仙台の初詣といえば……
仙台の初詣といえば国宝・大崎八幡宮。
平安時代、坂上田村麻呂(さかのうえのたむらまろ)が東夷征伐にあたり、武門の守護神「宇佐八幡宮(大分県宇佐市)」を水沢市に勧請(かんじょう)し、「鎮守府八幡宮」を創祀(そうし)したことに始まり、室町時代に奥州管領「大崎氏」が遠田郡に本殿を遷したことから「大崎八幡宮」と呼ばれました。
その後、伊達政宗により仙台城の北西の方角にあたる現在の位置に伊達家の総鎮守として祀られています。
1,200年以上前から地域に親しまれた神社であることや、社殿が日本唯一の安土桃山時代遺構として「国宝建造物」に指定されていることなどから、仙台の初詣といえば大崎八幡宮といわれるほど有名であり、初詣では混雑が避けられません。
今回は仙台市内にある、そのほかの初詣でおすすめな神社について紹介します。ここに行けば、混雑を避けられるかもしれませんよ。
そのそも「初詣」ってなんだ?
初詣とは、年が明けてから初めて神社や寺院を参拝することを指し、旧年の感謝を捧げ新年の無事と平安などを祈願するものです。
地球の歩き方編集室 御朱印でめぐる東北の神社 週末開運さんぽ
もともと、お寺で納経をしたときに、その証として授与されていた御朱印。今では参拝の証として気軽に頂けるようになり、女性を中心に集める人が増えています。
本書では 「御朱印と御利益が凄い」と評判の神社 を、数多くの東北地方の神社のなかから厳選。 塩竈神社や出羽神社 などの有名神社はもちろん、縁結び、金運、仕事運、合格祈願まで多彩な御利益別に神社とその御朱印を紹介しています。
発行年月 | 2022年03月17日 |
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ページ数 | 144p |
JR・地下鉄駅から徒歩圏内にある神社
まずはJR・地下鉄の最寄り駅から徒歩圏内にある、初詣におすすめの神社を紹介します。
榴岡天満宮
JR仙台駅東口より徒歩約15分、またはJR仙石線「榴ヶ岡」駅から徒歩約3分の「榴岡天満宮(つつじがおかてんまんぐう)」は、学問の神様で知られる菅原道真を祀っており、合格祈願を願う受験生が多く参拝しに訪れます。
平安時代にあたる974年(天延2)に創建された神社で、江戸時代の1667年(寛文7)に現在の地に遷座されました。
『おくのほそ道』で知られる・松尾芭蕉も参拝しにきており、国名勝「おくのほそ道の風景地」に指定されています。
【榴岡天満宮の基本情報】
住所:
宮城県仙台市宮城野区榴ケ岡105-3
ご祈願奉仕時間:
元旦 0:00~17:00
2日・3日 9:00~17:00
アクセス:
【公共交通の場合】
・JR「仙台」駅より徒歩約15分
・JR仙石線「榴ヶ岡」駅より徒歩約3分
・仙台市地下鉄東西線「宮城野通」駅より徒歩約10分
【クルマの場合】
東北自動車道「仙台宮城」ICより約20分
駐車場:
数台/無料(なるべく公共交通を利用してください)
HP:
愛宕神社
仙台市地下鉄南北線「愛宕橋」駅より徒歩約8分、標高78mの愛宕山に鎮座する「愛宕神社(あたごじんじゃ)」。
御祭神に、火の神で知られる軻遇土神(かぐつちのかみ)を祀り、火防鎮護のご利益があるといわれています。また「辰(たつ)」「巳(み/へび)」生まれの守り本尊でもあるため、自身の生まれた年の干支が辰巳の方はぜひ。
古くは山形県米沢に鎮座していましたが、江戸時代はじめの1603年頃(慶長8)に伊達政宗の仙台入府に合わせて、一時的に現在の宮城県庁付近に鎮座。その後、愛宕山に遷座しました。仙台中心部のビル群を一望できるため、夜景スポットとしても人気です。
愛宕神社の境内は「虚空蔵菩薩 大満寺」とつながっています。がん封じで名高い寺院で「丑(うし)」「寅(とら)」の守り本尊となっています
【愛宕神社の基本情報】
住所:
宮城県仙台市太白区向山4-17-1
ご祈願奉仕時間:
元旦 0:00~
2・3日 7:00~17:00
アクセス:
【公共交通の場合】
・仙台市地下鉄南北線「愛宕橋」駅より徒歩約8分
【クルマの場合】
東北自動車道「仙台宮城」ICより約15分
駐車場:
あり/無料(例年12月31日~1月3日まで臨時駐車場が設置)
HP:
仙台東照宮
JR仙山線「東照宮」駅より徒歩約8分、仙台城の北東に位置する神社。
仙台藩2代藩主伊達忠宗の頃、仙台藩は大火や大洪水により財政が逼迫していましたが、幕府の援助により乗り越えられたことから、徳川家に対する尊敬・感謝を込めて徳川家康を御祭神とし、1654年創建されました。
仙台東照宮が鎮座している場所は、初代藩主伊達政宗が、徳川家康が訪れた際に天神社の境内を案内した場所なのだそうです。そのような場所に家康を祀る神社を作るだなんて、なんだかお洒落ですね。
ご利益は開運厄除・家内安全・学業成就・商売繁盛・必勝祈願など。
【仙台東照宮の基本情報】
住所:
宮城県仙台市青葉区東照宮1-6-1
ご祈願奉仕時間:
元旦 0:00~
アクセス:
【公共交通の場合】
・JR仙山線「東照宮」駅より徒歩約8分
・仙台市営バス「仙台」駅17・19番より乗車-「東照宮一丁目」バス停下車、すぐ
【クルマの場合】
東北自動車道「仙台宮城」ICより約20分
駐車場:
100台/無料
HP:
亀岡八幡宮
仙台市地下鉄東西線「川内」駅で下車し徒歩約14分、仙台駅から見て西側に位置する神社です。
伊達氏の祖伊達朝宗が、源氏の氏神とされていた武運の神「八幡宮」を勧請したとき、霊亀が現れたことから「亀岡八幡宮」と称したと伝えられ、仙台藩4代藩主伊達綱村により現在の場所に移りました。御祭神は鶴岡八幡宮と同様に、「応神天皇」、「神功皇后」、「比売神」の三柱の神様が祀られています。
鳥居近くの太鼓橋脇には、樹齢350年以上の枝垂桜あり、春には枝垂桜のトンネルが見られ、桜の名所になっているとか。
正参道には当時のまま残っている約335段の石段(市内最長)があり、登りきった社殿前からは、多少樹木が気になりますが仙台市中心部を一望できます。
また、奥羽・北陸を巡り、紀行文『おくのほそ道』で有名な松尾芭蕉も亀岡八幡宮を参詣参詣したとのこと。芭蕉も歩んだ石段を登り初詣をすると考えると、なんだか特別なご利益がありそうですね。
【亀岡八幡宮の基本情報】
住所:
宮城県仙台市青葉区川内亀岡62
アクセス:
【公共交通の場合】
・仙台市地下鉄東西線「川内」駅より徒歩約14分
・仙台市営バス「仙台」駅西口バスプール15-2番「川内営業所」行き乗車-「川内亀岡公園前」下車、徒歩約11分
【クルマの場合】
東北自動車道「仙台宮城」ICより約13分
駐車場:
あり/無料
HP:
櫻岡大神宮
仙台市地下鉄東西線「大町西公園」駅より徒歩約1分、花見の名所「西公園」内にあり、公共交通での参拝に最も適している神社。
1621年仙台藩初代藩主伊達政宗が、伊勢神宮より分霊を勧請し、4代藩主伊達綱村により社殿が改築され、以後藩主の継承時には必ず伊勢堂山に参詣することとなったそうです。その後1926年に現在地へ遷宮されました。
御祭神が天照皇大神(あまてらすおおみかみ)、豊受大神(とようけおおみかみ)の他に十六柱(計十八柱)であるため、多種多様なご利益があることから、「叶えたい願いがあるけどどこの神社に行けば良いの?」と悩んだときは、櫻岡大神宮で決まりでしょう。
花見の名所なので初詣だけではなく、花見のついでに参拝というのもいかがでしょうか。
【櫻岡大神宮の基本情報】
住所:
宮城県仙台市青葉区桜ヶ岡公園1-1
アクセス:
【公共交通の場合】
・仙台市地下鉄東西線「大町西公園」駅より徒歩1分
【クルマの場合】
東北自動車道「仙台宮城」ICより約7分
駐車場:
10台/無料
HP:
青葉神社
JR仙山線「北仙台」駅より徒歩約7分、青葉神社通が北山丘陵により東に向きを変える場所に位置する神社。
伊達家の菩提寺であった東昌寺の敷地西側3分の2が提供され、1874年(明治7)11月11日に落成、同年11月15日に鎮座祭が行われました。1922年(大正11)から社殿の改築、1927年(昭和2)に社殿が完成し現在に至ります。
御祭神は仙台藩祖伊達政宗の神号である武振彦命(たけふるひこのみこと)です。当時は諸藩の藩祖を祀る神社の創建申請が全国で相次いでいたようなので、一種のブームだったのかもしれませんね。ご利益は、合格、安産、病気平癒、商売繁盛、寿命長遠、子孫繁栄など。
手水舎では、水を司る龍と甲冑姿の政宗公像があり、参拝客をもてなします。
また、毎年5月第3日曜日に開催される「仙台青葉まつり」の神輿渡御も有名で、一見の価値アリです。
【青葉神社の基本情報】
住所:
宮城県仙台市青葉区青葉町7-1
アクセス:
【公共交通の場合】
・JR仙山線「北仙台」駅より徒歩約7分
・仙台市地下鉄南北線「北仙台」駅より徒歩約7分
【クルマの場合】
東北自動車道「仙台宮城」ICより約20分
駐車場:
10台/無料
HP:
バスまたは車で行く仙台市内の神社
電車ではアクセスが難しく、バスまたは車で行きやすい神社を紹介します。
秋保神社
東北自動車道「仙台宮城」ICより約20分、秋保温泉と秋保大滝の中間に位置する神社。
秋保神社は808年坂上田村麻呂が熊野神社を祀ったのが始めとされ、室町時代に平盛房が諏訪大社(主祭神:建御名方命(たけみなかたのみこと))へ本土回復と居城奪回を祈願し叶えられたことから、諏訪神社として祀って以降「戦の神」として崇敬されてきました。
その後1909年明治天皇の勅令により、秋保5ヶ村の各神社を合祀し、主祭神「建御名方命」をはじめ「天照皇大神(あまてらすおおみかみ)他七柱」が祀られたことから、諏訪神社から秋保神社に改めました。
現在では「勝負の神」と言われ、数多くの運動競技やレース関係者などの参拝が絶えないそうです。
「1年間勝負事に勝ちたい!」という方は、秋保神社で初詣するのはいかがでしょうか。
【秋保神社の基本情報】
住所:
宮城県仙台市太白区秋保町長袋字清水久保北22
アクセス:
【公共交通の場合】
JR仙山線「陸前白沢」駅-仙台市営バス「野尻町北」行き乗車-「秋保神社前」バス停下車、徒歩約2分
【クルマの場合】
・東北自動車道「仙台宮城」ICより約20分
駐車場:
あり/無料(大型バス駐車可)
HP:
熊野神社
東北道「泉」スマートICより約8分、泉ヶ岳を眺める泉区西部実沢熊野山に鎮座する神社。
藩主国分氏の没落後、伊達政宗に旧領地を許された八乙女淡路守盛昌が、実沢八乙女の館に移り住んだとき、氏神として勧請したのが始まりとされ、1615年に現在の地に社殿を造営し、地域の守神とされてきました。
御祭神である「天照大御神(あまてらすおおみかみ)」の父母神「伊邪那岐尊(いざなぎのみこと)」「伊邪那美尊(いざなみのみこと)」は、「最古の夫婦神」のひとつであり、夫婦和合、縁結びの神様とされています。
また、こちらの神社の「八咫烏御みくじ」はマスコットがとても可愛いので、参拝のしたときはぜひ運試しをしてみてください。
【熊野神社の基本情報】
住所:
宮城県仙台市泉区実沢字熊野山17
ご祈願奉仕時間:
元旦 0:00~ 2:00
8:00~17:00
2~3日 8:30~17:00
アクセス:
【公共交通の場合】
・仙台市地下鉄南北線「八乙女」駅-「実沢営業所行」き乗車-「熊野神社前」バス停下車、徒歩約2分
・仙台市地下鉄南北線「泉中央」駅-「住吉台・根白石」行き乗車-「実沢」バス停下車、徒歩約8分
【クルマの場合】
東北自動車道「泉」スマートICより約8分
駐車場:
あり/無料
HP:
宇那禰神社
東北自動車道「仙台宮城」ICより約15分、仙台市の芋沢明神に鎮座している神社。
創祀年代は明らかではありませんが、福徳元年(1490年)以来6枚の棟札があることから、室町時代に創建されたと考えられています。
宇那禰神社の境内は神域であるため御神木が多く、推定樹齢370年の「杉の木」や推定樹齢300年の「ひのき」があり、1994年には「杜の都の指定木」に指定。
御祭神は桓武天皇であり家内安全、商売繁盛、交通安全、安産祈願、病気平癒、学業成就、良縁祈願、心願成就などのご利益があるそうですが、御神木にもご利益があるのだそう。
御朱印は、東北で唯一「菊の御紋」が入ったものだそうですので、御朱印を収集している方には見逃せない神社です。
【宇那禰神社の基本情報】
住所:
宮城県仙台市青葉区芋沢字明神8
アクセス:
【公共交通の場合】
・JR仙山線「陸前落合」駅-仙台市営バス「大國神社前」行き乗車-「芋沢明神」バス停下車、徒歩約3分
【クルマの場合】
・東北自動車道「仙台宮城」ICより約15分
駐車場:
あり/無料
HP:
とにかく!仙台には神社がたくさん
仙台市には数多くの神社が存在しているので、自分に合った神社をリサーチして、初詣に向かうのも楽しいはず。また、古事記などで「何をした神様なのか」というのを調べ、参拝するのも一興です。
筆者の個人的な考えとして、宮城県には坂上田村麻呂による「東夷征伐」や、源義家(八幡太郎義家)と安倍氏・清原氏による「前九年の役」「後三年の役」の影響を受け、武将たちが戦勝祈願をするため、神社が多く創建されたように感じられます。
これらの神社の殆どは「朝廷」の神であるため、東北のために蝦夷として朝廷と戦い、散っていった「阿弖流爲(あてるい)」や「母礼(もれ)」「安倍一族」などに思いを馳せながら参拝すると、さらに歴史の重みを感じることができるのではないでしょうか。