みちのく潮風トレイルとは
「みちのく潮風トレイル」とは、東北地方の太平洋側の海沿いを縦断する全長1,000kmの超ロングトレイルコースのこと。東日本大震災からの復興を契機として、環境省や関係自治体、民間団体、地域住民が協力して設定されたトレイルコースです。
青森県八戸市から福島県相馬市までの4県29市町村を通過するトレイルコースの道中では、固有の自然や地域に根づく歴史と文化、震災の記憶などさまざまな側面から東北地方について知ることができます。
また、1,000kmといっても1回で歩き切るような過酷なトレイルではなく、複数回に分割して踏破を目指したり、旅行で訪れた際に近くのコースにチャレンジしてみたり、目当てのコースだけを訪れたりと目的は人それぞれ。
自分の目的に合わせてアレンジがしやすく、舗装された道も多いので初心者の方でもチャレンジしやすいのが魅力です!
環境省のみちのく潮風トレイル公式サイトではおおよそ市町村ごとに28のコースに分類されており、この区間を参考にして訪れるコースを決めるのがおすすめです。
今回はその中のひとつ、宮城県気仙沼市にある離島「気仙沼大島」を周遊する「気仙沼市北部ルート(気仙沼大島周遊)」を紹介します!
気仙沼市北部ルート(気仙沼大島周遊)の概要と見どころ
今回紹介する気仙沼市北部ルート(気仙沼大島周遊)は、宮城県の気仙沼大島にある浦の浜港を起点に海沿いをぐるりと1周して戻ってくるコースです。
スタートとゴール地点が同じなので、トレイル終了後に戻り方を気にする必要がなく、初心者の方や旅先でチャレンジしてみたいという方におすすめのコースとなっています。
このコースは道中のほとんどで海沿いを辿るので、多様な海岸風景を眺めながら歩けるのが魅力。白い砂浜とエメラルドグリーンの海、自然によって形成された荒々しい岸壁など要所に景勝地があり気仙沼大島ならではの光景が楽しめます。
※歩くペースや休憩の取り方で所要時間は大きく変化します。事前に各区間の距離や時間を調べてトレイルの工程を組みましょう。
・距離:約15km
気仙沼市北部ルート(気仙沼大島周遊コース)紹介
今回紹介するトレイルコースを7つのセクションに分けて、各チェックポイントの見どころを解説します!
Section1:気仙沼大島大橋〜浦の浜港
まずは今回のスタート地点「浦の浜港」へ。
以前はフェリーでのみ渡ることができた気仙沼大島ですが、2019年に「気仙沼大島大橋」が開通して、今では公共交通や自家用車で渡ることができるようになっています。
気仙沼大島大橋は長さ297メートルでアーチ橋として東日本最大の建造物。また高さも32メートルあり周辺の景色を一望できます。徒歩でも渡れるので、美しいアーチ状の橋とそこから見える景色を歩いて楽しむのもおすすめ!
【公共交通の場合】
JR気仙沼線「気仙沼」駅よりミヤコーバス大島線「新王平」行き乗車−「浦の浜」バス停下車、徒歩すぐ
【クルマの場合】
気仙沼道路「浦島大島」ICより約7分
Section2:浦の浜港〜亀山
みちのく潮風トレイルの気仙沼市北部ルート(気仙沼大島周遊)は、浦の浜港からスタートして気仙沼大島を海沿いにぐるっと1周するコースとなっています。
まずはスタート地点から2kmほどの距離にある亀山の山頂を目指します。山頂までの所要時間は約40分です。
スタートして10分ほどで自然に囲まれた山道に入っていきます。
山中は舗装された場所も多いですが道によっては未舗装の箇所もあるので、歩きやすい靴で訪れるのをおすすめします。
北側は気仙沼大島大橋や気仙沼の市街地が一望できます。春先には花と海が共演する美しい景色が広がります。
また南側を見渡せば、三陸の海と荒々しいリアス式海岸の光景が広がり、自然の雄大さを感じられます。
一通り景色を楽しんだあとは次のスポット「大嶋神社」へ。
Section3:亀山〜大嶋神社
大嶋神社は亀山の中腹にあり、山頂からは12分ほど。創建から1,000年以上の歴史を持つと伝わる神社で、社殿内にある大きな岩がご神体として信仰の対象となっています。
この大きな岩には古い言い伝えがあり、田植えの季節になるとたにしが上り、毎夜青い光を放っていたといわれています。昔の人々はこの霊験を畏み神事として祭ることとし、五穀豊穣、大漁、航海安全などさまざまなご利益があるとして多くの崇敬を受けています。
大嶋神社を参拝したあとは次のスポット「田中浜」へ。
Section4:大嶋神社〜田中浜
大嶋神社から田中浜までは約2kmで徒歩40分ほど。亀山を下山したすぐ麓にあります。
海水浴場は開設されないビーチですが、シーズンにはイベントが開催されたり、SUPなどのマリンスポーツが体験できたりします。
この田中浜は2021年に放送されていた連続テレビ小説『おかえりモネ』の撮影でも度々登場しており、最終回のラストシーンもここで撮影されました。
また同年の紅白歌合戦でドラマの主題歌を手掛けたBUMP OF CHICKENが『なないろ』を披露したのも田中浜です。
そんな田中浜には、ひときわ目立つ赤茶けた廃船が。
こちらは震災時に気仙沼港から流れ出した瓦礫が田中浜に流れ着いたものだそう。浜に流れ着いた多くの瓦礫は撤去や清掃でなくなったものの、この船は所有者がわからないことから撤去できないまま残っており、震災を物語る遺構になっています。
田中浜を通過して海沿いを進み、次のスポット「小田の浜」へ。
Section5:田中浜〜小田の浜
海沿いを歩くこと約1km、15分ほどで「小田の浜」に到着です。小田の浜は夏になると海水浴場が開設され島内外から多くの海水浴客が訪れます。
半円の形状をした白い砂浜とエメラルドグリーンの海が特徴で、環境省が選定する快水浴場百選で全国2位に選ばれたこともある美しい景観と良好な水質を誇るビーチです。
小田の浜の美しい景色を楽しみながら、次のスポット「龍舞崎」へ。
Section6:小田の浜〜龍舞崎
小田の浜から40分ほど南に歩き、気仙沼大島の最南端にある「龍舞崎」に到着。海に連なる奇岩に荒波がぶつかる大迫力の光景が見られる、気仙沼大島でも屈指の景勝地です。
クロマツ林に囲まれた遊歩道があるので、訪れた際には周辺を散策してさまざまな角度から景色を楽しむのがおすすめ!
岬の先端には白い灯台があり、龍舞崎の美しい景観をより一層引き立てています。
また近くには「乙姫窟」があり、ここもぜひ立ち寄りたい絶景のスポット。大きな岩に空いた小さな洞窟に打ち寄せる波と差し込む光が美しい光景を作り出しています。
乙姫窟には浦島太郎と乙姫様の逢瀬の場だった(※諸説あり)という浦島太郎伝説が残っています。
龍舞崎散策のあとは、島の西側を北上してスタート地点の「浦の浜港」へ戻ります。
Section7:龍舞崎〜浦の浜港
島の西側を海沿いに北上して浦の浜港まで戻ってきました。
この区間は約5km、70分ほどの距離があるので、道中にある景色の良い港で休憩を挟みながらのトレイルをおすすめします。
浦の浜港の近くにある気仙沼大島ウェルカム・ターミナルには、旬の地場産品やお菓子などが売っているので気仙沼大島のお土産はここで購入できます。
また隣には「野杜海」という集合施設があり、地場の特産品を使った海鮮やイタリアン、ラーメンなど多様なジャンルの飲食店が立ち並んでいます。
ゴール地点で、地場の特産品を使ったおいしい料理を味わえたり、お土産を買えたりするのも気仙沼大島周遊コースの魅力ですね。
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みちのく潮風トレイルにチャレンジしよう!
今回紹介した気仙沼市北部ルート(気仙沼大島周遊)は、海沿いの景色の移り変わりを楽しめるおすすめコースです!
歩きながらゆっくりと見て回ると、よりその地域の魅力を感じられるので、気になるルートを見つけて、みちのく潮風トレイルにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。