こけしの語源について

フェイク イラスト

こけしの語源についてさまざまな説がありますが、TVやネット話題となったのは「子消し(子化身)説」です。こけしが広まった江戸時代には、長期的な飢饉が何度も起こりました。そのため口減らしで死んだ幼子・水子を供養する為に用いられたのではないか? という内容です。

 

この「子消し説」は、1971年に発刊された詩人・松永伍一氏による「こけし幻想行」に端を発しており、作中の「子消し」に関する記述が根拠として提示されました。しかしこの記述を裏付ける明確な文献は存在せず、民俗学的には根拠のない俗説(デマ)とされています。

 

有力とされている語源は、木でつくった「※芥子人形(けしにんぎょう)」からきたのではないか? という説。こけし専門の最初の文献である「こけし這子の話」(昭和3年刊行)にも、こけしは”ただの木製人形”という意味で、それ以上の意味合いはないという趣旨が記されています。

 

※芥子人形……小さい木彫りの衣装人形。玩具やひな祭りの飾りとして江戸時代に流行した。

子消しじゃないよ、”縁起物”だよ

こけし

出典:PIXTA

ほかにも語源は諸説あり、この論争は恐らく終着しません。しかしこけしは俗説にあるような不幸を象徴する人形ではなく、縁起物として親しまれていた記録が残されています。

 

幕末である文久2年(1862)の仙台藩記録「高橋長蔵文書」には、”木地人形こふけし(子授けし)”という記載があり、子どもを授かるおまじないとして結婚の祝いにこけしを贈っていたのではないか? とも考えられています。

 

また冒頭でもご紹介しましたが、こけしのはじまりは湯治客(農民)へのお土産。農民にとっての湯治は、心身をリフレッシュさせると共に、これから訪れる長い冬と戦うための備え。そのためこけしを心身回復や五穀豊穣など、山の神とつながる”縁起物”として買って帰る農民が大勢いたと考えられています。

 

ここまでは、こけしが広まった経緯や語源などをみていきました。続いては、こけしが誕生した歴史をみていきましょう!

こけしの歴史は奈良時代からはじまる

こけし

出典:PIXTA

こけしの歴史は今から1200年以上前、奈良時代の女帝・称徳(しょうとく)天皇の在位(718年~770年)にさかのぼります。称徳天皇は国の安泰を祈願するため、100万基の木製※小塔(しょうとう)をつくり、その中に※陀羅尼経(だらにきょう)を納められました。その100万基の木製小塔は「百万塔陀羅尼(ひゃくまんとうだらに)」と呼ばれ、木地師が作った最古のこけしと言われています。

 

※小塔……供養や発願のためにたてる小さな塔

※陀羅尼……仏教における呪文の一種

 

時は流れ平安時代前期、近江国(現在の滋賀県)で静かに暮らしていた文徳(もんとく/在位850~858年)天皇の第一皇子・惟喬親王(これたかしんのう)が、木地師らにろくろ挽きの技術を指導したという伝説があります。その後技術を習得した木地師たちは、惟喬親王の権威のもとに良質な木材を求めて関東、東北、四国、九州へとわたり、各地の湯治場へ移っていくのです。

 

木地師はお椀などをつくる仕事の傍ら、子どものために「こま」や「きぼこ(こけし)」と呼ばれる木地玩具をつくりました。それらが湯治場で売られるようになり、庶民の間にこけしが広がっていったと考えられています。※諸説あり。

温泉地の多い宮城では、多様なこけしが生まれた

温泉 イメージ画像

出典:PIXTA

こけしが広まった背景には、3つの要素があります。1つは、農民による湯治習慣が定着したこと。2つめは、玩具や土産物に赤い染料を使った”※赤物”が伝わっていたこと。3つめは、山から木地師が降りて温泉地に定住したため、湯治客の需要を直接聞けるようになったこと。

 

※赤物……赤は天然痘から守る色とされ、子ども向けの玩具に赤色を取り入れていた。

 

その3つ要素をもった温泉地が多い宮城県では、さまざまな「こけし」がつくられました。全国11系統ありますが、内5系統は宮城県で生まれたこけしです。また県内にある温泉地「遠刈田(とおがった)温泉」と「鳴子(なるこ)温泉」は、三大こけしの発祥の地といわれています。※もう一つは福島県の土湯温泉

 

~全国11系統~
津軽(青森)木地山系(秋田)、南部系(岩手)、鳴子系(宮城)、作並系(宮城)、遠刈田系(宮城)、弥治郎系(宮城)、肘折系(山形・宮城)、山形系(山形)、蔵王高湯系(山形)、土湯系(福島)

宮城県のこけしをみてみよう!

宮城 伝統こけし

撮影:編集部

こけしは全国で11系統ありますが、今回は宮城県生まれの5系統をご紹介します。

① 鳴子(なるこ)系

鳴子系こけし

出典:PIXTA

宮城県北部、鳴子温泉を中心に発達した系統。首を回すと、キュッキュと音が鳴る。胴体には少しくびれがあり、上下にはろくろ線、その間に菊模様が描かれている場合が多い。

    ② 作並(さくなみ)系

    作並こけし

    出典:写真AC

    仙台市から車で約30分、作並温泉を中心に発展した系統。ちょっとキツメな顔立ちが特徴。子どもが握りやすいことを重視しているため、ほかの系統よりも胴体が細い。

      遠刈田(とおがった)系

      遠刈田系
      撮影:編集部

      宮城県南部、蔵王連峰の麓に広がる遠刈田温泉の系統。大き目な頭に、胴体は垂直のシンプルな形をしている。額から頬にかけて、赤い花びら模様が描かれている。

      弥治郎(やじろう)系

      弥治郎こけし村

      遠刈田温泉からほど近い、白石市の弥次郎集落を中心に発達した系統。ろくろ模様が多用された胴体と、さまざまな色の輪が描かれたベレー帽のような頭が特徴。

      肘折(ひじおり)系

      山形県の肘折温泉を中心に発達した系統。鳴子系と遠刈田系の流れを受け継いでいる。黒々としたおかっぱ頭、三日月型の目元、輪郭を描いた唇、鮮やかな黄色に立ち菊が描かれた胴体という、全系統のなかでもかなり独特な雰囲気の持ち主。

      宮城県にあるこけしミュージアム

      続いては、宮城県にあるこけしが主役のミュージアムをご紹介。どの施設も、県内を代表する温泉地内にあります。

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