこちら
<車>
仙台東部道路「仙台空港I.C」から県道258号線、県道126号線経由で約10分
駐車場:
無料/約30台
ここまで雷神山古墳について紹介しましたが、仙台市内にあるもう一つ古墳「遠見塚古墳」も、なかなか興味深い古墳ですよ!
古墳好きなら行っておきたい「遠見塚古墳」
遠見塚古墳(とおみづかこふん)は、雷神山古墳から車で約32分。
仙台市若林区の仙台バイパス国道4号線沿いにあります。
宮城県内では、雷神山古墳の次に大きい前方後円墳で、仙台市内では最大の古墳。
古墳時代中期頃の築造と推定され、諸説ありますが仙台平野を支配した広域首長のお墓と考えられています。
- 古墳の規模は、全長110m、後円部の直径は63mの2段築成。高さ6.5m、前方部の幅37m、高さ2.5mです。
- 1968年(昭和43年)11月8日に国の史跡として指定されました。
入口南西側からみる、遠見塚古墳の全景。鍵穴のような前方後円墳の姿がわかりますね。
衝撃!遠見塚古墳は破壊されていた
古墳入口にある案内板のこの写真、よ~くみてください。
赤丸で囲んだ前方部の右下部分、道路で一部消失しているのがわかりますよね。
これは1947年(昭和22年)、当時日本を占領したアメリカ軍による霞目飛行場の拡張工事が原因。
工事で使用する土を採取するために、後円部の北側の部分が削られてしまったのです。
後円部の頂部からみる東側
後円部から前方部をみた風景。車が走っている道路は、仙台バイパス国道4号線です。
ここからみると左側が斜めになっており、削られて形が変わっているのがわかりますね。
遠見塚古墳は仙台バイパス国道4号線の計画路線に入り、再び削られるという危機にさらされます。
しかし1968年(昭和43年)国の史跡に指定され、恒久的に保存されることが決定。
1980年(昭和55年)には、古墳の周辺部も国の史跡として追加指定されました。
現在は史跡公園として整備され、市民の憩いの場として親しまれています。
【遠見塚古墳の基本情報】
所在地:
〒984-0823 仙台市若林区遠見塚
営業時間:
24時間
入場料:
無料
アクセス:
<バス>
仙台駅から仙台市営バス「薬師堂行」に乗車約12分「一本杉町東」バス停で下車し徒歩約14分
<車>
仙台駅から県道235号経由で約20分
駐車場:
なし/近隣有料駐車場あり
仙台市若林区遠見塚3-2(遠見塚古墳まで560m)
タイムズセントラルウェルネスクラブ仙台南小泉
8:00~20:00 60分¥200
20:00~08:00 60分¥100
収容台数 190台
24時間営業
■仙台市に泊まろう!
雷神山古墳へは、仙台駅から車で30分ほど。市内中心部には、格安で宿泊できるビジネスホテルやカプセルホテルが豊富です。
また県境へ車を20~30分ほど走らせると、秋保温泉や作並温泉などの温泉地があり、非日常を満喫することができます。ぜひチェックしてみてくださいね!
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あなたも、いにしえの世界へ
いかがでしたか? 東北一の大型古墳、雷神山古墳についてご紹介しました。
仙台城を築城した伊達政宗公が、この地を治める遥か昔。この地を治めていた古代人が眠る、巨大なお墓。
何もなく地味な場所ですが、その歴史は計り知れぬほど長く、そして深いものだと思います。仙台城はもちろんですが、城以外の史跡巡りもオススメですよ!