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大満寺ってどんなお寺?
仙台駅から仙台市営地下鉄南北線で約5分、中心街から少し離れた場所にある「虚空蔵山 大満寺(こくうぞうざん だいまんじ)」。
※奥州藤原氏が創建したと伝えられ、800年あまりの歴史をもつ※曹洞宗のお寺です。
ちなみに仙台市内には「曹洞宗 虚空蔵山 大満寺」という寺院が2か所あります。今回ご紹介するのは、仙台市太白区にある大満寺です。
もう一方は仙台市泉区にあります。
※奥州藤原氏…平安末期、平泉を拠点に古代東北を支配した大豪族。のちに鎌倉幕府を開く、源頼朝によって滅ぼされた。
※曹洞宗(そうとうしゅう)…仏教の一派「禅宗」の一部。鎌倉時代に道元が中国から伝えた。修行の中心を坐禅と考え、釈迦を本尊としている。
丑、寅歳の守本尊が祭られている
守本尊とは、一生を通して守ってくださる守護神のこと。生まれ年の干支・十二支で決められています。
大満寺のご本尊は、丑寅(うしとら)歳の守本尊である”虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ)”。本尊を祭る「虚空蔵堂(こくうぞうどう)」は仙台市指定有形文化財となっており、大満寺の見どころの1つとなっています。
伊達忠宗の位牌寺
伊達政宗の嫡男であり、仙台藩藩主2代目を継いだ伊達忠宗(だて ただむね)。60歳で生涯を閉じた忠宗は、大満寺に位牌寺として三十六万石の領地を奉納・寄進されました。
※位牌寺…位牌(故人の法名、没年月日、俗名、享年を記した木の札)を納める寺。
仙台のルーツ、大満寺にあり!
また大満寺は、仙台という地名の由来になった「千躰仏(せんたいぶつ)」が祭られていることでも知られています。
千躰仏とは、供養や回向(えこう/冥福を祈ること)のために彫られた、千体の木彫り仏像のこと。大満寺が青葉山にあった頃から、境内に祭られていました。
■伊達氏以前の「せんだいじょう」から青葉山に鎮座していた
もともと大満寺は、現在仙台城跡がある青葉山に鎮座していました。
その頃青葉山を支配していたのは、伊達家ではなく国分氏(こくぶんし)という武士の一族。
城内には長泉寺、龍泉院、光禅寺、玄光庵、大満寺の五ヵ寺があり、大満寺の虚空座堂が主塔でした。
そのため居城を「虚空蔵城」や「虚空蔵楯(館)」と称していたそうです。
国分盛氏(こくぶんもりうじ)が当主に就くと、城の名前を「虚空蔵城」から「千躰城」と改めます。
伊達家で編纂された仙台藩の正史『伊達治家記録(だてじけきろく)』によると、「城辺に千躰仏を社るが故に千躰城と号す」と記されています。
その後「千躰城」→「千代城(せんだいじょう)」と改名。そして伊達政宗により国分氏が滅び、慶長5年(1600)仙台城を築城する際に地名を「仙臺(せんだい)」と改めました。
現在は新字体に変え、「仙台」と記しています。※諸説有り
大満寺は仙台城の築城や瑞鳳殿の造営により、青葉山→※経ヶ峰→愛宕山(現在)と※3回遷座。
千躰仏も共に移され、現在は大満寺仙境内にある「千躰堂」に祭られています。
この千躰仏ですが、太平洋戦争によりほぼ半分焼失してしまいました。
奇跡的に難を逃れた約450体のうちの約300体は、およそ800年前の仏像だそうです。戦後昭和58年(1983)に、大満寺は再建されました。
※経ヶ峰(きょうがみね)……青葉区霊屋下にある山全体の総称。現在の瑞鳳殿がある場所。
大満寺といえば、がん封じで有名!
がん封じのお寺は全国にありますが、東北で最も有名なのが大満寺です。
がん封じの願いが成就したという口コミをきっかけに広がり、今では全国から参拝者が絶えないそう。
がん封じに関する祈祷も行っており、インターネットからの祈祷受付も可能です。
祈祷に関する詳細は、大満寺の「ホームページ」でご確認ください。
■大満寺の参拝に便利な宿を紹介!
仙台駅を中心とする市街地は、駅近でWi-Fi環境の整ったビジネスホテルや、リーズナブルな価格で宿泊できるカプセルホテル、ゲストハウスなど、宿泊施設が充実しています。ぜひチェックしてみてくださいね!
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虚空蔵山 大満寺を散策してみよう!
スタート地点は、大満寺の山門です。右側にある敷地は駐車場。駐車場側には通夜会館「金剛閣」があります。
山門をくぐると、まず大満寺の名前がある旧本堂が現れます。現在は開山堂、納骨堂、坐禅堂として利用されているようです。
旧本堂の隣にあるのが、本堂の「鳳凰殿(大満寺新本堂)」。その隣に翠光殿(客殿)と慈雲庵(御朱印やお守りを販売・自宅)が並んでいます。
本堂の鳳凰殿からみる大年寺山(だいねんじやま)。仙台のシンボルでもある3本の電波塔が近くにみえます。
翠光殿の向かい側に行ってみると大きな布袋様のお姿がありました。
思わず笑顔になってしまいます。心も癒されますね。
布袋様お近くには、至るところに観音様がいっぱい。
右端にある御札受所の慈雲庵。お守りやお札、御朱印の授与を行っています。慈雲庵の脇には、ご本尊が祭られている虚空蔵堂(こくうぞうどう)へと続いている石階段があります。
さっそく御朱印を購入。左はお釈迦様です。「仙台地名由来千躰佛」と記されていますね!
御朱印を受け取り、次は愛宕山の頂上にある虚空蔵尊を目指します。
石段が続く道の隣(右側)をみてみると……おや! 朱色の鳥居がみえますね。この先については後半でご説明します。
とりあえず石階段を進み、虚空蔵堂へ向かいましょう。
石段の中間から見上げた、頂上の風景。なかなか辛い石段ですが、頑張って上っていきます。全部で196段。
石段を上りきると、正面に「虚空蔵堂(こくうぞうどう)」が現れます。建物は江戸時代初期の万治2年(1659)に建築されたものと考えられており、仙台の指定文化財です。
ご本尊である虚空蔵菩薩は、丑・寅年生まれの守り本尊。普段はみることができませんが、十二支の丑寅の年に御開帳されます。
虚空蔵山にある御堂をご紹介
虚空蔵堂のすぐ向かい側にある十二支守本尊の八角堂。十二支全ての守り本尊を祭っています。
筆者は子年生まれなので、子年の守り本尊「千手観音」をお参りしてきました。家族全員で行っても、各々が参拝できますね。
ほかにも境内には水子供養地蔵尊である「阿保原地蔵尊(とげぬき地蔵さん)」や「よろず相談所(完全予約制)」、十二支の石像が並んでいます。
干支の像は、子丑寅卯辰巳馬羊……という順で並んでいることが多いのですが、写真(上)のように大満寺は違います。中央に丑と寅がいるのです。
なかでも牛だけが妙にリアルな表情をしており、色も他の十二支とは違います。
その理由はご本尊である虚空蔵菩薩が、丑・寅年生まれの守り本尊であるからです。「牛みがき」といい、この牛を磨くと福と知の無限の御利益に授かることができ、運が開けると信じられています。
十二支の動物たちのとなりにあるのが、千躰堂(せんたいどう)。この中仙台という地名のルーツとなった千躰仏が祭られています。
縁結びにも御利益があるようですよ。
千躰堂の右となりにある梵鐘は、「向山の早鐘」と呼ばれる仙台名物。4代目藩主・伊達綱村の供養のために、5代藩主・伊達吉村(だて よしむら)の命で享保5年(1720)に造られました。
城下に時刻や危急を知らせる際に用いられ、鐘が設置されている山頂からは市街地を一望できます。
愛宕山の頂上からみる仙台駅方面の風景です。眼下には広瀬川。その先にSS30や仙台市中心部のビル群を一望できます。
大満寺は愛宕神社とつながっている
奥に進むと愛宕神社へ行けるゲートを発見! なんと愛宕山の山頂にある虚空蔵尊と愛宕神社はつながっていました。
先にご紹介した朱色の鳥居は、愛宕神社参道の入口だったのです。愛宕神社については下記記事で紹介しています。
政宗よりずっと前から、仙台を見守り続けている「大満寺」
伊達政宗によって仙台城が築かれる以前から、青葉山に鎮座していた大満寺。御本尊はお釈迦様(釈迦牟尼仏)ですが、バレンタイン良縁成就といったユニークな祈祷があって全国から祈願者が訪れています。
お寺と神社の両方を参拝できるのも、大満寺の魅力です。
最寄り駅からも徒歩数分と、アクセスも良好! あなたも一度参拝に訪れてみては、いかがでしょうか。
【虚空蔵山 大満寺の基本情報】
所在地:
〒982-0841 仙台市太白区向山4丁目4-1
アクセス:
<電車・バス>
仙台駅から仙台市営地下鉄南北線「富沢行」に乗車約3分「愛宕橋駅」で下車し西出口より徒歩10分
仙台駅から仙台市営バス「八木山動物公園駅行」に乗車約13分「八木山入口長徳寺前」で下車し徒歩約5分
<車>
東北自動車道 仙台宮城I.Cから約15分、仙台南I.Cから約20分
駐車場:
無料/150台