目次
「浦戸諸島」ってどんなところ?
日本三景・松島湾に浮かぶ「浦戸諸島(うらとしょとう)」。数百を超える島で形成されていますが、観光できるのは以下の4島のみ。
・桂島(かつらしま)
・野々島(ののしま)
・寒風沢(さぶさわしま)
・朴島(ほおじま)
この4島、なんと日帰りで巡れちゃいます!
もちろん島内には民宿もあり、宿泊も可能です。
「マリンゲート塩釜」からフェリーで向おう!
本塩釜駅から徒歩10分ほどの場所にある「マリンゲート塩釜」から市営の定期船が運航しており、各島に上陸することができます。
今回は筆者がめぐった浦戸諸島島歩きルートを、時系列でご紹介します。4島すべてに行きました。
島めぐりに関する注意点!
・島にはコンビニやスーパーがない。
・島には公衆トイレが少ない(各島1~4か所)。
・崖地など崩落の危険があるところには近づかない。
・グーグルマップは、あまり当てにならない。マリンゲート塩釜に「浦戸諸島 島歩きマップ」があるので、持参しておくと安心。
【7:10】マリンゲート塩釜に到着
まずは浦戸諸島の玄関口、「マリンゲート塩釜」へ。
JR仙石線「本塩釜駅」より徒歩10分くらいで着きます。
チケット売り場は「マリンゲート塩釜」1階。階段は上がらず、建物の側面にある出入口から入ります。
浦戸諸島をすべてめぐる場合、【7:15発】もしくは【9:30発】の市営汽船に乗船しなければなりません。※2020年11月執筆現在。
なお最新の運航時刻・状況は事前に下記の公式HPをご確認ください。
1階の販売機で、乗船券を買おう!
今回は【7:15】の船に乗り、塩釜市から一番近くにある「桂島(かつらしま)」で下船します。
写真は市営汽船の券売機です。片道だけ購入し、帰りは船の中で買いました。桂島までは520円です。
券売機の右隣に「浦戸諸島 島歩きマップ」があるので、お忘れなく。
乗船は「桟橋1番のりば」です。一番奥にあるため、時間ギリギリに着くと少し危険。
桂島へは、マリンゲート塩釜から約23分で到着します。塩釜市に一番近く、4つの有人島のなかで最も人口の多い島です。
【7:38】桂島に到着
桂島に到着。写真は港にある待合室で、近くに公衆トイレもあります。
港から徒歩1分くらいで集落に入ります。まず目指すのは「松崎神社」です。港を背に集落を歩き、右へ曲がります。
アスファルトで舗装された道を歩いていくと、「新奥の細道 松崎神社150m」という標識を発見。標識に従い、右へ曲がります。
少し歩くと分かれ道に出会います。ここは左へ。
松崎神社
ほどなくして石造りの鳥居がみえてきました。「松崎神社(まつざきじんじゃ)」に到着です。
明治43年の桂島海水浴場開設に伴い、付近にあった八幡神社、春日神社、神明社を合祀したのが現在の松崎神社です。
境内にはタブの木をはじめ常緑樹がうっそうと茂り、朝でも暗い感じがします。
神社の案内版によると、「この境内の木と刃物をいれれば天罰がくだし、我が身に刃がおそいかかり傷を負うと信じられている」と書かれていました。
島ネコを発見。田代島ほどではありませんが、各島でネコと出会いました。
田代島については、こちらをご覧ください!
タブの森・椿のトンネル
松崎神社の脇を通り裏側へまわると、島の沿岸を散策する遊歩道があります。
さっそく椿のトンネルが現れました! まるでジブリ作品に出てきそうな、森の通り道です。
森の中を進んでいくと、標識を発見。「二度森展望台」方向へ進みます。
二度森展望台へ到着。ベンチが設置されています。
二度森展望台からの眺望。天気が良ければ、松島の美しい島景色が望めそうです。
展望台をあとにし、次の目的地「観月崎展望台(みづきざきてんぼうだい)」へ。
道中は写真のような島景色がみえたり……
かと思ったら、鬱蒼とした森の中だったり…と変化に富んだ散策コースとなっています。
観月崎展望台
「観月崎展望台(みづきざきてんぼうだい)」に到着。港から30分くらいでしょうか。
展望台からは、松島湾内でもとくに有名な奇石「仁王島」がみられます。
が、木々に隠れハッキリとした仁王島の姿を撮影することができず…。松島の遊覧船からみた仁王島の写真だけ載せておきます。
桂島海水浴場
観月崎展望台から階段を下りていくと、「桂島海水浴場」に出ます。東日本大震災から4年後、平成26年(2014)に海水浴場として再開を果たしました。
海水浴場の正面に広がるのは、太平洋の海。海水浴シーズンは例年7月中旬~8月中旬に開設されます。ここには公衆トイレもあります。
島ネコがいました。追いかけてきます。
雨降石
桂島海水浴場を抜けると、再びアスファルトの道へ。坂道をのぼりきると、標識がみえます。
今回は、島民が雨乞いをしたという「雨降石」をみにいくことにしました。
道中に「菜の花畑跡」がありました。松島系白菜の採種用として菜の花が栽培されており、5月頃になると黄色一色に彩られた花畑が広がっていたそうです。
現在は白いベンチが設置され、周辺には花壇が整備されていました。
再び雨降石の標識を発見。この道をまっすぐ進みます。
階段と山道の分岐点です。階段を下れば、野々島へ渡る無料渡船がある「石浜(いしはま)」へ出ます。
まずは雨降石を目指して、津森山(つもりやま)へ。
津森山は浦戸諸島で最も高い山です。標高は約61mあり、頂上付近に雨降石があります。わりと山道なので、ちょっとしたトレッキング気分。
分岐点から10分もしないで到着。行き止まりになっているので、おそらく津森山の山頂です。
雨降石です。むかし島内の農業は雨水に依存していたため、日照りの時にこの石にむかって雨乞いをしていたそう。
石浜漁港へ
先ほどの分岐点まで戻り、桂島の最終目的地「石浜漁港」へ。階段を下りていき、あとは道なりに進みます。
途中に「石浜神社(いしはまじんじゃ)」がありました。
石浜漁港に到着。桂島上陸からおよそ1時間ほどの散策でした。ここから無料渡船に乗り、「野々島(ののしま)」へ渡ります。
港に渡船待合所あり、そこに渡船の電話番号が書かれた紙があるので電話しましょう。島歩きマップにも、渡船の電話番号が記載されています。
渡船は2~3人が乗船できる小型の船です。桂島の石浜から野々島へは5分ほどで到着しました。
船長さんが親切で、運転しながら島や船の紹介をしてくださいました。
【9:20】野々島に到着
あっという間に野々島(ののしま)に到着。向こうにみえるのが、桂島です。
さっそく最初の目的地「熊野神社(くまのじんじゃ)」へ向かいます。
熊野神社
港を背に右へ進むと、集落の中に石造りの鳥居と熊野神社の参道がみえてきます。
岩を削ってつくられた古道です。
標識を発見。左が熊野神社、右が夜泣き地蔵です。まずは左へ曲がり、熊野神社へ。
ここにも島ネコ。
ほどなくして熊野神社に到着。
一見ふつうの神社ですが、※禁教令が出された時代に、隠れキリシタンが拝んでいたとされるキリスト仏があるそうです(残念ながら見られず)。
熊野神社の先に道がありますが、こちらを進むと港の方へ戻ってしまいます。先ほどの標識まで引き返しましょう。
椿のトンネル~夜泣き地蔵と六地蔵
「夜泣き地蔵」方面を歩いていくと、野々島名物「椿のトンネル」が現れます。4月~5月の春が見ごろで、赤やピンクの花びらをつけた椿が咲き乱れるそう。
ぽつぽつと早咲きの椿が咲いていました(11月中旬)。
道の脇には野仏が点在しています。
椿のトンネルを抜けてしばらく歩くと、車道に出てきました。正面に墓地の入口があり、そこに夜泣き地蔵があります。
「夜泣き地蔵」です。”子どもの夜泣きがなおる”と伝えられており、各家でお地蔵様にお願いしていたそう。
夜泣き地蔵の隣には、6体のお地蔵様が並ぶ「六地蔵」があります。六地蔵とは、六道における苦しみを救う6つの地蔵菩薩のこと。
仏教の世界では、生前の善行・悪行によって地獄・餓鬼・畜生・修羅・人間・天の六道に分かれるとされています。
宇内浜~野々島桟橋(渡船)へ
夜泣き地蔵と六地蔵をあとにし、渡船方面へ進みます。その道中にある「宇内浜(うねはま)」へは、ぜひ立ち寄ってみてください。
手作りブランコや流木を利用したベンチなどが設けられており、ちょっとした休憩にもピッタリ。
浜は干潮時に島と陸続きになります。
島歩き再開! 宇内浜から渡船に乗る桟橋を目指し、車道を歩きます。
浦戸小中学校を横目に坂を下れば、桟橋は目と鼻の先です! 野々島の滞在時間は90分ほどでした。
【11:00】寒風沢島に到着
野々島桟橋で電話し、無料渡船に乗って「寒風沢島(さぶさわしま)」へ。2分くらいで到着しました。
港を背に集落の中を直進し、最初の目的地である「六地蔵」へ向かいます。
寒風沢島では、今まであった案内標識をほとんどみかけませんでした。
10分ほど歩くと右手に伸びる脇道(写真上)があるので、進んでいきます。
「六地蔵」です。先ほどの野々島にもありましたね。
ちょうど六地蔵が分岐点となっており、道が二手に分かれていますが、ここは来た道へ引き返し「田園地帯」を目指します。
田園地帯~元屋敷浜
六地蔵からほどなくして、田園地帯がみえてきます。寒風沢島の絶景フォトスポット!
坂道を下り、田園地帯の中を歩いていきます。
寒風沢島の奥部にある、田園地帯。この白い道は砂利ではなんく、牡蠣の殻を割って敷いた道なんです。
もともと田園が広がっていたようですが、島民の高齢化などにより多くの水田はヨシやガマの原に覆われています。
島には河川がないため、現在も天水(雨)のみで浦戸米を作っているのだとか。
元屋敷浜~寒風沢神明社
田園地帯を進むと、十字路の分かれ道に出会います。左へ曲がり「元屋敷浜(もとやしきはま)」へ。
写真奥にみえる白い堤防が、「元屋敷浜(もとやしきはま)」です。
堤防へ上れる階段があります。
堤防の上から望んだ景色。波も小さく、穏やかな海が広がっています。しばし時を忘れ、ぼうっと海面を眺める……。
堤防から降り、反対側にある「前浜(まえはま)」方面へ向かいます。
道中に標識や看板はないため、島歩きマップが頼りです。田園地帯を横切るように進んでいきます。
前浜に到着です。こちらも堤防が続いており、階段が設置されていました。
堤防に沿って歩いていくと、「チリ地震津波被災の地」という石碑が立っていました。
石碑があるとこから、道が二手に分かれています。次の目的地「寒風沢島神明社(さぶさわしんめいいしゃ)」があるのは、右の道です。
畑や田んぼを横目に、一本の小道を進んでいきます。
しばらく歩くと車道と合流し、寒風沢神明社の鳥居にたどり着きました。
鳥居をくぐると道が二手に分かれており、正面が寒風沢神明社に続く道です。
鳥居から2、3分で社殿がみえてきました。
境内はタブの林や杉の木に囲まれ、厳かな空気が漂っています。
祀られているのは、天照皇大神(あまてらすすめおおみかみ)と豊受大御神(とようけのおおみかみ)です。
高台にあるため、境内からは歩いてきた前浜の海岸や田園地帯が見渡せます。
砲台跡~日和山展望台
次の目的地「砲台跡」へは鳥居をくぐらず、神社を背に左の脇道を通ります。
しばらく案内標識がなく、いちおう道はあるものの整備された歩道はありません。
不安になりながら歩くこと数分、標識が立っておりホッと一安心。
標識から徒歩5分とかからず、砲台跡に到着!
江戸時代後期にあたる慶応3年。仙台藩が寒風沢港を海防上最も重要な地点と定め、ここに砲台を建設したそうです。
弾薬庫や見張所も備えられ、藩より大砲方士50人余りが警備にあたっていたと言われています。
次の目的地「日和山展望台(ひよりやまてんぼうだい)」へ向うため、標識のあった分岐点まで戻ります。
しばらく歩くと、再び分岐点へ。
今度は標識が見当たりません。地図と現在地を照らし合わせ、左へ進みます。
浦戸諸島めぐりで、一番不安になった場所です。鬱蒼とした森の中を早足で進みます。
森の中を歩くこと6分ほど、ようやく「日和山展望台」に到着。
写真右下にみえる縄で縛られたお地蔵さまは、「しばり地蔵」と呼ばれています。
むかし寒風沢島には遊郭があり、遊女たちが男たちの船出を止めようと、お地蔵さまを荒縄で縛り逆風祈願をしたと伝えられています。
化粧地蔵と延命地蔵
日和山展望台から階段を下りていくと、集落に出ます。次の目的地「化粧地蔵(けしょうじぞう)」と「延命地蔵(えんめいじぞう)」は、この集落にある「松林寺」の敷地内にあります。
松林寺の入口です。この坂を上った左手に、化粧地蔵があります。
作者、年代は不明。古くからお地蔵様の顔に白粉を塗って祈願すると、美しい子宝に恵まれると言われています。
化粧地蔵の先にあるのが、松林寺。砲台跡で警備をしていた藩士たちが駐屯した、お寺でもあります。
松林寺の奥に、延命地蔵と六地蔵がありました。
寒風沢島には2時間近く滞在。いよいよ最後の島「朴島(ほおじま)」へ。
野々島からの渡船で降りた、寒風沢島の漁港へ戻ります。
【13:10】朴島に到着
無料渡船に乗り、10分ほどで朴島に到着。4つの有人島のなかで一番小さな島です。江戸時代に仙台藩の軍用金や宝物が隠されていた、という伝説があり「宝島(ほおじま)」と呼ばれていたことも。
港から集落の中を通り、まずは「神明社(しんめいしゃ)」へ。奥の方に鳥居がみえますね。
神明社です。寒風沢島にもありましたね。神明社とは天照大御神を主祭神とし、伊勢神宮内宮(三重県伊勢市)を総本社とする神社のことです。
神明社をあとに、いよいよ最後の目的地「菜の花畑」へ。民家の裏側にある、細い小道を通っていきます。
ちょっとした坂道を上ること、およそ3分。
菜の花畑に到着です。訪問日が11月なので、当然菜の花畑はありません。
奥には、こんもり頭をしたタブ林があります。
この菜の花畑は、地元の方が他の植物との交配を避けるため、丹念に雑草を抜くなど、大変な手間をかけて大切に育てているものです。
他所の観光菜の花園とは違います。ルートから畑に入ったり、花を摘んだりしないでください。(花を取らずに写真に撮ってください。)出典:塩釜市
朴島発の市営汽船は【14:00】もしくは【16:30】があります。16:30を逃すと、塩釜市に帰れなくなるので要注意。
なお火曜日、金曜日のみ朴島~塩釜市直行便が【18:55】に出ます。※年末年始、祝日、月遅れ盆は除く。
塩釜市に1泊しよう!
今回ご紹介した浦戸諸島は、日帰りでも十分満喫できます。
ただ全島まわるのに半日以上はかかり、それなりの距離を歩くため、翌日の目的地が遠い場合は市内で1泊するのがオススメ!
リーズナブルな価格で宿泊できるホテルもあるので、ぜひチェックしてみてください!
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気軽に離島トリップを楽しめる「浦戸諸島」
浦戸諸島は日帰りで非日常な島散策を楽しめる、穴場スポット。野々島の椿のトンネルや、朴島の菜の花畑など四季折々の絶景もあるため、その時季を狙っていくのもいいですね。
観光客の少ないオフシーズンもオススメですよ。