笹かまぼこの原料は?
まずは笹かまぼこの原料について、製造課・副課長の加藤さんが説明してくださいました。
写真上は、笹かまぼこの原料となるすり身です。アラスカのベーリング海で漁獲した魚を船内で加工し、冷凍された状態で届いたものだそう。
英語で「SURIMI」と印字されているのがわかるでしょうか?
左の段ボール状態のすり身が重さ20kg、右が半分の10kgほど。
馬上かまぼこ店では、妥協をせず厳選した高級すり身のみを使用しているそうです。
こちらが-27℃の冷凍庫で保管されているすり身の原料。日によっては、段ボールで100ケース入荷することもあるとか。
実際に、筆者もすり身を持ちあげてみました……が、重すぎて断念。
製造課・副課長の加藤さん、お忙しいところありがとうございました。
はじめに、すり身を擂り(すり)つぶす
笹かまぼこの製造は、擂潰(らいかい)と呼ばれる工程からはじまります。
擂潰とは、擂り(すり)潰す(つぶす)を漢字にした、かまぼこ業界特有の作業用語なんだそうです。
冷蔵庫で解凍されたすり身を練り上げ、塩、みりん、酒、卵白などで味付けをしていきます。
つまり、すべての製品の基となる、かまぼこの「生地」をつくる工程なのです。
よく練ることで味わいが深くなり、舌ざわりがなめらかになるんだとか。
すりつぶして、よく練りこむ。
字面だけみると簡単な作業に思えますが、力加減だったり練りこみ具合の判断など、ひとつひとつの動作が味や触感に大きく影響するそうです。
機械任せでは決して完成しない、経験と技術のある作り手がいることで「かまぼこ」は存在するのだと。そんな当たり前のことを、改めて思い知りました。
生地に具材を練り合わせる
仕上がった生地は、製品の種類ごとに味付けされていきます。こちらの作業は、上質な桜エビを練り込んでいるところ。エビの色が付いてるのがわかるでしょうか。
味付けが異なる場合は、石臼ときねをその都度洗浄して、味移りを防止します。
型に生地をつめこみ、笹の形に整えていく
こちらは笹かまぼこの生産ラインです。
練り上がった生地は、写真上の形成機へと運ばれ、笹の型に生地を詰めこみ、笹かまぼこの形へと成型されていきます。
金属の串に刺さった状態で、次々と流れてくる笹かまぼこたち。まだ焼いていないので、真っ白な状態です。
この整形機に通すことで、昔ながらの手焼きの手形を再現しています。
ズラリと一列に並んだ光景は圧巻!
笹かまぼこを焼いていく
笹かまぼこの形がつくられると、次はこんがり焼いていきます。
写真上は、焼き炉から焼き上がった場面です。裏側もしっかり焼けているかをチェックするため、鏡が取り付けられています。
笹かまぼこの焼き上がり枚数は、1時間で4,200枚だそうです!
焼き上がったばかりの笹かまぼこを1本ゲット! アツアツでふっくらとしていて、焼き魚のようないい匂いです。あぁ、ビール飲みたい。
金属の串が自動で抜かれて、焼き上がった笹かまぼこは放冷室へと運ばれていきます。
まるで笹かまぼこが泳いでいるような景色ですね~!
こんがり焼けた笹かまぼこを冷やす
こんがり焼けた笹かまぼこですが、なんと放冷室で急速冷却されます。
プリッとした歯ごたえと香ばしい風味は、この寒さで生まれるそうですよ!
包装して、品質チェック!
出来上がった笹かまぼこはオートメーションで、クリーンルームへと運ばれていき、包装されます。
包装された笹かまぼこを、鉄とステンレスの2種類の金属探知機でチェック。
賞味期限の印字ミスなどが無いか最終のチェックをしていきます。
検品された笹かまぼこは、冷蔵庫で保管。出荷の時を待ちます。
そして工場から各地の販売店へ、巣立ちの時です。
特別な製法でつくられている「かまぼこ」がある
馬上かまぼこ店では、笹かまぼこの他に「炭火焼かまぼこ」「揚げかまぼこ」「くんせいかまぼこ」があります。
工場で製造過程を見学してきたので、ご紹介します!
香ばしい「炭火焼かまぼこ」
備長炭で1枚ずつ、ていねいに時間をかけて焼いていく炭火焼かまぼこ。
炭火の風味が活きる上品な味わいと、凝縮された旨味が絶妙な一品です。
炭火焼かまぼこの生産枚数は、機械焼きに比べ350枚と大変少なく、写真上のようにじっくりと焼いていきます。
お中元とお歳暮時期には、大きいサイズのヒラメを入れた炭火焼き笹かまぼこも生産されるそうですよ!
機械ではなく、手作業で木製の型枠に入れて成型していきます。
次にかまぼこを串に刺し、炭火焼の機械にセット。
流れる動きはとてもゆっくり。餅のようにプクっと膨らませながら、じっくりと焼き上げていきます。
この炭火室はとても暑く(3月なのに)、夏場の作業はかなり大変だそうです。
揚げかまぼこ「揚かま」
しっかりと魚のおいしさを練りあげて生地を、油でカラッと揚げた香ばしい「揚げかまぼこ」。
容器に生地を入れると成型され、かまぼこはフライヤーの中へ。
この揚げかま室も、夏は40℃を超えることもあるとか!
揚げ終わったかまぼこは、油が拭き取られて次々と出てきます。
試食させていただきましたが、熱々でホックホク! 魚の旨味が口の中にジュワ~と広がります。
馬上かまぼこ店の「揚かま」シリーズは、きんぴらごぼうやれんこんなど中の具材が多いかまぼこ。とても美味しかったです!
完成した揚げかまぼこは、規定の温度で仕上がっているか温度チェックをし品質を管理しています。
包装後に出荷されて店頭へ。「揚かま」は、おやつやビールのおつまみに最適ですよ!