② 日本三大稲荷のひとつ「竹駒神社」
次にご紹介するのは、金蛇水神社から車で10分ほどの場所にある「竹駒神社(たけこまじんじゃ)」。
平安時代の承和9年(842)に、朝廷の最高機関である太政官の参議だった小野篁(おののたかむら)が、※国府多賀城に陸奥守として着任した際に、奥州鎮護の神として創建したのが起源とされています。
御祭神は、倉稲魂神(うかのみたまのかみ)、保食神(うけもちのかみ)、稚産霊神(わくむすびのかみ)。この※三柱(みはしら)の御祭神を総称し「竹駒稲荷大神」と呼ばれ、人間生活の根源である衣食住の神様として崇敬を集めています。
全国3万社以上あると言われている稲荷社のなかで、日本三大稲荷に数えられており、多くの参拝客でにぎわう神社です。
※国府多賀城…大和政権による東北支配の重要拠点として創建された、陸奥国の行政・軍事をつかさどる機関。
※陸奥守…諸国を治めるために、朝廷から派遣された官吏。陸奥国の行政・財政・司法・軍事全般を担った。
※三柱…神様の数え方
竹駒さんの随身門
鳥居をくぐると、まずはじめに出会うのが「随身門(ずいしんもん)」です。江戸時代後期の文化9年(1812)に建築されたもので、雨風雪、震災にも耐え抜き、200年間その姿を保ち続けています。
神号額の下にある大額は、明治の三筆の一人中林梧竹(なかばやしごちく)の筆によるものだそうです。
竹駒さんの唐門(向唐門)
随身門の先にあるのが、こちらの「唐門(向唐門)」です。竹駒神社と書かれた赤い大提灯が目を引きます。
こちらも江戸時代後期天保13年(1842)の建築で、平成31年(2019)宮城県の文化財に指定されました。
竹駒さんの社殿
唐門を進むと、竹駒神社の社殿がみえてきます。江戸時代後期の旧社殿が1990年の火災で焼失したため、平成5年(1993)に再建されました。
衣食住の神様であり、古来より産業開発、五穀豊穣、商売繫昌、海上安全を願う人々からの信仰を集めています。
馬事博物館
竹駒神社へ参られたら、ぜひ訪ねていただきたいのが「馬事博物館」。こちらには、伊達政宗騎馬像の黄金の原型試作品が収められています。
執筆当時(2021年5月)では、建物修復工事のため閉館中(再開の予定は未定)。お出かけ前に、竹駒神社の公式HPをご確認ください。
所在地:
〒989-2443 岩沼市稲荷町1-1
アクセス:
<電車>
JR東北本線常磐線「岩沼駅」より徒歩約15分
<バス>
市民バス「岩沼駅東口」から駅東・中央循環線3「竹駒神社前」下車すぐ
<車>
仙台東部道路「岩沼I.C」から約10分
駐車場:
無料/約3,300台
ちょっとより道「二木の松史跡公園」
竹駒神社から徒歩およそ5分の場所にある「二木の松(ふたきのまつ)史跡公園」。見どころは、根方が二木に分かれている「二木の松」です。
およそ千年前、陸奥の国司として着任した藤原元良が植えたとされ、西行(さいぎょう)や能因(のういん)をはじめ多くの歌人に詠まれました。
武隈(たけくま)の松とも呼ばれ、陸奥の歌枕の多いことでは屈指の名木だそうです。
「目が覚める思いがした」と松尾芭蕉も感動
この二木の松は、植えて成長し、枯れては伐採され橋の材料にされるなど、千年間ずっと植え継がれている木です。
そのため来訪時に必ずみられるものではなく、西行が訪ねた際は伐採されており、二木の松をみられなかったと詠んでいます。
江戸時代の俳人・松尾芭蕉は、能因や西行の足跡を追い、二木の松をみるのを心待ちにしていました。
そして江戸から旅立ち3か月後、※元禄2年5月4日(1689)に芭蕉は二木の松にたどり着き、「桜より松は二木を三月越し(桜から三か月、武隈の松は私を待っていてくれたよ)」と歌に詠んでいます。
今の松は、江戸時代末期に植えられた七代目の松。園内には芭蕉の句碑があります。
※現在の6月20日
所在地:
〒989-2448 宮城県岩沼市二木2丁目2−29番8
アクセス:
竹駒神社から徒歩約5分
駐車場:
無料/2台、場所の詳細はこちら
③ 東日本大震災を知る「千年希望の丘交流センター(相野釜公園)」
「竹駒神社」から沿岸部へ車を走らせること約17分、「千年希望の丘交流センター」に到着します。
千年希望の丘は、平成23年(2011)3月11日の東日本大震災で被災した沿岸部約10kmにわたり、15基の避難丘と6つの公園を整備したものです。
人々が住めなくなった土地を活用し、丘の土台などには津波で流された家屋の基礎などの震災廃棄物や津波堆積物が用いられています。
6つの公園、相野釜公園、藤曽根公園、二野倉公園、長谷釜公園、蒲崎公園、新浜公園という名は、震災前に存在した地名が付けられたもの。
丘は「千年希望の丘第1号丘」から第15丘という丘名が付けられており、海岸と※貞山運河(ていざんうんが)の間につくられた岩沼市の復興を象徴する丘です。
今回は千年希望の丘(第2号丘)と、交流センターがある「相野釜公園(あいのかまこうえん)」を訪ねました。
※貞山運河…仙台藩初代藩主・伊達政宗公の命により、江戸時代から開削が始まり、明治時代までつくられた堀。貞山堀ともいい、明治の改修工事の際に当時の宮城県土木課長が政宗公を偲び、戒名の「瑞巌寺殿貞山禅利大居士」から貞山運河と名付けたと伝えられています。
千年希望の丘交流センター(相野釜公園)をマップで確認
マップをみると、相野釜公園は仙台空港に近いことがわかりますね。平成25年(2013)に整備された千年希望の丘(第1号丘)もすぐ近くにあります。
ここから南に5基の丘がつくられ、丘との間には2013年~2020年にかけて、約35万本の木が植樹されました。木々が立派な森となるのが、15年から20年後先の未来です。
この多重防御の津波対策は、津波の威力を分散し減衰させる緑の堤防となり、未来の子どもたちを守ります。
東日本大震災慰霊碑
慰霊碑は平成26年(2014)3月に竣工され、平成27年(2015)3月13日には天皇皇后両陛下が訪問されました。
人と人が支え合う形をイメージしており、塔の高さは津波の水位と同じ標高の8mとなっています。
千年希望の丘交流センター
慰霊碑の向かいにある千年希望の丘交流センター内では、東日本大震災からの復興に向けた取組みが分かるパネルやパンフレットがあります。
震災伝承と防災学習を目的とした動画の上映されており、物販スペースでは千年希望の丘の関連グッズが購入可能です。
千年希望の丘(第2号丘)
千年希望の丘(第2号丘)を上ってみます。丘の高さは11m。頂上には四阿があり、仙台空港や太平洋が望めます。
千年希望の丘(第2号丘)の頂上からの眺め
遠くにみえるのが太平洋で、中央のポコっとした丘は高さ8mの千年希望の丘(第1号丘)です。植樹された緑の堤防がよく分かりますね。
貞山運河と仙台空港
こちらの貞山運河は、名取市の閖上港まで続いています。仙台空港の建物はみえますが、飛行機の離発着をみるなら「仙台空港臨空公園」がオススメです。ぜひ下の記事をご覧ください!
所在地:
〒989-2421 岩沼市下野郷字浜177番地
開館時間:
9:00~17:00
休館日:
年末年始
入館料:
無料
アクセス:
<電車>
JR東北本線、常磐線「岩沼駅」よりタクシーで約20分
<車>
仙台東部道路 仙台空港I.Cより車で約7分
駐車場:
無料/80台