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白石川堤一目千本桜とは?
仙台から電車で約30分、大河原町から柴田町にかけて白石川沿いにみられる「白石川堤一目千本桜(しろいしがわづつみせんぼんざくら)」。日本さくら名所100選に数えられる、宮城県を代表する桜名所です。
全長約8kmある白石川堤に、ソメイヨシノを中心におよそ1,200本以上の桜が咲き誇ります。
見ごろは4月初旬~中旬!
桜の見ごろは4月初旬~中旬にかけて。昨年(2019)は4月9日、一昨年(2018)は4月4日に満開を迎えています。
また桜が見頃を迎える時期には、大河原町では「おおがわら桜祭り(2020年4月3日~17日)」が、柴田町では「しばた桜祭り(2020年4月3日~19日)」が行われます。
※新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、2020年(令和2年)の「おおがわ桜まつり」と「しばた桜まつり」は中止。立ち入り制限はないため、花見観賞は例年通り楽しめます。
白石川堤一目千本桜の歩き方
白石川堤一目千本桜は、JR東北本線「大河原駅」~「船岡駅」の区間に集中しています(約3.5km)。どちらの駅からスタートしても、巡るルートはほぼ同じです。
今回は「大河原駅」を起点としたモデルルートをご紹介します。
JR大河原駅→末広歩道橋→韮神堰→白石川千桜公園・しばた千桜橋→船岡城址公園へ
【後半】
船岡城址公園→さくら歩道橋→日本一ソメイヨシノの巨木→JR船岡駅、電車で大河原駅へ
もちろん上記ルートの逆もOK! 船岡駅周辺は撮影スポットも多いので「韮神堰(にらかみぜき)」まで来たら、船岡駅へ引き返してしまうのもアリ。
また開花期間中、大河原駅~船岡駅間は徐行運転になります。車窓から花見を楽しめる、粋な”おもてなし”ですね。
それではさっそく、白石川堤一目千本桜のモデルコースをご紹介します!
① 末広歩道橋
おおがわら桜祭りの会場(大河原大橋~末広橋間)である河川敷を通り過ぎ、最初のビュースポット「末広(すえひろ)歩道橋」へ。
橋の中央に立つと、白石川中心に左右の堤に連なる桜並木がみられます。一目でわかる千本の桜、名前の由来に頷ける光景です。
屋形船が航行している
おおがわら桜祭りの会場から次の目的地である「韮神堰(にらかみぜき)」までの区間(約2.3km)を、お花見屋形船が運航しています。
乗船時間は約30分。船上から一味違った花見を楽しむのも乙ですね。
【おおがわら桜祭り「お花見屋形船」の基本情報】
開催期間:
おおがわら桜祭り期間中(2019年は4月3日~18日まで)
営業時間:
10:00~16:00
料金:
中学生以上1,500円、小学生800円、小学生未満無料
※予約不可
※駐車場のすぐ近くが、おおがわら桜まつり会場となっています。
② 韮神堰(にらかみぜき)
末広歩道橋から15分ほど歩くと、大河原町と柴田町の境目にあたる「韮神堰(にらかみぜき)」に着きます。
パンフレットや宣伝ポスターで使われている写真の多くは、ここ韮神堰で撮影されたもの。残雪残る蔵王連峰をバックに咲き誇る、華やかな千本桜……絵になる一枚が撮れること間違いなし。
③ 白石川千桜公園・しばた千桜橋(せんおうきょう)
韮神堰から道なりに進み、15分ほどで「白石川千桜公園」に着きます。遊歩道や花壇が整備されており、桜と一緒にチューリップやレンギョウ、吉野つつじといった春の花々も楽しめるのが魅力です。
また公園の脇をJR東北本線が通っているため、桜と電車のツーショットを狙う”撮り鉄”の目玉スポットともなっています。
とくに白石川堤と船岡城址公園をつなぐ、「しばた千桜橋」は絶好の撮影ポイント。写真のように大勢の人々が、電車が来るのを待ち構えています。
④ 船岡城址公園
一目千本桜を満喫した後は、しばた千桜橋を渡り「船岡城址(ふなおかじょうし)公園」へ。
ここは城址という名の通り、明治維新までは柴田氏の居城する「船岡城」という山城が築かれていました。現在は公園として整備され、白石川堤一目千本桜と同様「日本さくら名所100選」の一つとなっています。
およそ1,300本のソメイヨシノが植えられており、開花すると山全体が桜のピンク色に染め上がります。
山頂からの景色は言わずもがな、白石川堤一目千本桜を一望できる絶景です。
頂上には、白い巨像「船岡平和観音」が佇んでいます。柴田町出身の野口徳三郎翁が、亡き妻の冥福と世界の平和と安全を祈るために自費で建立したもの。
その大きさは約24m。以前は胎内を見学できましたが、震災の影響で現在内部を見学することはできません。
また船岡城址公園は、昭和45年NHK大河ドラマにもなった山本周五郎の小説※『樅ノ木(もみのき)は残った』の舞台になった場所。題名にもある”樅ノ木”がそびえ立っています。
※『樅ノ木(もみのき)は残った』…山本周五郎の歴史小説。江戸時代前期に仙台藩伊達家で起こった、お家騒動「伊達騒動」を題材としている。
”桜のトンネル”を通るスロープカー
山頂へは徒歩でもいけますが、船岡城址公園の名物スロープカー(斜面走行モノレール)を利用するのもオススメです!
延長305mのレールを走り、3分40秒かけて山頂へ向かいます(往復運転)。その道中は「桜のトンネルを通っているようだ」と、観光客に人気の乗り物です。
さくらまつり期間中は、毎日運航(9時~21時)。片道250円。ちなみに麓から徒歩で山頂を目指すと、10~15分ほどかかります。
⑤ さくら歩道橋
船岡城址公園で散策を楽しんだ後は、再び白石川堤へ戻ってきます。体力に余力があれば、船岡駅付近にかかる「さくら歩道橋」へ立ち寄ってみるのもオススメ。千本桜と船岡城址公園を一望できる、絶好の撮影ポイントとなっています。
⑥ 日本一ソメイヨシノの巨木
さらに余力があれば、さくら歩道橋から徒歩約15分の場所にある「日本一ソメイヨシノの巨木」まで足を伸ばしてほしいところ。日本一太いソメイヨシノで、幹周りは4,35m、東西26m、南北24m、高さ16mあります。
まだまだ歩き足りないという方は、日本一ソメイヨシノの先にあるさくら船岡大橋へ渡り白石川の左岸へ。さきほどまで歩いてきた右岸を横目に船岡駅方面へ戻ると、歩道の両脇をはさむように桜並木が続く「桜のトンネル」が現れます。
桜のトンネルを通り「柴田大橋」を渡れば、船岡駅まで戻れます。
白石川堤一目千本桜の夜桜スポット3選
①【大河原駅付近】おおがわら桜祭り会場付近
大河原大橋~末広橋の間では、夜桜ライトアップが行われます。18:00~22:00まで。
②【船岡駅付近】白石川千桜公園・しばた千桜橋付近
白石川堤と船岡城址公園をつなぐ、「しばた千桜橋」付近の桜並木がライトアップされます。点灯時間は18:00~22:00。
③【船岡駅付近】船岡城址公園
船岡城址公園の桜もライトアップされます。山頂までの道のりも明るいですし、スロープカーも21時まで運行しています。点灯時間は18:30~21:00。
白石川堤一目千本桜までのアクセス、駐車場について
モデルルートの前に、まずは混雑(渋滞)状況と駐車場についてみていきましょう。
花見の散策路は、人でごった返すほど混雑しません。問題は道路です。白石I.Cから国道4号線を通り、国道110号線に入ると片側1車線になります。また近隣道路の道幅も狭いです。
とくに大河原駅周辺の駐車場は「おおがわら桜まつり」の会場と近いため、土日祝日ともなると「朝7時で満車だった…」という口コミもありました。
渋滞回避のポイント
土日祝日は朝6時、平日は朝7時前。つまり早朝に到着する意気込みで向かわなければ、渋滞に巻き込まれるのは必須。
一番良いのは、電車を利用すること! 仙台から乗り換えなしでアクセスできますし、駅から一目千本桜まで徒歩10分圏内です。
帰りは夜桜見物などをして、帰宅ラッシュを避けましょう。
電車でのアクセス
<大河原駅>
仙台駅からJR東北本線「白石行き」乗車、「大河原駅」下車、徒歩約3分
<船岡間駅>
仙台駅からJR東北本線「白石行き」乗車、「船岡駅」下車、徒歩約3分
車でのアクセス
仙台方面から…東北自動車道村田I.Cから約20分
福島方面から…東北自動車道白石I.Cから約15分
大河原駅周辺の駐車場情報
① 河川敷臨時駐車場(300台/500円)
土日祝日は、早朝からすでに満車。こちらを利用する場合、朝6時に到着するくらいのスケジュールが理想。
② 大河原町役場(約100台/無料)
こちらから「おおがわら桜祭り会場(白石川堤一目千本桜)」まで、徒歩約12分。
※土日のみ無料開放(9:00~16:00)
③ 宮城県大河原合同庁舎(約100台/無料)
※土日のみ無料開放(9:00~16:00)
④ 大河原小学校校庭(無料)
ここから「おおがわら桜祭り会場(白石川堤一目千本桜)」まで徒歩約8分。
※土日のみ無料開放(9:00~16:00)
※大河原中学校、小学校は土曜日のみ(10:30~)
⑤ 大河原中学校グラウンド(約50台/無料)
ここから「おおがわら桜祭り会場(白石川堤一目千本桜)」まで徒歩約8分。
※土日のみ無料開放(9:00~16:00)
※大河原中学校、小学校は土曜日のみ(10:30~)
⑥ 大河原町駅前コミュニティセンターオーガビル(256台/有料)
2時間まで無料、以降1時間ごとに100円。
【利用時間】6:00〜23:00まで。
ここから「おおがわら桜祭り会場(白石川堤一目千本桜)」まで徒歩約8分。
船岡駅周辺の駐車場情報
① 柴田町白石川右岸河川敷駐車場(150台/無料)
② 不二トッコン工場跡地 臨時駐車場
※しばた桜まつり期間中の土日のみ開放
※シャトルバス運行
【区間】船岡小学校校庭駐車場~柴田町役場
柴田町役場から白石川堤一目千本桜まで、徒歩約12分
【運行時間】9:00~16:00(臨時駐車場開放時のみ)
③ 船岡小学校校庭駐車場
※しばた桜まつり期間中の土日のみ開放
※シャトルバス運行
【区間】船岡小学校校庭駐車場~柴田町役場
柴田町役場から白石川堤一目千本桜まで、徒歩約12分
【運行時間】9:00~16:00(臨時駐車場開放時のみ)
④ しばたの郷土館・船岡城址公園駐車場(300台/500円)
※シャトルバス運行
【区間】しばたの郷土館前駐車場~船岡城址公園・観光物産交流館さくらの里前駐車場
【運航時間】8:00~18:00
白石川堤一目千本桜周辺のグルメ情報
各町で開催される桜まつりには、宮城や地元の特産を売りにしている屋台がたくさん出ています。
お昼を屋台で済ますのもいいですが、地元の料理店やカフェを覗いてみるのも旅の醍醐味。今回は編集部が気になったお店を、いくつかピックアップしました。
【大河原町】菓子匠 喜多屋(かししょう きたや)
昭和8年創業以来、80年以上もわたって地元に愛され続けている和・洋菓子店です。
有名なのは”春の大河原名物”「花見だんご」。すんだ、ごま、しょうゆ、こしあん、桜あん、くるみの全6種類の味が楽しめます。
【大河原町】珈琲カンテラ
昭和の喫茶店を思い出す佇まいに、惹かれるお客さんも多い「カンテラ」。隣にある「とんかつ 草花木(くさか)」と厨房が一緒のため、くさかのメニューも置いてあり注文も可能です。
喫茶店ですが、しっかりと食事ができるのも魅力。ナポリタンやハンバーグなど洋食もあります。食事の味もさることながら、ママさんの細かな気遣いや温かい接客に惹かれるリピート客も多いよう。
【珈琲カンテラの基本情報】
所在地:
宮城県柴田郡大河原町字町166-3
営業時間:
11:00〜14:30
17:00〜20:30
※日祝を除く11:00~14:00にランチタイムメニューあり
定休日:
月曜日・第1日曜日
電話番号:
0224-53-4794
【大河原町】鬼平ラーメン
大河原駅から徒歩約1分の場所にある「鬼平ラーメン」。リーズナブルな価格でありながら、ラーメン通を満足させる熟練の味と、ボリュームのあるチャーシュー盛りが好評。
気さくな店主の人柄も、地元民が通う理由の一つのようです。
【鬼平ラーメンの基本情報】
所在地:
宮城県柴田郡大河原町大谷字町向114-3
営業時間:
11:30~15:00
18:00~翌1:00
定休日:
無休
電話番号:
0224-52-1143
【柴田町】花菜カフェ
船岡城址公園の中腹、柴田町観光物産交流館「さくらの里」内にあるカフェ。店内からもガラス越しから桜がみえるほか、テラス席もあるため花見と食事の両方を満喫できます。
ここでしか味わえないのが「桜ソフト」。桜の塩漬けと甘みのあるソフトクリームが、絶妙な味を引き出しています。
【花菜カフェの基本情報】
所在地:
宮城県柴田郡柴田町船岡山95-1 物産交流館 さくらの里
営業時間:
11:00〜14:00
定休日:
月曜日(祝日の場合は翌日、祭りシーズンは不定休)
電話番号:
0224-87-7101(柴田町観光物産交流館「さくらの里」)
【柴田町】ハウビングベーカリー
町内唯一のパン屋、ハウビングベーカリー。人気なのは桜をあしらった「桜小町」と呼ばれるあんパンで、桜の塩漬けとあんの甘さがマッチした上品な味わいが特徴です。小倉、ごまあん、白あんの3種類あります。
ほかにも柴田町の柚子ブランド「雨乞の柚子」を使用したマドレーヌ「ゆず太郎」も人気。店内にはカフェスペースがあり、ドリンクや食事(ランチは平日のみ11:30~14:00)を提供しています。購入したパンの持ち込みも可能です。
【ハウビングベーカリーの基本情報】
所在地:
宮城県柴田郡柴田町船岡中央2丁目4-49
営業時間:
10:00~18:00
定休日:
日曜日、祝日(毎週第2木曜日は、貸し切りのためカフェスペースは休業)
電話番号:
0224-55-4358
【柴田町】ざっと昔
白石川堤と船岡駅の間にある古民具茶屋「だっと昔」。白石川沿いにあるため、桜眺めながら一息つけるロケーション抜群の喫茶店です。
お団子やぜんざいなどの和スイーツや、町の特産である柚子をつかったシフォンケーキなどが人気。
一人の男が抱いた夢、白石川堤一目千本桜の歴史
国内外問わず、人々を魅了する白石川堤一目千本桜。この桜を植えたのは大河原町出身であり、東京で成功を収めた実業家・高山開治郎(たかやまかいじろう)氏と呼ばれる人物です。
最後に千本桜に込められた、高山氏のヒストリーをご紹介します。
~高山開治郎と千本桜ヒストリー~
- 高山開治郎は、江戸時代から続く老舗旅館の長男でした。しかし父親の死をきっかけに、旅館は廃業。
- 15歳で東京へ。働きながら、寝る間も惜しんで勉学に勤しむ日々を過ごします。
- 苦労の末、会社をおこし成功。実業家として、名を馳せていきます。
- そのころ東北では、冷害や水害に襲われ人々の暮らしは貧しくなっていました。なにか自分にできることはないか、高山氏は考えます。
- そんな時、以前から進められていた白石川の改修工事は完了したという知らせが届きました。高山氏は、桜の苗木を送ることにしました。
- 「消費されるモノではなく、ずっと喜んでもらえるものを贈ろう」東京からも職人を呼び、桜の苗木を植えていきます。
- こうして、現在の白石川堤一目千本桜が生まれたのです。
- おわり。
植樹は大正12年(1923)~昭和2年(1927年)にかけて行われ、1,200本もの苗木が植えられました。費用は当時のお金で、四千円あまり(給与所得者の平均年収は、七百円前後)。
ソメイヨシノの寿命は約60~70年といわれています。しかし高山氏の志を受け継いだ地元の人々によって、桜の世話や治療、新たな植樹が続けられており、現在の「一目千本桜」を咲かせているのです。
何度でも訪れたくなる、白石川の一目千本桜
【お問い合わせ】
●大河原町商工観光課
TEL:0224-53-2659
●柴田町商工観光課
TEL:0224-55-2123