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角田市にはJAXAの研究施設がある!
仙台から車を走らせること約50分、宮城県角田市にある「JAXA角田宇宙センター」と「角田市スペースタワー・コスモハウス」を取材しました。
一体どのような施設で、どんな体験ができるのでしょうか? 実際に現地を訪ねた筆者が、施設の見どころなどをレポートします。
\宇宙ロケットについて知る/
発行年月:2021年07月15日
ページ数:160p
角田宇宙センターとは?
宮城県角田市にある「国立研究開発法人 ※宇宙航空研究開発機構 角田(かくだ)宇宙センター」は、ロケットエンジンの研究と開発を行っている施設です。
見学はできませんが、ロケットエンジンに関する各種試験設備があり、宇宙輸送技術の世界的な研究開発拠点となっています。
小惑星リュウグウに着陸し、砂や岩の採取・持ち帰りに成功した小惑星探査機「はやぶさ2」を打ち上げたロケットも、ここ角田宇宙センターで開発されました。
今回は、一般公開されている宇宙開発展示室を訪ねました。さっそく行ってみましょう。
角田宇宙センター入口
こちらの守衛所で、予約時の名前を伝えてください。宇宙開発展示室は無料ですが、完全予約制ですので予約していない場合は入場できません。
展示室訪問の際は、事前に電話で予約の申し込みをしましょう。
一般公開されている「宇宙開発展示室」へGO!
宇宙開発展示室への入口がこちら。備え付けのアルコールで手指の消毒をしてから入館しましょう。
宇宙開発展示室の案内図
展示室内は、ZONE1~ZONE4という4つのエリアに分かれています。室外には野外展示場も。
まずは、ZONE1へ。
ZONE1(ウェルカムコーナー)
入口すぐのところにあるエリアが「ZONE1」。順に見て行きます。
まず目に飛び込んできたのは、ズラリと並んだ歴代ロケットたちの模型。この模型は縮尺1/20で、左から2番目のH-ⅡBロケットは56.6mあるそうです。
青丸で囲んだところに人や車の模型があり、ロケットの大きさを感じ取ることができます。
こちらは種子島宇宙センターにある、大型ロケット発射場の縮尺1/300模型。手元のスイッチを押すと、大型ロケット組立棟(VBA)の扉が開いてロケットが飛び立ちます。
種子島宇宙センターの大型ロケット組立棟(VBA)の扉の大きさは、「世界最大の引き戸」としてギネスに登録されているそうです。
通路では宇宙飛行士・金井宣茂(かない のりしげ)氏のビデオメッセージが流れていました。
続いて、ZONE2に行ってみます。
ZONE2(レクチャールーム)
「ZONE2」では、ロケットの打ち上げの様子や角田宇宙センターの活動などがビデオで見られるようになっています。
入口にあるモニターから、見たいビデオを選択しましょう。
筆者が選んだ「ロケット打ち上げ音響体験」では、ロケットを打ち上げたときの音の大きさが体験できました。
ロケットの中にある人工衛星が聞いてる音は、旅客機50機分(エンジン100個分)の音で140db(デシベル)にもなるそうです。
となりのZONE2を出た通路に宇宙食が展示されていました。カレーラーメンが美味しそうですよ。
次は、ZONE3へ。
ZONE3(ロケットエンジンの歩み)
「ZONE3」では、主にロケットに搭載するエンジン関連のものが展示されています。
こちらは打ち上げに失敗した、実物のH-ⅡロケットのLE-7エンジンです。
1999年(平成11)、H-Ⅱロケット8号機のLE-7エンジンが異常停止し、打ち上げに失敗。LE-7エンジンは海底3,000mから回収され、この失敗を忘れないために展示されています。この事故以降は、エンジンに起因する打ち上げ失敗はないそうです。
右は、N-1ロケットの第2段目で使われたLE-3エンジン。左は国産初の液体アポジエンジンと呼ばれるエンジンです。
写真右側は、H-ⅡAロケットの第1段目のメインエンジンに搭載されたLE-7A。精密で、かなり複雑な構造になっているのがわかります。
ロケットエンジンの心臓部、H-ⅡロケットのLE-7用の液体水素ターボポンプです。
こちらは、H-ⅡロケットのLE-7用の液体酸素ターボポンプ。複雑なつくりで、非常に高度な技術で成り立っているのがわかります。
続いて、ZONE4に行ってみましょう。
ZONE4(未来のロケット)
「ZONE4」では、未来のロケットについて紹介されています。
2022年現在、宇宙旅行をしようと思ったら手の届きそうにないお金と長期の厳しい訓練が必要となります。しかし、いずれは誰もが気軽に宇宙に行ける時代がやってくる、そんな未来を予感させる展示エリアとなっています。
こちらは、スペースシャトルの次世代機ともされる「スペースプレーン」。自力で滑走し、離着陸、大気圏離脱や突入を行える宇宙船です。誰もが宇宙と地球を行き来できる、まさに夢のような乗り物ですね。
角田宇宙センターでは、スペースプレーン用のエンジン「スクラムジェットエンジン」、さらに発展させた複合サイクルエンジンを研究しているそう。
今まではアニメや映画の世界に登場する空想上の乗り物でしたが、近い将来実現するかもしれません!
研究資料などが展示されている
こちらは、角田宇宙センターにある「高温衝撃風洞」についての説明パネルです。
宇宙から大気圏に投入する際、機体周りの空気温度は10,000℃を超えるといわれています。高温衝撃風洞は、大気圏再突入時の環境を1,000分の数秒間模擬できる設備で、その性能は世界最高性能を誇るそうです。
展示室内部はここまで。
JAXAオリジナルキャラクター「ロケットくん」に従って、野外にある展示展示場へ行ってみましょう。
「野外展示場」へGO!
角田宇宙センターの屋外にある野外展示場です。ロケットの模型とロケットエンジンの実機が展示されています。
もう少し近くに行ってみましょう。
ロケット本体(模型)
右がH-Ⅱロケットで、左がH-ⅡAロケットの模型です。縮尺は1/10。
LE-5ロケットエンジン(実機)
こちらは1975年から国内で開発され、液体酵素と液体水素を推進剤とした日本初のロケットエンジンLE-5。H-Iロケットの上段に搭載されたそうです。
下部に広がっている部分はノズルスカートといい、燃焼したガスを効率よく加速させ、推力を得るための噴射装置なのだそう。
LE-7ロケットエンジン(実機)
こちらのLE-7エンジンは、1990年代の日本の主力ロケット、H-Ⅱロケットのメインエンジンです。LE-5より一回り大きいように感じます。
LE-5エンジンとLE-7エンジンは、実際に角田宇宙における開発試験で使われた実物だそうです。
H-Ⅱロケット第2段燃料タンク(実機)
こちらも燃焼試験で実際に使われたものです。
横向きに展示されていますが、実際は右側にLE-5Aエンジン、左側に人工衛星と衛星フェアリング(打ち上げ時に生じる音響や振動、摩擦熱から衛星守るもの)が取り付けられます。
近づいてよくみると、かなり大きいですよ。
角田宇宙センターならではの自動販売機
自動販売機では、宇宙食や宇宙グッズ、Tシャツなどが販売されています。おみやげや記念にいかがでしょうか。
次は少し移動して、H-Ⅱロケットの実物大模型が展示されている「角田市スペースタワー・コスモハウス」へ行ってみましょう。
【角田宇宙センターの基本情報】
住所:
宮城県角田市君萱小金沢1
開館時間:
10:00~17:00
休館日:
・土、日、祝日(11月~4月の期間のみ)
・年末年始
・春分の日~10月の土、日、祝日は開館
入館料:
無料(電話予約必要)
予約専用電話番号:
050-3362-7500
予約受付時間:
平日 9:30~12:00、13:00~17:45
アクセス:
【公共交通の場合】
仙台駅から東北本線「白石」駅行き乗車-「船岡」駅下車、タクシーで約10分
【クルマの場合】
常磐道「山元」ICより約22分
東北道「白石」ICより約25分
駐車場:
無料/普通車25台、大型車4台
公式HP:
角田市スペースタワー・コスモハウス
角田宇宙センターから車で約15分のところにある「角田市スペースタワー・コスモハウス」。この施設のみどころは、なんと言っても実物大のH-Ⅱロケットの模型が展示されていることです。
それでは、さっそくロケットを見に行きましょう。
駐車場
かなり大きな駐車場がありました。こちらに車を置いて、まずは台山公園(だいやまこうえん)へ。
台山公園
角田市スペースタワー・コスモハウスの手前にある台山公園。ここを通ってロケットが展示されている場所に向かいます。
途中に、とても長~いすべり台がありました。これは楽しそうですね!
角田市スペースタワー・コスモハウス入口へ
角田市スペースタワー・コスモハウスに到着。
野外に展示されている実物大のH-Ⅱロケットですが、下から見上げると相当デカイ! 高さは49mあるそうです。
そのまま、コスモハウスの入口へ。
こちらが入口です。さっそく中へ入ってみましょう。
こちらがコスモハウスの展示館です。まず目を引いたのが、1977年にNASAが打ち上げた惑星探査機ボイジャーの実物大模型です。直径3.7mの大きな通信アンテナを持つ機体で、木星から外側にある惑星を探査しています。打ち上げから45年経ちますが、現在も稼働しており宇宙からデータを送り続けています。
ロケットの模型やロケットエンジンも展示されています。
スペースタワー展望塔は有料ですが、他のエリアは無料です。
売店では宇宙食や宇宙グッズが販売されていました。
筆者は記念に宇宙食のおにぎりを買って試してみましたが、お湯か水を入れるだけのカンタン調理。形もしっかりしていて、とても美味しいおにぎりでしたよ。
【角田市スペースタワー・コスモハウスの基本情報】
住所:
宮城県角田市角田牛舘100
利用時間:
3月1日~10月31日 9:00~17:00
11月1日~2月28日 9:00~16:00
※最終入場は閉館の15分前
休館日:
・毎週火曜日
※火曜日が国民の祝日の場合は翌日
・年末年始(12月29日~1月3日)
入場料:
・スペースタワー(展望塔)
一般・高校生380円/中学生以下無料
・コスモハウス(展示館)
無料
アクセス:
【公共交通の場合】
仙台駅から東北本線「福島」駅行き乗車-「槻木」駅下車-阿武隈急行鉄道「梁川」駅行き乗車-「角田」駅下車、徒歩15分
【クルマの場合】
常磐道「山元」ICより約15分
東北道「白石」ICより約25分
駐車場:
無料/大駐車場完備
公式HP:
ロケット見学後のおすすめランチスポット
角田市スペースタワー・コスモハウスから車で約17分、角田宇宙センターからは約6分のところにある「空海工房 そば処 壽庵(じゅあん)」。
里山の麓に位置し、赤屋根が目を引く民家です。どこか懐かしく、おばあちゃんの家に来たような気分になりますよ。
空海セット 1,300円(税込)
おそばと季節野菜の天ぷら盛り合わせ、小鉢、デザートが付いたセット。この時期の旬「タラの芽」の天ぷらは絶品でした。
盛りそば 800円(税込)
山形の職人が前日につくったという、二八中太の田舎そば。もちもちで、つるっ! という食感が最高です。ごちそうさまでした。
【空海工房 そば処 壽庵の基本情報】
住所:
宮城県角田市君萱字菖蒲沢135
営業時間:
11:00~15:00
休業日:
月・火・水(祝日を含む場合は営業)
アクセス:
【公共交通の場合】
仙台駅から東北本線「福島」駅行き乗車-「槻木」駅下車-阿武隈急行鉄道「梁川」駅行き乗車-「岡」駅下車、タクシーで約10分
【クルマの場合】
東北道「白石」ICより約22分
常磐道「山元」ICより約25分
駐車場:
無料/約5台
公式HP:
宇宙を感じに角田市へ
宇宙航空研究開発機構 角田宇宙センターがある宮城県角田市。日本の大型ロケットは、角田市を通らずには飛び立てないといわれています。そんな角田市で、あなたも宇宙を感じてみませんか。
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