コンプレックスまみれだった幼少期

伊達政宗

撮影:編集部

そんな政宗公ですが、「梵天丸(ぼんてんまる)」と名乗っていた幼少の頃、天然痘を患い右目の視力を失ってしまいます。

 

天然痘は、ウイルスを病原体とする感染症の一つ。全身に膿疱(のうほう/膿が溜まった盛り上がり)が発生し、感染者の4~5割が亡くなる恐ろしい病でした。

幸い一命を取りとめたものの、目の部分にできた膿疱が原因で失明したといわれています。

見えなくなった右目は白濁し(飛び出していたという説もあり)、自分の顔が他人と違うと感じた梵天丸は、自身の容姿を醜いと思っていたようです。

 

どんどん卑屈になっていき、見兼ねた家臣・片倉景綱(小十郎)が、梵天丸の眼球を切り取ろうとした、という逸話が残されています。(諸説あり)

生涯の師との出会い

コンプレックスを抱えた内気な少年を変えたのは、父・伊達輝宗によって招かれた美濃(岐阜県)の名僧、虎哉宗乙(こさい そういつ)です。

虎哉宗乙は文芸の師として、仏教、漢学、文学など学問の手ほどきを行うだけでなく、梵天丸に「武将としての生き方」を示しました。

 

「痛ければ痛くないと言え、悲しければ笑え、暑ければ寒いと言え」

 

人の上に立つ者、暑いと言って戦の場で鎧兜を脱ぐなど、戦にならず。己の不平不満を表に出していては、家臣を率いる大将の器に足りない。辛抱・我慢が重要である。

という虎哉宗乙の訓辞です。

 

梵天丸は師の教えを胸に刻み、己の弱さを克服する努力をしていきました。

 

ちなみに、幼い頃から学問を積んだ政宗公は、漢詩・和歌・能など文学の教養が深く、その実力は京の歌人に引けをとらなかったといわれています。

伊達政宗の生涯(壮年期)

仙台城跡

写真提供:宮城県観光プロモーション推進室(復元された仙台城の大手門)

1577年(天正5)元服を迎えると、「伊達藤次郎政宗」と名付けられます。「次郎」は伊達氏当主代々が名乗ってきたものであり、「政宗」は衰えていた伊達家を再興させた9代当主・伊達政宗(大膳大夫)にあやかったようです。

13歳、愛姫と結婚

結婚 女性

1579年(天正7)、田村郡美春(福島県美春町)の城主・田村清顕(たむら きよあき)の娘・愛姫(めごひめ)と結婚します。

 

政宗公13歳、愛姫12歳の頃です。愛姫の実母は、伊達氏と軍事衝突を繰り返している相馬氏14代当主・相馬顕胤(そうま あきたね)の娘で、相馬氏側の勢力を切り崩すための政略結婚でした。

 

結婚後、愛姫は時の政権(天下人)と良好な関係を保つため、政宗公の人質として各地を転々とする生涯を送ります。

共に過ごすより、離れ離れで過ごす時間の方が長かった夫婦ですが、4人の子供に恵まれました。

15歳、初陣

丸森町

出典:PIXTA(宮城県伊具郡丸森町)

1581年(天正9)、政宗公は15歳で初陣を飾ります。その舞台となったのは、現在の宮城県伊具郡丸森町の辺り。

 

1576年(天正4)以降、この地をめぐり伊達氏と相馬氏(福島北部を支配していた大名)の間で激しい攻防が繰り広げられていました。

政宗公の初陣も相馬氏との戦で、丸森町は「伊達政宗 初陣の地」という看板が立っています。

 

政宗公の初陣から1年後、1582年(天正10)本能寺の変で織田信長が家臣・明智光秀に討たれます。

18歳、家督を継ぎ伊達氏当主に

1585年(天正12)、父・輝宗の隠居にともない、政宗公は家督を相続。第17代伊達氏当主となります。

 

しかしその翌年、悲劇が訪れたのです。

19歳、父・輝宗の射殺事件(諸説あり)

福島県 二本松城

出典:PIXTA(福島県二本松市「二本松城」)

事の発端は1585年(天正13)、伊達氏に降参した二本松城(福島県二本松市)の城主・畠山義継(はたけやま よしつぐ)が、宮森城(福島県二本松市)で隠居していた伊達輝宗のもとを訪ねました。

しかしその帰り際に輝宗公を捕まえ、自身の城に連れ去ろうとしたのです。

 

その当時、小浜城(福島県二本松市)にいた政宗公は、知らせを聞いてすぐに駆けつけますが、すでに手に負えない状態でした。

結果、取り囲んだ伊達勢が鉄砲を撃ち、畠山義継と主従50名、そして父・輝宗公もろとも撃ち殺したといわれています。

 

事件の真相は諸説あり、輝宗が「わしごと撃て!」と叫んで撃った、到着したときには輝宗はすでに死んでいたなど、その死因は明らかにされていません。

南奥州の覇者へ

鶴ヶ城

出典:PIXTA(福島県会津若松市の「若松城(鶴ヶ城)」)

以降、政宗公は積極的に領土拡張へと身を乗り出します。

東北の諸大名と合戦を繰り広げ、1589年(天正17)には強敵だった会津の葦名(あしな)氏を破り、奥羽の半分を支配するまでに至ります。

 

わすが数年の間に、福島、山形、宮城の3県にわたり、広大な勢力圏を築き上げたのです。

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