まるで京都の伏見稲荷大社!?白石市の「萬蔵稲荷神社」を訪ねる
新緑に浮かぶ、鮮やかな朱色の鳥居。なんとも幽玄な景色だと思いませんか?
今回筆者が訪ねたのは、仙台市よりの南、白石市の小原馬頭山(おばらばとうざん)に位置する「萬蔵稲荷神社(まんぞういなりじんじゃ)」です。
創建は江戸時代後期にあたる、1785年(天明5)頃。主祭神は、全国各地にある“お稲荷さん”で知られる、宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)です。
創建当初は、奥州山中七ヶ宿街道(旧羽州街道)の地名をとり賀良明貴稲荷(がらみきいなり)と称していました。
現在の社名は、熊谷家(現宮司家)15代目の羽黒派修験者・大阿闍梨金剛院祐観(だいあじゃりこんごういんゆうかん)の院号を、出羽三山から授与された熊谷萬蔵(くまがい まんぞう)の高徳を慕い、1869年(明治2)に萬蔵稲荷神社に改称され、現在にいたっています。
さて、境内はどのような様子なのでしょうか。さっそく鳥居をくぐり、参拝したいと思います!
萬蔵稲荷神社を参拝する
萬蔵稲荷神社の駐車場
こちらが萬蔵稲荷神社の入口。ものすごい数の鳥居が並んでいます。さながら京都の伏見稲荷大社(稲荷神社の総本社)のよう。
右側が駐車場で、駐車可能台数は30~40台ほどです。
萬蔵稲荷神社の鳥居
整然と並ぶ鳥居をくぐり、舗装された参道を歩いていきます。
果てしなく続いていそうな、朱塗りの鳥居。歩きながら数えていると、入口からほどなくしてすでに30基!
入口から中間地点を過ぎたところですが、神社らしき建物が見当たりません。まだまだ続きます。
鳥居の中を歩いていると、山の中を流れる水の音や野鳥のさえずりが心地いい~!
萬蔵稲荷神社の鳥居をつくった人って?
さて、この壮麗な鳥居ですが、一体どんな人がつくったのか気になりませんか?
調べてみると、100基以上ある鳥居のほとんどは、白石市の大工職人・松野氏によってつくられたものだそうです。
白石市が2003年9月に発行した広報誌「広報 しろいし」で”Hotな白石の人”として紹介されていました。詳細は「こちら」からご覧ください。
やっと建物が見えてきました。参道入口から最後まである鳥居を数えてみたら……なんと全部で113基!
外側と境内の鳥居を合わせると、もっとありますね。
萬蔵稲荷神社の参集殿
鳥居を抜けると、左手の手水舎と正面に参集殿がみえてきました。どうやら終点のようです。
萬蔵稲荷神社の拝殿
手水舎の左手に石段がありました。拝殿に続いているようなので、上ってみます。
拝殿に到着! お賽銭を入れて、二拝二拍一拝で参拝します。
ご利益は「縁結び」「商売繁盛」「五穀豊穣」「子授け」「安産」など。参拝者が希望する縁を結んでくれる、と伝えられています。
萬蔵稲荷神社の本殿
拝殿を左に進むと、さらに石段が続いていました。本殿は正面ではなく右手の白い建物です。
階段を上がり左側を見ると、さらに石段が続いています。上ってみると、そこには御神石が祀られていました。
次は下に降りて※境内社へ。
※境内社…神社の境内に、本社とは別に祀られている社(やしろ)のこと
出羽三山神社
萬蔵稲荷神社の参集殿の右奥を進むと、萬蔵ゆかりの境内社・出羽三山神社が鎮座しています。こちらも参拝しましょう。
こちらが萬蔵稲荷神社の境内社・出羽三山神社。静寂な社の近くには板碑や、珍しい銀剣の石碑が置かれていました。
萬蔵稲荷神社の散策はここまで!
今回初めて参拝させていただきましたが、まだまだ知らない神社が宮城に沢山あるような気がします。
最後に萬蔵稲荷神社の伝承をお伝えします。
萬蔵稲荷神社の伝承
神社の名前にある「萬蔵(まんぞう)」ですが、これはある人物名に由来しています。
その人物は、熊谷萬蔵。馬方(馬に人や荷物を運ばせる仕事をする人)という仕事をしており、羽州街道の難所の1つである小坂峠(こさかとうげ)を中心に、往来する人々の手助けをしていたそうです。
ある日、小坂峠で馬方仕事をしていた萬蔵は、峠の頂上で旅に疲れた老僧に一食を求められます。萬蔵は老僧を馬に乗せ、自宅で心から老僧をもてなしました。
不思議な老僧から、馬三頭をもらう
ところが翌朝、部屋を見ると老僧の姿がありません。どうやら早朝に姿を消してしまったようです。萬蔵は老僧と出会った峠に向かいます。
峠にさしかかると馬のいななきが聞こえたので、よく見ると昨夜の老僧が立っていました。すると老僧は「私は稲荷神社の化身である。昨夜は殊勝な心掛けであった。」と礼をのべられ、萬蔵は老僧から馬3頭を与えられます。
賀良明貴稲荷を建立
萬蔵はこの馬を元手に、賀良明貴稲荷を建立。宮守として、数々の苦行難行を重ね修験者(山伏)の修行をしました。
修験道の聖地「出羽三山」は、萬蔵の業績を認め「大阿闍梨金剛院祐観」の院号を授与。その後、萬蔵は神仏信奉と社会奉仕に努め、1847年(弘化4)81歳で生涯を終えています。
萬蔵は即身仏に
萬蔵の遺言により、死後から3年3ヶ月後に萬蔵の墓が開かれます。現れたのは、萬蔵の即神仏(ミイラ)姿。
村人や信者たちは偉業をたたえ、萬蔵が守りつづけた賀良明貴稲荷様を、いつしか萬蔵の名前を含めて「萬蔵稲荷様」と呼び崇拝するようになりました。
ちなみに、萬蔵の即身仏は大正時代まで現存していましたが、持ち出し先で行方がわからなくなったそうです。
次は、ここからちょっと離れた白石駅チカの菓子店に行ってみましょう。
【萬蔵稲荷神社の基本情報】
住所:
宮城県白石市小原馬頭山6
アクセス:
【公共機関の場合】
JR東日本・東北本線「藤田」駅-タクシーで約15分
【クルマの場合】
東北道「国見」ICより約15分
駐車場:
無料/30~40台
シュークリームが絶品!白石の「やなぎや菓子店」に寄っていこう
「やなぎや菓子店」は、萬蔵稲荷神社から車で約30分。白石駅からは、徒歩で8分のところに店を構えています。白石に来たらぜひ食べていただいきたい!筆者オススメの「絶品シュークリーム」を紹介します。
シュークリームは全6種類
やなぎや菓子店のシュークリームは「カスタード」「ずんだ」「抹茶」「黒ごま」「チーズ」「チョコ」の全部で6種類あります。
筆者は今回カスタードを2個と他各1個づつ購入。
どれも美味しいのですが、個人的なイチオシは「カスタードシュークリーム」ですね。シュー生地がやわらかく、ぎっしり詰まった濃厚カスタードが絶品です。ぜひ一度お試しあれ!
菓子パンも売ってます
やなぎや菓子店では菓子パンも販売しています。上記写真は「あんパン」と「クリームパン」。
どちらも、ずっしりと重く食べごたえバツグンです。パンは製造休業日がありますので、公式ウェブサイトでご確認ください。
ネット販売も
シュークリームは、YAHOO!ショッピングでも購入可能です。
住所:
宮城県白石市長町9
アクセス:
【公共機関の場合】
JR東日本・東北本線「白石」駅-徒歩約8分
【クルマの場合】
東北道「白石」ICより約10分
駐車場:
なし
近隣の有料駐車場をご利用ください。
神秘的な萬蔵稲荷神社へ
参道につらなる100基を超える朱塗りの鳥居。中をくぐると不思議な雰囲気に包まれます。そんな神秘的なパワースポット「萬蔵稲荷神社」に、あなたも足を運んでみませんか。