仙台七夕まつりの歴史を探る

昔はどうだった?

【七夕】 中心部

今でこそ日本随一の七夕まつりですが、筆者の祖母や両親いわく、元々は各家庭で行われる素朴な行事だったといいます。

家庭の行事が商店街活性化、そして大規模な観光イベントに発展したのだとか。

 

詳しく知りたいなぁ〜と思い、筆者の祖母(1928(昭和3)年生まれ)に尋ねたところ、

「昔と今の仙台七夕も似てるところもあるけんど、やっぱしちょっと違うなや。いぎなりああなったんでなぐで、戦争が終わってからだんだん華やかになって、なんだべな~って思ってるうちにすげぇことになったんだなや。」

とのコメント。

 

ではなぜ、全国的に有名な観光イベントに発展したのでしょうか。

気になったので、江戸時代から約400年続く仙台七夕の歴史を調べてみました!

 

そもそも七夕って?

七夕まつり

七夕といえば、織女星(織姫)と牽牛星(彦星)が年に一度だけ天の川を渡って出会う伝説がメジャーですよね。

また「乞巧奠(きこうでん)」と呼ばれるはた織りや裁縫、習字などの上達を願う儀礼が合わさった、中国の行事でもあるそうです。

 

七夕は奈良時代の日本に伝わったとされており、はじめは宮中行事として行われました。

それが徐々に身分を超えて広く浸透し、江戸時代には民間の行事として全国で盛んになっていたようです。

この頃から、竹に短冊や吹き流しを飾るようになったと言われています。

 

※余談ですが、仙台をホームタウンとしているプロサッカークラブ「ベガルタ仙台」のクラブ名は、七夕伝説に登場するベガ(織姫)とアルタイル(彦星)から生まれているんですよ。

 

【江戸時代】仙台七夕のはじまり

伊達政宗公 イメージ

出典:いらすとや(作成:編集部)

仙台藩祖・伊達政宗公の時代には、すでに七夕は行事として取り入れられていたようです。

 

本来七夕まつりは旧暦の7月7日に行う行事で、この時代の仙台でも7月7日に七夕飾りを飾って祭りを行い、8日に飾りを川に流していました。

しかし、第7代藩主・伊達重村公の時代から日程が1日繰り上がり、6日に祭りを行い、7日に飾りを流すようになったそうです。

 

旧暦7月7日は七日浴や七日盆と呼ばれ、どうやらお盆の準備に入る前盆の行事日という位置づけでもあったよう。

飾り付けた笹を広瀬川に流し(現在は環境保全のため流されていません)、水を浴びや洗い物をすることで「みそぎ」とし、盆祭に入る準備をしていました。

七夕と稲作
出典:いらすとや(作成:編集部)

また、稲の開花時期と重なっていたことから、農村地方では田の神を迎え入れる為に七夕飾りを飾り、豊作を祈った日でもあったようです。

夏の仙台は、ときおり冷たく湿った風の影響を受けて、幾度も冷害に苦しめられてきた地域でもありますから、願わずにはいられなかったのでしょうね。

 

【明治~大正時代】七夕まつりの衰退

明治 文明開化 イメージ

江戸時代は家庭や地域の行事として、親しまれていた七夕まつり。しかし明治になり近代化の波が押し寄せると、維新の変革と共に七夕も衰退していきます。

 

明治6年(1873)には新暦が採用され、さらに※五節句廃止令が布告されたことで、ますます目にする機会が少なくなります。

新暦の7月7日は梅雨の時期に当たるため、天候的な理由もあるかもしれませんが……。

 

その寂しさといったら「電狸翁(でんたぬおう)」として仙台市民に親しまれた伊藤清次郎氏(いとう せいじろう)の著書『仙台昔話電狸翁夜話』において、幕末と大正末期の七夕祭りを比較し、「往時のそれに比較するときは到底及ぶところではない」と記すほどだったようです。

※五節句廃止令…五節句は一年間の五つの節句、1月7日(人日)、3月3日(上巳)、5月5日(端午)、7月7日(七夕)、9月9日(重陽)のこと。江戸時代からはじまり、明治6年に廃止された。

【大正~昭和時代】” 商店街の七夕 “の登場と仙台七夕完全復活

仙台 商店街 イメージ

出典:いらすとや(作成:編集部)

大正12(1923)年には関東大震災が起こり、混沌と大不況に見舞われる中、七夕の変革期が訪れました。

今までの七夕は主に家庭内の行事でしたが、この不況を乗り切るため商店街は協力して大売出しを企画し、それに併せて仙台七夕初の“商店街の七夕飾り“が登場したのです。

 

当初は一部の商店街での取り組みでしたが、年を追う毎に参加の輪が広がり、大きな行事になっていきました。

昭和2年(1927)には仙台商家の有志たちが一丸となり、豪華な七夕飾りを復活させたのです。

仙台の人々は七夕飾りの復活を喜び、一目見ようと大勢の人で賑わいました。翌年の昭和3年には、七夕まつりを新暦日付の月後れである中暦8月6日~8日の3日間にわたり開催します。

また仙台商工会議所と仙台協賛会の合同企画により、「飾りつけコンクール」が行われ、大いに盛り上がったと言います。

 

七夕まつりの完全復活に、当時の仙台の人たちは手を取り合って喜び、3日2夜大騒ぎしたとかしなかったとか。

仙台七夕は勢いはすさまじく、1932(昭和7)年には七夕まつりに約15万人の人出があったという記録が残っているそうです!(当時の仙台市の人口は約20万人程。ものすごく賑わったことが伺えますね。)

【昭和~平成~令和時代】焼け野原からの復活、商店街活性化から大規模観光イベントへ

【七夕】平成

写真提供:著者(平成初期の七夕)

しかし喜びもつかの間、第2次世界大戦が勃発し、七夕飾りは再び街から姿を消していきました。戦時中もなんとか飾られてはいたようですが、終戦間際の昭和18~19年は、ほとんど飾られることが無かったと言います。

(祖母曰く、「戦時中は街中に大々的に飾られることはなかったけれど、各家庭でひっそりと小さい飾りを下げて七夕を続けていた」とのことです。)

 

昭和21年(1946)、仙台空襲で街は焼け野原と化しました。

当時を知る祖母の話では

「街なんてもどからなかったみでーに、本当に、みんな焼げじまっだ。どっちゃいげば家なんかもしゃねぐなってしまった。」(訳:街なんて最初からなかったみないに、本当にみんな焼けてしまった。どっちにいけば家なのかもわからなくなったしまった。)

とのこと。

深い悲しみと絶望に包まれる中、翌昭和21年に、一番町通りに52本の竹飾りが飾られました。当時の新聞で「10年ぶりに仙台七夕が復活した!」と当時の新聞で報じられるほどだったそうです。

さらに翌昭和22年の昭和天皇巡行時には、巡行沿道に5,000本の竹飾りが飾られ、昭和天皇をお迎えしました。

仙台 七夕まつり アーケード

その後、街の復興と呼応するように仙台七夕も息を吹き返していきました。

昭和39年(1964)には、現在ではお馴染みの「アーケード」が完成。天候を気にせず、七夕まつりを開催できるようになりました。

仙台市民の熱意により、ようやく復活を遂げた仙台七夕まつり。商店街の活性化イベントから、観光イベントへと変化していきます。

 

そして現在では、日本一の規模を誇る七夕まつりとしてその名が知られるようになったのです。

もっと仙台七夕まつりを知りたい方へ!

仙台七夕に興味を持ってくださった方はぜひ、「鐘崎 笹かま館」へ足を運んでみてください。

 

敷地内に「七夕ミュージアム」があり、七夕飾りが常設展示されています。最近では見かけることが少なくなってきた仙台七夕特有の飾り「仙台仕掛けもの」等も見物することができたり、七夕飾りの手作りを体験したりすることもできます。

 

まさに、仙台七夕を知って楽しい、見て楽しい、作って楽しいが味わえるオススメの施設です!(県内の小中学生の校外学習先となることも多いです。)

 

鐘崎 笹かま館の公式HPはこちら

時代の荒波にも負けず、400年以上の時を紡ぐ仙台の七夕

仙台七夕まつり

大変な状況下ではありますが、仙台市民の熱い想いと努力により、2年の時を経て開催される「仙台七夕まつり」。

さまざまな制限下での開催となりますが、開催する方々の熱い思いは毎年変わりません。

 

市内全域で七夕の飾りがみられるため、中心部以外にもぜひ足を運んでみてくださいね!

 

お問い合わせ:仙台七夕まつり協賛会(事務局:仙台商工会議所)

〒980-0014 宮城県仙台市青葉区本町2-6-12

Tel:022-265-8185

 

<参考>

仙台七夕まつり公式HP:

https://www.sendaitanabata.com/

東北のまつり公式HP(運営:東北六県商工会議所連合会):

https://www.tohokumatsuri.jp/

仙台七夕まつり(東北絆祭公式HP内):

https://tohoku-kizunamatsuri.jp/special/learn/sendai/

仙台七夕まつりの歴史(株式会社鐘崎HP内)

https://www.kanezaki.co.jp/shop/belle_factory/tanabata_history.html

 

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