目次
東北三大祭り「仙台七夕まつり」とは?
仙台の夏の風物詩といえば……そう、仙台七夕まつり!!
仙台七夕まつりは、湘南ひらつか七夕まつり(平塚・神奈川県)、一宮七夕まつり~おりもの感謝祭~(一宮・愛知県)と並ぶ、日本三大七夕まつりの一つです。
「七夕まつりの元祖」とも言われ、伊達政宗公の時代から続き400年以上の歴史があります。
仙台市民からは、親しみを込めて「たなばたさん」なんて呼ばれてます。
見どころは何と言っても、街中を鮮やかに彩る七夕飾りでしょう。
長さ10m以上の巨大な竹に施された豪華絢爛かつ趣向の凝らされた七夕飾りを一目見ようと、毎年約200万人以上の見物客で賑わいます。
お祭りファンはもちろん、老若男女問わず楽しむことのできるお祭りですよ。
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仙台七夕まつり2022の基本情報
●期間:
曜日に関係なく、毎年8月6日~8日に開催。2022年は通常開催の予定です。
●場所:
仙台市内中心部の商店街や周辺の地域商店街。
巨大で豪華絢爛な笹飾りは、仙台駅前から中央通り、一番町通りのアーケード街にかけて続きます。
周辺の地域商店街でも、昔ながらの素朴な笹飾りを見ることができますよ。
●備考:
例年『仙台七夕MAP』が市内各所で配布されます。MAPには案内所や商店街名、近隣場所などが載っているので、1部あると安心して散策を楽しめます。
「るーぷる仙台」1日乗車券で、市内の七夕飾りをめぐろう
期間中は中心部だけでなく、市内全域で七夕飾りを見ることができます。
それぞれ趣向を凝らした七夕飾りとなっているため、市内各地の七夕飾りを巡り、見比べてみるのも面白いかもしれませんね。
市内を見て回る際には、「るーぷる仙台」の利用がオススメ。
るーぷる仙台は、仙台駅を起点に観光スポットを循環している観光バスです。乗車券(一日)があれば、どこから何度でも乗り降り自由なため、お得に仙台市内を巡ることができますよ。
▼「七夕まつり」を見に仙台に泊まろう!
仙台市の駅周辺は、設備の整ったビジネスホテルが充実しており、価格帯もさまざま。
また市街地郊外へ足を伸ばせば、作並温泉や秋保温泉といった歴史ある天然温泉を楽しめます。
仙台七夕祭りの見どころは?
続いては、仙台七夕祭りの見どころをご紹介します!
なんといっても壮大な笹飾り
仙台七夕まつりに欠かせないのは、なんといっても豪華絢爛な笹飾り。10mを超える巨大な竹を山から切り出し、小枝を払って使います。
しかも、その準備を行うのはお祭り2日前の4日の朝。たった2日で切り出しから飾りつけまで行うのですから、どれほど大変な作業なんだろうと頭があがりません。
見上げると首が痛くなるほどの壮大な笹飾りは、まさに見ものです。
知っているとおもしろい!七つ飾りの意味
仙台七夕まつりには欠かせないのが「七つ飾り」です。それぞれに意味があり、様々な願いが込められています。
- 短冊(たんざく)…学問、書道の上達
- 紙衣…病気や災難の厄除け、手芸の上達
- 折鶴…家内安全、健康長寿
- 巾着…商売繁盛、富貴、貯蓄
- 投網…豊漁、豊作
- 屑籠…清潔、倹約
- 吹き流し…技芸の上達、織姫の織り糸を表現
実物を目にするとよくわかるのですが、飾りは一つ一つは本当に手が込んだ作りとなっています。作った方々の思いや願いが詰まっていることを感じ得ずにはいられません。
そして、仙台七夕かざりの最大の特徴は和紙で作られていること。
伝統的な京千代紙や江戸千代紙などが使われています。それぞれ、色や形などのデザインが異なり、それを観るのがまた七夕祭りの面白いところ。
「どんな願いが込められているのかな…?」「どんな風に作ったのかな…?」そんなことに思いをはせながら、じっくり観て回っていてくださいね。
くす玉…故人の霊をなぐさめる
七つ飾りと並んで目を引くのが、吹き流しのてっぺんに飾られたくす玉です。くす玉は昔から”故人の霊を慰めるもの”として、ざるに紙の花を飾り付けるという簡単な方法で飾られてきました。
しかし戦後、仙台市に住む森権五郎氏が、軽い円形の竹籠に京紙の折り紙を飾り付けるくす玉を考案されました。
そこには、「庭に咲くダリアの花のように七夕を飾りたい、戦争で亡くなった人たちを弔いたい」という想いがあったそうです。
現在では七夕まつりの吹き流しになくてはならないほど、全国に広まりました。
仙台七夕の子竹飾りが作れるキットをご紹介!
筆者オススメの七夕飾り
市内の小中学生が願いを込めた折り鶴~故郷復興プロジェクト~
執筆者一押しの七夕飾りは、毎年一番町の藤崎デパート前に飾られる「折り鶴の吹き流し」です。
2012年から仙台市教育委員会の「故郷復興プロジェクト」の一環として行われている企画で、仙台市立学校に通う小中学生ひとりひとりが願いを込めて一生懸命手作りした折り鶴が飾られています。
2011年の東日本大震災からの復興への願いや全国からの支援への感謝、子ども達の未来へ向けた希望などが込められています。
小耳に挟んだ話ですが、折り鶴の作り方も学校により様々。ひとりで1羽折る学校もあれば、学年毎に担当工程があり6人で1羽を折る学校もあるとか。
吹き流しデザインは毎年変わりますが、最近はスクエア型が続いていました。
中へ入ってみると、たくさんの折り鶴に混ざって学校名や願いが書かれた短冊が風にそよいでいて美しかったです。
2019年には新たに宮城県内の学校10校が加わり、折り鶴の数は88,000羽になりました。たくさんの鶴が繋がり、寄り添っている姿に、心打たれる人も少なくありません。
仙台市以外からお越しの方々にも、ぜひ足を運んでみてほしい七夕飾りです!
■ファン喚起!?アニメや漫画の巨大吹き流し
近年、仙台が舞台の作品や多くのファンの支持を得ている人気作品などの巨大吹き流しも登場しています。
キャラクターのイラストがプリントされたものや、そのキャラクターをイメージしてデザインされたものなど、様々です。吹き流し近辺は毎年物凄い人だかりができ、作品のファンや親子連れの方々で賑わっています。
参考までに、これまで公式でコラボ・タイアップされた作品をいくつかご紹介します。
- ・戦国BASARA
- ・ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない
- ・僕のヒーローアカデミア
- ・ハイキュー!!
- ・Wake Up, Girls!
- ・『BLUE GIANT』&『BLUE GIANT SUPREME』
- ・ラブライブ!
また、上記以外にも、
- ・ディズニー作品
- ・ポケットモンスター
- ・セサミストリート
- ・妖怪ウォッチ
- ・すみっコぐらし
- ・ご当地のゆるキャラ 等々…
さまざまなキャラクターをあしらった七夕飾りも、多数登場しています(非公式含む)。
今年はどんな作品やキャラクターが登場するのか! 予想してみるのも楽しいかもしれませんね。
仙台七夕まつり期間中のおすすめイベント3選!
① 仙台七夕花火祭 ※無観客、縮小開催
例年8月5日に、仙台七夕まつりの前夜祭という位置づけで仙台花火祭りが開催されています。
仙台西公園周辺を中心に、約16,000発の打ち上げ花火が打ち上げられ、夏の夜空を彩ります。
2019年には、記念すべき50回目を迎えました。七夕前夜の賑やかな雰囲気を味わいたい方は街中で観るもよし、じっくりとストレスフリーで観たい方は少し離れたスポットから観るもよしです!
2022年は仙台市内の複数箇所で5分程度、無観客で行われる予定。なお打ち上げ時刻や場所は非公表となっています。
② 瑞鳳殿七夕ナイト ※2021年は開催中止
仙台藩祖伊達政宗を祀る霊廟「瑞鳳殿(ずいほうでん)」で行われるイベントです。
七夕まつりの期間中、参道や境内、本殿周辺で竹灯籠が灯されます。祭の豪華絢爛なにぎやかさとは打って変わって、幻想的な空気に息をのむこと間違いなしのスポットです!
仙台城跡ナイトイベント
仙台城跡は、伊達家代々の居住跡です。筆者の個人的オススメポイントは、伊達武将隊の演舞!
演舞とは、殺陣や舞を取り入れたパフォーマンスのことです。思わず、「ぉぉぉおお!」と声をあげてしまう程迫力がありますよ。
他にも観光客を圧倒させるおもてなしが盛りだくさん。また、お城が建っていたという場所だけあり仙台市内を一望できるという絶景スポットでもあります。
伊達政宗公の騎馬像と共に、七夕で賑わう仙台市を眺めてみませんか?
仙台七夕まつりの歴史を探る
昔はどうだった?
今でこそ日本随一の七夕まつりですが、筆者の祖母や両親いわく、元々は各家庭で行われる素朴な行事だったといいます。
家庭の行事が商店街活性化、そして大規模な観光イベントに発展したのだとか。
詳しく知りたいなぁ〜と思い、筆者の祖母(1928(昭和3)年生まれ)に尋ねたところ、
「昔と今の仙台七夕も似てるところもあるけんど、やっぱしちょっと違うなや。いぎなりああなったんでなぐで、戦争が終わってからだんだん華やかになって、なんだべな~って思ってるうちにすげぇことになったんだなや。」
とのコメント。
ではなぜ、全国的に有名な観光イベントに発展したのでしょうか。
気になったので、江戸時代から約400年続く仙台七夕の歴史を調べてみました!
そもそも七夕って?
七夕といえば、織女星(織姫)と牽牛星(彦星)が年に一度だけ天の川を渡って出会う伝説がメジャーですよね。
また「乞巧奠(きこうでん)」と呼ばれるはた織りや裁縫、習字などの上達を願う儀礼が合わさった、中国の行事でもあるそうです。
七夕は奈良時代の日本に伝わったとされており、はじめは宮中行事として行われました。
それが徐々に身分を超えて広く浸透し、江戸時代には民間の行事として全国で盛んになっていたようです。
この頃から、竹に短冊や吹き流しを飾るようになったと言われています。
※余談ですが、仙台をホームタウンとしているプロサッカークラブ「ベガルタ仙台」のクラブ名は、七夕伝説に登場するベガ(織姫)とアルタイル(彦星)から生まれているんですよ。
【江戸時代】仙台七夕のはじまり
仙台藩祖・伊達政宗公の時代には、すでに七夕は行事として取り入れられていたようです。
本来七夕まつりは旧暦の7月7日に行う行事で、この時代の仙台でも7月7日に七夕飾りを飾って祭りを行い、8日に飾りを川に流していました。
しかし、第7代藩主・伊達重村公の時代から日程が1日繰り上がり、6日に祭りを行い、7日に飾りを流すようになったそうです。
旧暦7月7日は七日浴や七日盆と呼ばれ、どうやらお盆の準備に入る前盆の行事日という位置づけでもあったよう。
飾り付けた笹を広瀬川に流し(現在は環境保全のため流されていません)、水を浴びや洗い物をすることで「みそぎ」とし、盆祭に入る準備をしていました。
また、稲の開花時期と重なっていたことから、農村地方では田の神を迎え入れる為に七夕飾りを飾り、豊作を祈った日でもあったようです。
夏の仙台は、ときおり冷たく湿った風の影響を受けて、幾度も冷害に苦しめられてきた地域でもありますから、願わずにはいられなかったのでしょうね。
【明治~大正時代】七夕まつりの衰退
江戸時代は家庭や地域の行事として、親しまれていた七夕まつり。しかし明治になり近代化の波が押し寄せると、維新の変革と共に七夕も衰退していきます。
明治6年(1873)には新暦が採用され、さらに※五節句廃止令が布告されたことで、ますます目にする機会が少なくなります。
新暦の7月7日は梅雨の時期に当たるため、天候的な理由もあるかもしれませんが……。
その寂しさといったら「電狸翁(でんたぬおう)」として仙台市民に親しまれた伊藤清次郎氏(いとう せいじろう)の著書『仙台昔話電狸翁夜話』において、幕末と大正末期の七夕祭りを比較し、「往時のそれに比較するときは到底及ぶところではない」と記すほどだったようです。
※五節句廃止令…五節句は一年間の五つの節句、1月7日(人日)、3月3日(上巳)、5月5日(端午)、7月7日(七夕)、9月9日(重陽)のこと。江戸時代からはじまり、明治6年に廃止された。
【大正~昭和時代】” 商店街の七夕 “の登場と仙台七夕完全復活
大正12(1923)年には関東大震災が起こり、混沌と大不況に見舞われる中、七夕の変革期が訪れました。
今までの七夕は主に家庭内の行事でしたが、この不況を乗り切るため商店街は協力して大売出しを企画し、それに併せて仙台七夕初の“商店街の七夕飾り“が登場したのです。
当初は一部の商店街での取り組みでしたが、年を追う毎に参加の輪が広がり、大きな行事になっていきました。
昭和2年(1927)には仙台商家の有志たちが一丸となり、豪華な七夕飾りを復活させたのです。
仙台の人々は七夕飾りの復活を喜び、一目見ようと大勢の人で賑わいました。翌年の昭和3年には、七夕まつりを新暦日付の月後れである中暦8月6日~8日の3日間にわたり開催します。
また仙台商工会議所と仙台協賛会の合同企画により、「飾りつけコンクール」が行われ、大いに盛り上がったと言います。
七夕まつりの完全復活に、当時の仙台の人たちは手を取り合って喜び、3日2夜大騒ぎしたとかしなかったとか。
仙台七夕は勢いはすさまじく、1932(昭和7)年には七夕まつりに約15万人の人出があったという記録が残っているそうです!(当時の仙台市の人口は約20万人程。ものすごく賑わったことが伺えますね。)
【昭和~平成~令和時代】焼け野原からの復活、商店街活性化から大規模観光イベントへ
しかし喜びもつかの間、第2次世界大戦が勃発し、七夕飾りは再び街から姿を消していきました。戦時中もなんとか飾られてはいたようですが、終戦間際の昭和18~19年は、ほとんど飾られることが無かったと言います。
(祖母曰く、「戦時中は街中に大々的に飾られることはなかったけれど、各家庭でひっそりと小さい飾りを下げて七夕を続けていた」とのことです。)
昭和21年(1946)、仙台空襲で街は焼け野原と化しました。
当時を知る祖母の話では
「街なんてもどからなかったみでーに、本当に、みんな焼げじまっだ。どっちゃいげば家なんかもしゃねぐなってしまった。」(訳:街なんて最初からなかったみないに、本当にみんな焼けてしまった。どっちにいけば家なのかもわからなくなったしまった。)
とのこと。
深い悲しみと絶望に包まれる中、翌昭和21年に、一番町通りに52本の竹飾りが飾られました。当時の新聞で「10年ぶりに仙台七夕が復活した!」と当時の新聞で報じられるほどだったそうです。
さらに翌昭和22年の昭和天皇巡行時には、巡行沿道に5,000本の竹飾りが飾られ、昭和天皇をお迎えしました。
その後、街の復興と呼応するように仙台七夕も息を吹き返していきました。
昭和39年(1964)には、現在ではお馴染みの「アーケード」が完成。天候を気にせず、七夕まつりを開催できるようになりました。
仙台市民の熱意により、ようやく復活を遂げた仙台七夕まつり。商店街の活性化イベントから、観光イベントへと変化していきます。
そして現在では、日本一の規模を誇る七夕まつりとしてその名が知られるようになったのです。
もっと仙台七夕まつりを知りたい方へ!
仙台七夕に興味を持ってくださった方はぜひ、「鐘崎 笹かま館」へ足を運んでみてください。
敷地内に「七夕ミュージアム」があり、七夕飾りが常設展示されています。最近では見かけることが少なくなってきた仙台七夕特有の飾り「仙台仕掛けもの」等も見物することができたり、七夕飾りの手作りを体験したりすることもできます。
まさに、仙台七夕を知って楽しい、見て楽しい、作って楽しいが味わえるオススメの施設です!(県内の小中学生の校外学習先となることも多いです。)
時代の荒波にも負けず、400年以上の時を紡ぐ仙台の七夕
大変な状況下ではありますが、仙台市民の熱い想いと努力により、2年の時を経て開催される「仙台七夕まつり」。
さまざまな制限下での開催となりますが、開催する方々の熱い思いは毎年変わりません。
市内全域で七夕の飾りがみられるため、中心部以外にもぜひ足を運んでみてくださいね!
お問い合わせ:仙台七夕まつり協賛会(事務局:仙台商工会議所)
〒980-0014 宮城県仙台市青葉区本町2-6-12
Tel:022-265-8185
<参考>
仙台七夕まつり公式HP:
https://www.sendaitanabata.com/
東北のまつり公式HP(運営:東北六県商工会議所連合会):
https://www.tohokumatsuri.jp/
仙台七夕まつり(東北絆祭公式HP内):
https://tohoku-kizunamatsuri.jp/special/learn/sendai/
仙台七夕まつりの歴史(株式会社鐘崎HP内)
https://www.kanezaki.co.jp/shop/belle_factory/tanabata_history.html
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