宮城には温泉地・温泉郷がいっぱい!
宮城県というと日本三景の一つ”松島”が名高いですが、実は温泉地も豊富。県内にある源泉の数は742か所にものぼり、国内でも指折りの源泉数を誇っています。(参考:宮城県)
なかでも名所として全国的に知られているのは、県北部にある鳴子温泉郷。国内11種類ある泉質のうち9種類の泉質を楽しめる、国内でも珍しい温泉郷なのです。
今回は有名な場所から、隠れ家的な秘境温泉まで! 宮城県にある温泉地&温泉郷をエリア別にご紹介します。
県南エリア
宮城県南部の観光名所といえば、蔵王連峰にあるエメラルドグリーンの火口湖「御釜(お釜)」。
ほかにも仙台藩を治めた伊達家の家臣・片倉家の居城がある白石市や、悠然たる阿武隈川、蔵王連峰など豊かな自然に囲まれたエリアです。
① 青根温泉/あおねおんせん
蔵王連峰の一角を占める花房山(約800m)の中腹部に広がる、閑静な温泉地「青根温泉(あおねおんせん)」。伊達家の保養所としておよそ460年以上前に開湯し、初代仙台藩藩主・伊達政宗も湯治場として利用していた歴史があります。
毎年2月には「青根温泉 雪あかり」を開催。雪で作った2,000余りの小さな祠が並び、中にあるロウソクに火を灯していきます。一年に一度、一日しかみられない、特別な雪景色を見にいきませんか?
<青根温泉の基本的情報>
▼泉質
単純温泉(低張性弱アルカリ性高温泉)
▼効能(泉質別適応症)
きりきず、末梢循環障害、冷え性、うつ状態、皮膚乾燥症……
▼アクセス
東北本線「白石蔵王駅」から車で約30分
▼周辺の観光スポット
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② 鎌倉温泉/かまくらおんせん
鎌倉温泉(かまくらおんせん)は、蔵王連峰の山麓にある一軒宿。平安時代に起こった※”奥州前九年”の役で負傷した、源氏の武将・鎌倉権五郎景政が発見し、温泉で傷を癒したのが起源といわれています。
古風ある湯治場風情の外観・内観は、まるでこの宿だけがタイムスリップしたかのよう。お風呂はこぢんまりとしており、数人で満員になる規模ですが、それもまた乙なもの。口コミよると地場産品を使った食事も定評があり、値段以上の満足感がある! と絶賛の声ばかりでした。
※前九年の役……平安時代後期1056年~1062年にかけ、陸奥国(東北地方)で起きた戦乱。
<鎌倉温泉の基本的情報>
▼泉質
弱アルカリ泉
▼効能(泉質別適応症)
古くから皮膚病に効く湯治場として知られてきました。この他、アトピー、外傷、火傷、痔、水虫、美肌効果……。
▼アクセス
JR東北本線「白石蔵王駅」から車で約30分
東北自動車道 村田I.Cより車で10分
▼周辺の観光スポット
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③ 峩々温泉/ががおんせん
”蔵王の秘湯”とも呼ばれる峩々温泉(ががおんせん)は、御釜へ続く蔵王エコーラインから脇道に入った山間にひっそりと佇んでいます。開湯以来140年余り湯治場としての歴史を重ねており、”胃腸の名湯”として古から一目置かれている秘湯です。
「かけ湯」「飲泉」「入浴」の三拍子で本格的な湯治ができ、弱った胃腸もすっかり回復すると評判。それゆえ携帯の電波も届かない(館内にFree Wi-Fiスポットあり)山奥にありますが、客足の途絶えない人気の温泉宿となっています。
<峩々温泉の基本的情報>
▼泉質
ナトリウム・カルシウム-炭酸水素塩・硫酸塩泉(含芒硝重曹泉)
▼効能(泉質別適応症)
きりきず、末梢循環障害、冷え性、うつ状態、皮膚乾燥症……
▼アクセス
東北新幹線「白石蔵王駅」西口より、宮城交通バス「アクティブリゾーツ宮城蔵王」下車、峩々温泉より送迎バスあり※要連絡
(東京方面)東北自動車道 村田I.Cより蔵王エコーラインを目指してください
(仙台方面)東北自動車道 白石I.Cより蔵王エコーラインを目指してください
▼周辺の観光スポット
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④ 遠刈田温泉/とおがったおんせん
蔵王連峰の遠望が美しい、遠刈田温泉(とおがったおんせん)。蔵王の信仰登山に挑む修験者たちの湯治場として利用されてきた、伝統のある温泉地です。通りを浴衣客が闊歩する姿は、温泉街ならではの雰囲気を醸しだしています。
「神の湯」と「壽(ことぶき)の湯」という二つの共同浴場もあるほか、周辺には蔵王ハートランドやみやぎ蔵王こけし館、スキー場など観光地が集まっており、蔵王観光の拠点としても最適です。
<遠刈田温泉の基本的情報>
▼泉質
ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物泉(低張性中性高温泉)
▼効能(泉質別適応症)
動脈硬化症・きりきず・やけど・慢性皮膚病……
▼アクセス
JR「白石駅」より宮城交通バスで約50分「遠刈田温泉」下車
東北自動車道 白石I.Cより約20分
▼周辺の観光スポット
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⑤ 小原温泉/おばらおんせん
白石川の上流、V字の渓谷沿いに広がる小原温泉(おばらおんせん)は、3軒の宿からなるこぢんまりとした温泉地。古から「目に小原」と噂されるほど眼病に効くといわれ、※奥羽の薬湯として名を馳せています。
近くには七ヶ宿町があり、観光スポットとしては国の天然記念物にも指定されている「材木岩」や、県民の水がめ「七ヶ宿ダム」などがあります。
※奥羽(おうう)……現在の東北地方。
<小原温泉の基本的情報>
▼泉質
単純泉
▼効能(泉質別適応症)
自律神経不安定症、不眠症、うつ状態……
▼アクセス
東北新幹線「白石蔵王駅」より車で約15分
東北自動車道 白石I.Cより約25分
▼周辺の観光スポット
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⑥ 鎌先温泉
伊達家の家臣・片倉家の居城「白石城」のある市街から車で約20分、南蔵王の山麓にある鎌先温泉(かまさきおんせん)。5軒からなる静かな温泉地で、自然に溶け込むように佇む湯宿は日本らしい趣を感じます。
鎌先という名は今から600年ほど前、草刈りをしていた里人が偶然鎌の先で温泉を掘り当てたのがはじまり。その後は「傷は鎌先」と呼ばれる薬湯として人々から親しまれ、現在でも多くの湯治客に愛され続けています。
<鎌先温泉の基本的情報>
▼泉質
ナトリウム-塩化物
硫酸塩泉
▼効能(泉質別適応症)
きりきず、末梢循環障害、冷え性、うつ状態、皮膚乾燥症……
▼アクセス
東北新幹線「白石駅」より宮城交通バス鎌先温泉行き約20分、終点下車
東北自動車道 白石I.Cより約20分(約7km)
▼周辺の観光スポット
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仙台・松島エリア
中心となる仙台市は、宮城県の総人口の約50%が暮らす東北地方最大の都市です。一方で沿岸部には日本三景の一つ”松島”があり、全国各地から多くの観光客が集まります。
① 秋保温泉/あきうおんせん
仙台の奥座敷ともいわれる、秋保温泉(あきうおんせん)は、市街地から車で30分程度とアクセスも良好。名取川の渓谷沿いにあり、山・森・川と豊かな自然に囲まれています。
その歴史は古く、1,500年ほど前の古墳時代まで遡ります。天皇にまつわる逸話もあり、皮膚病を患っていた欽明天皇(第29代・在位539~571年)が秋保温泉のお湯を使って沐浴したところ、わずか数日で全快したそう。噂は瞬く間に広がり、以降”名取の御湯”として知られることになります。江戸時代には、仙台藩藩主・伊達家の入湯場も置かれていました。
秋保工芸の里や「日本の滝100選」に選定された秋保大滝も周辺にあり、楽しめるのは温泉だけではありません。お湯にゆっくり浸かりつつ観光も満喫できる温泉地です!
<秋保温泉の基本的情報>
▼泉質
塩化物泉
▼効能(泉質別適応症)
きりきず、末梢循環障害、冷え性、うつ状態、皮膚乾燥症……
▼アクセス
JR「仙台駅」から宮城交通バス 秋保線利用で約50分
※土日祝のみ 宮城交通 快速秋保線で約20分
JR「仙台駅」からタケヤ交通 秋保・川崎・仙台西部ライナーで約40分
東北自動車道 仙台I.Cから、国道286号・県道62号経由で約15分
▼周辺の観光スポット
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② 作並温泉/さくなみおんせん
仙台市街から車で約30分、広瀬川の上流の山間にある作並温泉(さくなみおんせん)。入り口には巨大なこけしがそびえたっており、旅行客を優しい瞳で迎え入れてくれます。開湯には諸説あり、古いものだと奈良時代に高僧・行基が、鎌倉幕府初代将軍・源頼朝が開いたという説もあるようです。
作並温泉の泉質はやわらかく、肌に優しいことから”美女づくりの湯”とも呼ばれており、多くの著名人・文化人が足跡を残しています。近くにはニッカウヰスキーの仙台工場もあり、無料の見学ツアーに参加すれば数種類のウヰスキーを試飲できますよ。
<作並温泉の基本的情報>
▼泉質
・ナトリウム 含食塩芒硝泉
・カルシウム-硫酸塩泉
・塩化物泉
・低張性弱アルカリ性高温泉
▼効能(泉質別適応症)
神経痛、リウマチ、美肌効果、高血圧、動脈硬化、糖尿病、皮膚病、打撲、筋肉痛、関節痛、不眠症、便秘……
▼アクセス
東北自動車道 仙台宮城I.Cから国道48号線経由、約30分
JR「仙台駅」から約40分、仙山線「作並駅」下車
JR仙山線「作並駅」から仙台市営バス「作並温泉行き」約5分
JR「仙台駅」西口バスプール10番乗り場より、仙台市営バスで約60分「作並温泉元湯」下車
▼周辺の観光スポット
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③ 松島温泉/まつしまおんせん
日本三景のひとつとして、名高い松島。古くから人々を引きつけ、俳人・松尾芭蕉をはじめ多くの旅人が訪れました。そんな松島に湧くのは、平成20年開湯したばかりの新しい温泉。
「太古天泉」と呼ばれている湯は、地下約1,500mにある古生代地層の地熱で熱せられたもの。刺激が少なく、肌にしっとり馴染む優しい湯ざわりが特徴です。
周辺には瑞巌寺や五大堂などの観光名所も多く、温泉と合わせて楽しめますよ。
<松島温泉の基本的情報>
▼泉質
・アルカリ単純温泉(中性低張性高温泉)
▼効能(泉質別適応症)
神経痛、筋肉痛、肩こり、腰痛、関節痛、疲労、ねんざ、冷え性、皮膚病、打撲、痔疾、美肌……
▼アクセス
東北自動車 大和I.Cより約25分
仙台市街から県道8号線経由、約50分
JR「仙台駅」から仙石線で約30分、「松島海岸駅」下車
JR「仙台駅」から東北本線で約25分、「松島駅」下車
▼周辺の観光スポット
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④ わたり温泉 鳥の海温泉
仙台市より南、福島県と宮城県を流れる阿武隈川の河口に位置する亘理町(わたりちょう)にあるのが、「鳥の海温泉」です。
海岸沿いに建っている5階建ての施設で、露天風呂はその最上階にあります。ですからお風呂からの眺めは、言わずもがな絶景! 太平洋を一望できるオーシャンビューで、天気のいい日には牡鹿半島や金華山まで見渡せることも。
温泉の魅力に加えて、漁港も近く新鮮な海の幸を活かした郷土料理も必見。なかでも”秋味”と呼ばれる、脂ののった銀系の雄鮭とイクラを使用した”はらこ飯”は亘理町自慢の逸品です。
<鳥の海温泉の基本的情報>
▼泉質
・ナトリウム-塩化物泉(低張性弱アルカリ性高温泉)
▼効能(泉質別適応症)
きりきず・冷え性・皮膚乾燥症 通常時加水なし、加温使用、循環浴槽
▼アクセス
常磐自動車道 鳥の海スマートI.Cから車で約7分
JR「仙台駅」から常磐線で約30分「亘理駅」下車、タクシーで約20分
▼周辺の観光スポット
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県北エリア
雄大な自然を堪能できるのが、県北エリアの魅力です。とくに栗駒山や鳴子峡は紅葉の名所として名高く、全国から多くの観光客が足を運びます。
① くりこま高原温泉郷
栗駒山の中腹にある5軒の湯宿からなる、くりこま高原温泉郷。場所によって泉質が異なり、なかには硫黄の香りがする新湯温泉などもあります。
くりこま高原温泉郷の特徴は、自然とともに温泉も満喫できること。たとえば春なら新緑、秋は紅葉(絶景!)といったように、四季折々の風景を楽しみつつ温泉でリフレッシュもできます。
また宿のタイプもそれぞれ個性があり、近代的な保養施設から秘湯ムードある温泉宿など、自分の好みに合わせて選べるのもいいですね。
<くりこま高原温泉郷の基本的情報>
▼泉質
・ナトリウム-塩化物泉
・硫酸塩水低張性アルカリ性高温泉
・含硫黄-カルシウム-硫酸塩泉
▼効能(泉質別適応症)
(含硫黄)動脈硬化症・きりきず・やけど・糖尿病・慢性皮膚病・ 慢性婦人病・高血圧症
(その他)火傷、運動麻痺、打ち身、消化器病、神経痛、捻挫、切り傷、筋肉痛、関節痛、皮膚病、五十肩、動脈硬化、冷え性
▼アクセス
JR「くりこま高原駅」から車で約1時間
東北道若柳金成I.Cから県道4号、国道457号、県道42号経由で約1時間(35km)
▼周辺の観光スポット
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② 鳴子温泉郷
福島県の飯坂温泉、そして仙台エリアで紹介した秋保温泉と共に「奥州三名湯」の一つである鳴子温泉郷(なるこおんせんきょう)。平安時代には武将・源義経が兄の頼朝に追われて平泉へ落ちのびるとき、また江戸時代には俳人・松尾芭蕉が『おくの細道』の道中で鳴子を訪れたそうです。
また冒頭で紹介したとおり、国内11種類ある泉質のうち9種類の泉質をここ鳴子温泉で楽しめます。1ヵ所の温泉郷でこれだけの泉質が揃うのは、全国をみても珍しい場所。
温泉街にはみやげ物店が多く立ち並んでおり、浴衣で散策すると温泉情緒を感じられます。周辺にも見所は多く、紅葉シーズンの鳴子峡や白糸の滝は必見です。
<鳴子温泉郷の基本的情報>
▼泉質・効能
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▼アクセス
JR「仙台駅」から東北新幹線で約15分、「古川駅」で陸羽東線に乗り換え約40分「鳴子温泉」下車
古川I.Cから車で約40分
▼周辺の観光スポット
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三陸エリア
複雑に入り組む独特の海岸線、そんなリアス式海岸に代表される「海」の魅力にあふれているのが三陸エリアです。石巻や気仙沼は漁港として活況を呈しており、海の幸を存分に堪能できます!
① 南三陸温泉
宮城県内では珍しい、太平洋沿岸沿いに湧き出た温泉を利用している南三陸温泉。地下2,000mから湧き出ており、無色透明のサラリとした湯ざわりが特徴です。
海へ迫り出している露天風呂からは、コバルトブルーに輝く太平洋を一望! 潮風にあたりながら目を閉じて、さざ波に耳を肩にむけてみると日常の喧騒がスゥーと離れていくかもしれませんね。
沿岸部といったら、海の幸グルメは欠かせません。新鮮な魚介類をふんだんに使った、南三陸のソウルフードはぜひ味わっておきたいもの。
<南三陸温泉の基本的情報>
▼泉質
ナトリウム・カルシウムー塩化物泉(低張性中性低温泉)
▼効能
神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、関節のこわばり、うちみ、くじき、慢性消化器病、痔疾、冷え症、病後回復期、疲労回復、健康増進
▼アクセス
三陸自動車道 桃生津山I.Cより車で約25分
JR「仙台駅」から東北本線「小牛田駅」へ、JR石巻線に乗り換え「前谷地」下車、気仙沼線BRT「陸前戸倉」下車※送迎バスあり・事前予約制
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② 気仙沼温泉
地下約1,800mから湧き出る気仙沼温泉は、県内でも指折りの高張性ナトリウム塩化物泉。そのため身体がフワッと浮かぶような、不思議な浮遊浴を体験できます。濃くてまろやかな湯ざわりが特徴で、心身のリラックス効果にも効果的。
温泉の素晴らしさはもちろんですが、気仙沼湾に浮かぶ「気仙沼大島」にも足を運んでみたいところ。島ではキャンプや釣り、海水浴などのレジャーを楽しめます。今年(2019年)10月には「気仙沼大島大橋」も開通し、アクセスも容易となりました。
<気仙沼温泉の基本的情報>
▼泉質
ナトリウム-塩化物強塩泉
▼効能
神経痛・筋肉痛・関節痛・五十肩・運動麻痺・関節のこわばり・うちみ・くじき・慢性消化器病・疾病・冷え性・疲労回復・健康増進・きりきず・やけど・慢性皮膚病・虚弱児童・慢性婦人病
▼アクセス
東北新幹線で約32分(東北本線約100分)「一関駅」下車、大船渡線で約85分「気仙沼駅」下車、車で約8分
JR「仙台駅」から東北本線で約45分「小牛田駅」へ、JR石巻線に乗り換え約15分「前谷地」下車、気仙沼線BRTで約150分(バス高速輸送システム)「気仙沼駅」下車
▼周辺の観光スポット
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伊達な旅には、いいとこ宮城の温泉旅行!
宮城県というと松島が有名ですが、他にも魅力的なスポットがこんなにたくさんあるんです。とくにに温泉の多さ、多様さは質・量ともに群を抜いています。
山も海も楽しめて、温泉にも入れる! 宮城にはそんな旅の魅力が詰まっています。この記事を参考に旅の行き先の候補地として宮城県も選択肢にいれてもらえたら幸いです。